【現代思想とジャーナリスト精神】

価値判断の基軸は自らが判断し思考し実践することの主体であるか否かであると考えております。

安倍政権によるメディアの分断 岸井成格氏インタビュー(下)[ ニュースソクラ]

2015-12-04 15:43:28 | 転載と私見

【ニュースソクラ 10月23日(金)16時10分配信】転載

安倍政権によるメディアの分断 岸井氏インタビュー(下)

暴走し始めた権力を止めるのがジャーナリズム

 毎日新聞特別編集委員の岸井成格氏に、安倍政権のメディア対応やそうした動きへのメディア側の抵抗力に関して聞いた。
 ―――日本のメディアの対応ぶりをどう見ますか。

 ジャーナリズムが一番、心しておかないといけないことは何かっていうと、権力は必ず腐敗する。そして、時に暴走する。その暴走をいかにして、未然に防ぐかっていうのがジャーナリズムの役割であり、本来なら国会であり、司法の役割だけど、ジャーナリズムの大きな役割でもあります。
その暴走が始まったのですから。その暴走をいかに止めるか、それが一番大事なところなのですよ。ところが今の政府は、本当によくメディア対策を検討し、堅実に積み上げてきているのだね。一番大きいのは、分断だね。中堅・若手の「文化と芸術を語る会」の沖縄2紙を潰せっていうのと、広告を外せばメディアは成り立たないのだっていうね。作家の百田さんを呼んで、ああいう暴言が飛び交ったけど。ああゆうことを平気で言える。あの会は総理の側近グループですからね。空気が出ていますよね。

 あえて、聞かれて出てきた議員が「本当に潰さなくてはいけないのは、沖縄2紙だけじゃなくて朝日、毎日、中日・東京だ」って。3紙を挙げたわけだ。総理の権力についての考え方は、権力は行使するためにある。その際たるものが人事権だって。日銀総裁から始まって内閣法制局長官、そしてNHKの経営委員、会長とやって、人事局まで作ってしまった。官僚も官邸を見ざるをえなくなっちゃった。OBもみんな心配しているよ。それこそみんなヒラメだよ。局長以上みんなに目を光らしているから。そして彼らの一番イヤなとこがね。スキャンダル見つけて脅し、すかしやる。これも組織操縦の一端だね。




―――そんなこともやっているのですか?
酒癖が悪いとか、女癖が悪いとか借金をしているとか。弱みを握られると、人間弱いからね。

番組収録中にも右翼の抗議電話

――岸井さんも、ネット右翼のようなところから、個人攻撃されることはあるのではないですか?



あるある。でも、スタッフは言ってこないのだよね。聞くに堪えない、言うに耐えないことだからって言っている。毎日のように番組収録中にかかってくると聞いている。テレビ局も新聞社も時に、それが面倒になってくるのだなって。しつこい相手に対して組織は弱いからね。


―――そのがんばっている姿は、じわぁって他の社員に伝わって、結局は読者の信頼になりますからね。あの新聞社は、頑張るんだって。


 こうなってくると改めて、論説委員長とか主筆をやっている時にも一貫して「中庸リベラル」っていう路線をね。社風、社説としてね。この考えを、今の社員も噛み締めつつあるのではないかなって。

 戦後70年談話のときに、まだ30歳になってない社員だったけど、「戦後って聞くと、おじいちゃん、おばあちゃんの世代のことって思っちゃうのですよ」戦後って聞くだけで、自分たちと関係ないって。「戦後だよ。私、戦後70年の中で生きてきたのに」戦後って聞くと、関係ないって。驚いた。世代によって、そうゆうギャップもあるのだなって。自分たちと全然違う世界。世代の違いなのかと思って、何も言えなかったのだけど。



―――青年局長の処分が前倒しで3ヶ月で解かれたのは。


 これも一貫して、東京五輪の競技場やエンブレムで下村大臣への責任論があったときに、総理は内閣改造もあるから、うやむやな形にしてしまったのですよね。それで、総裁特別補佐にしたりしている。ある種の仲間内の温情主義が非常に強いという。青年局長についても議論があったのだけどね。更迭すると、あのときの議論が間違っていたことになり、認めることになってしまうから。非常に抵抗があったんですよ、あのグループから。そのほとぼりが、冷めたってことじゃないかな。一番典型的なのは、磯崎総理補佐官のケースだ。「法的安定性は関係ない」と立憲主義に反する発言をして陳謝したけど、頑として代えなかった。





新閣僚に「口にチャックを」
 ――新しい内閣はどうですか。



 口にチャックをしろと、菅官房長官が繰り返しているらしい。もう絶対に個人の意見は、言わないようにと閣僚全体に。役人が官邸に歯向かったら最後、徹底的に干しますよね。安倍内閣は、それで持っているところがありますよね。

 安倍さんが総理に返り咲いて、すぐに呼ばれて話しをする機会があった。なぜかって言うと、安倍首相のお父さん(安倍晋太郎)の担当をやった。毎日新聞の先輩でもあった。晋太郎さんは、いつも岸信介さんの安保闘争がらみで、「俺は、岸の娘婿じゃないからな。安倍寛の息子だからな」って。安倍寛は、反東条で、非翼賛を主導した5人の中の1人だから。筋金入りの反戦でした。安倍晋太郎さんは、父親に歯向かって特攻隊に志願したのですよ。それで、敗戦。非常に反省をして、新聞記者になった。そういう変遷がある。だから、晋太郎さんは、徹底した反戦、平和主義だった。記者を前に、晋三さんに伝わることを前提にそう言っていた。

しかし、安倍官邸は、本当は危機感を感じているのではないかな。周りはおだてているけど、安保にしても、アベノミクスにしても、TPPもこれだけ反対論、懐疑論が広がっていますし、参院選への影響は大きいとみて警戒していますよ。成功しているとは思ってないのではないかなと思います。

(聞き手はニュースソクラ編集長、土屋直也)

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私見

 「安倍さんが総理に返り咲いて、すぐに呼ばれて話しをする機会があった。なぜかって言うと、安倍首相のお父さん(安倍晋太郎)の担当をやった。毎日新聞の先輩でもあった。晋太郎さんは、いつも岸信介さんの安保闘争がらみで、「俺は、岸の娘婿じゃないからな。安倍寛の息子だからな」って。安倍寛は、反東条で、非翼賛を主導した5人の中の1人だから。筋金入りの反戦でした。安倍晋太郎さんは、父親に歯向かって特攻隊に志願したのですよ。それで、敗戦。非常に反省をして、新聞記者になった。そういう変遷がある。だから、晋太郎さんは、徹底した反戦、平和主義だった。記者を前に、晋三さんに伝わることを前提にそう言っていた。」
この一節に、安倍晋太郎と安倍晋三と岸井成格氏の本質的な関連性の実態が示されている。

 安倍政権は、今のような恐怖政治を続けているかぎり、政権倒壊は長くはない、と私は考えている。



国内で安倍政権翼賛報道が覆っても、外国のジャーナリストはすべてを見抜いている

2015-12-04 10:54:58 | 転載


【孫崎享のつぶやき】
「報道の自由」は民主主義の根幹。「報道の自由、表現の自由に関する日本の現状が国際的な基準に照らして非常に恥ずかしい状況である」(マックニール氏)
2015-12-04 07:212




國際組織「国境なき記者団」が2015年、国際的ランキングで日本を61位に位置づけた時に、多くの人は誇張ではないかと思ったとみられる。

 しかし、安倍政権の新聞、テレビへの圧力は止まるところを知らない。

 多くの識者はm2016年のランキングはさらに落ちることと予測している。

 日本の社会が如何に異常かは日本滞在等の外国人記者に聴けば分かる。これまでもファクラー・ニューヨークタイムズ紙東京支局長(当時)、ウォルフレン氏等がこの問題を指摘してきたが、デイビッド・マックニールが週刊プレーボーイでこの問題に言及した。

 デイビッド・マックニールは アイルランド出身。東京大学大学院に留学した後、2000年に再来日し、英紙「エコノミスト」や「インディペンデント」に寄稿している。 

 週プレNEWSが12月3日配信した記事内容は下記のとおりである。
 こうした重要な問題点の指摘が王手マスコミでなく、「週刊プレーボーイ」でしか発言できないことに、すでに問題点の深刻さを示している。

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報道自由度ランキングが急降下「メディアは権力の“番犬”であることをもっと理解するべき」

週プレNEWS 12月3日(木)10時0分配

国連が12月に予定していた日本の「表現の自由」に関する調査が、日本政府の要望で急きょキャンセルされた。政府による報道番組への介入など日本のメディアが危機的状況にある中、今回の調査キャンセルを外国人特派員はどう見ているのか?

―「表現の自由」に関する調査の受け入れを日本政府は「スケジュールの調整ができない」という理由で直前にキャンセル。来日するはずだった国連特別報告者のデイビッド・ケイ氏は、これについて自身のツイッターで「失望した」と述べていました。

マックニール 私はケイ氏に直接取材しましたが、彼はこの件について大変に驚き、同時に失望していました。12月1日から8日までの予定で、主に特定秘密保護法の影響やネット上の人権、日本における報道の自由、情報へのアクセスなどの状況に関する調査が行なわれる予定でした。

日本政府は一度、正式に受け入れを表明し、事前に政府関係者や市民グループなどとの協議も行なわれていたのです。それを11月に入って「調査を来年の秋以降に延期したい」と言い出し予定をキャンセルしてしまったのですからケイ氏が驚いたのは当然でしょう。

―こうした政府の対応について、どのように思いますか?

マックニール 私は個人的には驚きませんでした。なぜなら報道の自由、表現の自由に関する日本の現状が国際的な基準に照らして非常に恥ずかしい状況であることを日本の政府関係者はよくわかっているはず。

報道の自由や言論の自由を守るために活動している国際的なNGO「国境なき記者団」が毎年発表している「世界報道自由度ランキング」の2015年版によれば、日本は180ヵ国中61位と、先進国の中では例外的に低い。国連の調査でさらなる状況の悪化が報告されれば、安倍政権にとって大きなマイナスイメージになるだけに調査を来年夏の参院選後にしたかったのでしょう。

―報道の自由ランキングの「61位」という評価は妥当なものなのでしょうか?

マックニール 民主党政権下の2010年には一度、ランキングが総合11位まで上がりましたが、この5年間で50位も下げてしまいました。特に福島第一原子力発電所の事故が発生し、第二次安倍政権が成立してからの低下は著しいものがあります(※12年、13年は53位、14年は59位)。

「国境なき記者団」は日本の報道の自由について、以前からふたつの問題点を指摘しています。ひとつは限られた一部のメディアにしか取材が許されない日本の「記者クラブ」システムの閉鎖性。もうひとつが原発事故以降の、主に原発に関する情報の開示のありかたについてです。

―日本の記者クラブ制度の「閉鎖性」については、マックニールさんも以前から何度も指摘されていましたよね。

マックニール 私は記者クラブ制度そのものが長期政権時代の自民党のために作られたものなのだと思っています。だから、民主党が与党になった時、彼らはこの記者クラブ制度の改革を行なおうとしました。

私はその当時、岡田外務大臣の記者会見を取材したことがありますが、会見には日本の新聞やTVなどの大手メディアだけでなく、フリーランスやインターネットメディアの記者でも自由に出席して質問ができ、何を聞いてもよかった…。日本的な文脈で言えば「革新的」なことでしたし、だからこそ、当時、民主党政権下で日本のランキングが11位まで上昇したのでしょう。

―今回、政府の判断で国連による調査はキャンセル、あるいは「大幅に延期」されてしまったわけですが、日本における報道の自由、言論の自由の状況は、やはり深刻なものだと考えていますか?

マックニール そう思います。NHKは今や日本政府の広報機関のようになってしまいましたし、慰安婦報道を巡る誤報が問題になって以来、これまでメディアとして「権力の監視」という役割を果たしてきた朝日新聞の力は大幅に弱められました。昨年12月の衆院選の際、民放を含むすべての放送局に対して「偏(かたよ)りのない報道」を徹底するようにという通達が出たのも異例のことでした。

また、政府や自民党は新聞社やTV局など「個々のメディア」に直接働きかけ、お気に入りのメディアとそうでないメディア、それぞれに異なる対応をすることで、あからさまにメディアの「選別」やコントロールを行なうようになりました。例えば、我々FCCJ(日本外国特派員協会)の会見には政府や自民党の関係者は出たがらない。日本の記者クラブと違って、厳しい質問が飛んでくる可能性があるので会見に出席するメリットがないと考えているのでしょう。彼らが最も嫌うのが「想定外」の質問をされることですから。

―そうした「報道の自由」の危機に対して大手メディアはあまり強い抵抗を示していないようにも見えます。

マックニール 私を含む外国特派員のほとんどがそのことをとても心配しています。この夏の安保法制を巡る議論では、政府が明らかな「憲法違反」を犯しているという見方が大勢を占めていたにも関わらず、メディアは英語でいう「ウォッチドッグ=番犬」、つまり「権力の監視役」という役割を十分に果たすことができなかった。最近は東京新聞や神奈川新聞などが朝日に変わって、そうしたウォッチドッグの役割を担おうとしていますが…。 今年の夏に起きたことを見る限り、「改憲」を強行しようとする勢力は非常に野心的なプランを持っていて、法の解釈すら簡単に捻(ね)じ曲げてしまう。今のところ、それに対抗する野党の力が十分とは言えないだけに「最後の砦(とりで)」としてのメディアの役割は大きいはずです。

―ところで、イギリスのBBC(英国放送協会)も国民からの受信料によって運営される「公共放送」でNHKとの類似点も多いように思うのですが、BBCでは政府による報道への圧力とか報道の自由をめぐる問題はないのでしょうか?

マックニール 確かにBBCは多くの点でNHKと似ていますし、現実には政府からの圧力も受けているので、決してパーフェクトとは言えませんが、両者の最も大きな違いは「ジャーナリズム」に対する基本的な認識というか、一種の「文化」ではないかと思います。イギリスでは好むと好まざるとにかかわらず、メディアが権力から独立した自由な存在でなければならない、あるいは「権力の監視」という役割を持っているという意識が広く国民全体に共有されていて、たとえそれが政治家にとって不都合な場合でも、そうしたメディアに対する認識は受け入れざるを得ない。

こうした基本的な認識を社会全体でしっかりと守ることが報道の自由を守ることであり、それが民主主義を守るためには欠かせないものだということを日本のメディアや日本人がもっと理解する必要があると思います。
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日本共産党志位和夫委員長の決断は閉塞した野党の情勢を開拓するだろう

2015-12-04 00:19:56 | 転載と私見
志位和夫委員長の英断

            櫻井智志

 以下の新聞記事の内容は、日本共産党が真剣に安倍政権の安保法制と闘っている意志の反映でもあるし、志位委員長の柔軟な決断に共感を覚える。



【東京新聞】転載
共産、自主的に候補取り下げも 野党調整不調でも、志位委員長
2015年12月3日 22時18分

 共産党の志位和夫委員長は3日、党本部で共同通信のインタビューに応じ、来年夏の参院選で野党協力が実現しなかった場合でも、1人区などの一部で候補者の擁立を自主的に取り下げる可能性を示唆した。調整が不調に終わった際、自発的に擁立を見送り、別の野党候補の支援に回ることはあるかとの質問に「目標は安全保障関連法の廃止と安倍政権を倒すことだ。そのために最善を尽くす」と述べた。
 都道府県選挙区の対応で柔軟な姿勢を示すことで野党協力を実現させる狙いがあるとみられる。
(共同)