報道への安倍政権からの規制強化の中、自粛するテレビ局。事実をまともに論じることのできない「大」新聞社の腰抜けスタンスを孫崎享氏は一刀両断する。 櫻井 智志
NHKテレビ「クローズアップ現代」への弾圧、TBSテレビ「NEWS23」へのキャスター攻撃のさなかに、テレビ朝日「報道ステーション」キャスターの古館伊知郎さんが三月で降板という知らせが電撃的に伝わった。
「報道ステーション」では先にコメンテーター古賀正明氏の降板が強制的になされている。今回の報道で、TBSに近い毎日新聞はまともな報道をしている。しかし、テレビ朝日と系列関係にある朝日新聞の報道に孫崎享氏は強く批判している。読売新聞と読売巨人の広報である日本テレビを私はほとんど見ていない。みやねや、のような官制報道など人気番組「笑点」のなかで政府批判を洒落のめす落語家の足元にも及ばない。巨人戦は見てても接戦で盛り上がっても平気で時間が来れば打ち切る局。新聞、テレビの大手マスコミの体制翼賛化はとどまるところを知らない。
TBS、毎日新聞がまだまともな報道を行おうとしている。私は日刊ゲンダイや東京新聞・中日新聞以外の新聞はあまり読まなくなった。「NEWS23」や「報道特集」は現在では少ない良識的報道番組だ。それを持続するか否か、テレビ局会社の上層部の判断は、このくにの将来を左右する大切な決断となろう。
報道各社の上層部と夜に料亭などで宴席をしょっちゅうもっては、アメをしゃぶらせる安倍総理。新聞社は企業から広告を出さなくすればつぶれる、と本音を吐いた自民党首脳。もはや日本の政治とマスコミとの爛れきった腐った実態は、知らない国民をますます大政翼賛会に追い込んでいる。
振り返れば、1972年の沖縄返還協定の時に日米密約を暴いた毎日新聞社西山太吉記者を、政府とマスコミ各社は個人的問題にすりかえて貶めた。ここが決定的な歴史的分岐点となった。この時に、沖縄と日本の主権に関わる奴隷的地位にとどめおくこととして、マスコミと野党が政府を徹底的に批判して国民的運動として展開していれば、いまほどのひどいアメリカ軍と日本マスコミの実態は変わっていたであろう。(了-以下孫崎評論参照)
【孫崎享のつぶやき】
情けない朝日、読売。古舘氏降板の報道に、「本人の申し出」の面だけ。政府・自民党の圧力の憶測をどう見ているのか、何故そのことに言及できないか。
2015-12-24 13:557
A:事実関係
1:朝日新聞(WEB版)「「報道ステーション」古舘キャスター降板へ 来年3月」
「テレビ朝日系のニュース番組「報道ステーション」(月~金曜、午後9時54分~)の古舘伊知郎キャスター(61)が、契約終了に伴い来年3月で降板することになった。テレビ朝日が24日、発表した。番組は継続するが、後任は決まっていないという。
番組は、久米宏さんがキャスターだった「ニュースステーション」の後継として2004年4月に始まり、古舘さんは当初から12年にわたってメインキャスターを務めた。同局によると、本人から「新しいジャンルにも挑戦したい」などと申し入れがあったという。23日までの放送回数は2960回、平均視聴率は13・2%だった。」
2:読売新聞(WEB版)古舘氏「報ステ」3月に降板…新ジャンルに挑戦テレビ朝日は2「4日、平日夜の「報道ステーション」でメインキャスターを務める古舘伊知郎さん(61)が、来年3月31日で番組を降板すると発表した。同局広報部によると、「新しいジャンルにも挑戦したい」と古舘さんから申し出があったという。 古舘さんは同局アナウンサー出身で、フリーに転身後、2004年4月の番組開始当初から出演していた。来年4月以降も番組は継続し、後任の出演者は「調整中」としている」
3:毎日新聞(WEB版)
「古舘さん降板 .「なぜ」広がる驚き 局の姿勢に疑問も」
「名キャスターとされた久米宏さんの後を受けて11年8カ月余り。テレビ朝日の夜の看板報道番組「報道ステーション」の古舘伊知郎キャスターの来年春での退任が24日、明らかになった。放送に詳しい人たちは、年内最後の放送翌日に飛び込んだ突然の降板話に首をひねった。」
B:評価
・一人のキャスターが、「新しいジャンルにも挑戦したい」という事だけだったら、ニュースにはならない。
・報道関係者であれば、報道の仕方に今日、テレビ、新聞に様々な圧力がかかっていることは承知であろう。だから、今度の降板もその一環であり、だから報道する意義があるのであろう。
・毎日新聞は少なくとも見出しで、「なぜ」広がる驚き 局の姿勢に疑問も」と問題であることを提示した。どれ位突っ込んでいるかはWEB版では見えない。
・それを朝日、読売はあたかも、、本人の「新しいジャンルにも挑戦したい」という問題だけであるかの如く、報じている。降板させたれたら、本人はこれまでの仕事がないわけだから、「新しいジャンルにも挑戦したい」というのは当然だろう。しかし、何故、その道の選択になったかを見るべきだ。
・読売新聞の、「同局広報部によると、「新しいジャンルにも挑戦したい」と古舘さんから申し出があったという」という程度で紙面を作るなら、新聞と名乗るのを止めて、「政府・企業広報紙」と名乗って、公式発表だけ掲載したらどうか。
・安倍首相周辺および自民党が、自分達の望まない報道をしたら報道関係に圧力をかけることは、報道関係は当然承知しているし、一般の人々にもそれとなく伝わってきている。
・少なくとも今回の古舘氏交番の話は突然起こったわけではない。長く降板への圧力が官邸などからかかってきたと報道されてきた。ここが降板劇の核心であろう。この核心に全くふれずに、そして原因が「本人から新しいジャンルにも挑戦したい」などと申し入れがあったという」形で説明して事足りたとするなら、もう報道機関と言う資格はないのでないか。。
・各新聞・テレビは自社に対して圧力がかかって自分達が屈したことは恥ずかしくて報道できないのは解る。だったらせめて他者関係の圧力ぐらいは真剣に取材して、圧力の現状を報ずる位の姿勢はとれないのか。。
NHKテレビ「クローズアップ現代」への弾圧、TBSテレビ「NEWS23」へのキャスター攻撃のさなかに、テレビ朝日「報道ステーション」キャスターの古館伊知郎さんが三月で降板という知らせが電撃的に伝わった。
「報道ステーション」では先にコメンテーター古賀正明氏の降板が強制的になされている。今回の報道で、TBSに近い毎日新聞はまともな報道をしている。しかし、テレビ朝日と系列関係にある朝日新聞の報道に孫崎享氏は強く批判している。読売新聞と読売巨人の広報である日本テレビを私はほとんど見ていない。みやねや、のような官制報道など人気番組「笑点」のなかで政府批判を洒落のめす落語家の足元にも及ばない。巨人戦は見てても接戦で盛り上がっても平気で時間が来れば打ち切る局。新聞、テレビの大手マスコミの体制翼賛化はとどまるところを知らない。
TBS、毎日新聞がまだまともな報道を行おうとしている。私は日刊ゲンダイや東京新聞・中日新聞以外の新聞はあまり読まなくなった。「NEWS23」や「報道特集」は現在では少ない良識的報道番組だ。それを持続するか否か、テレビ局会社の上層部の判断は、このくにの将来を左右する大切な決断となろう。
報道各社の上層部と夜に料亭などで宴席をしょっちゅうもっては、アメをしゃぶらせる安倍総理。新聞社は企業から広告を出さなくすればつぶれる、と本音を吐いた自民党首脳。もはや日本の政治とマスコミとの爛れきった腐った実態は、知らない国民をますます大政翼賛会に追い込んでいる。
振り返れば、1972年の沖縄返還協定の時に日米密約を暴いた毎日新聞社西山太吉記者を、政府とマスコミ各社は個人的問題にすりかえて貶めた。ここが決定的な歴史的分岐点となった。この時に、沖縄と日本の主権に関わる奴隷的地位にとどめおくこととして、マスコミと野党が政府を徹底的に批判して国民的運動として展開していれば、いまほどのひどいアメリカ軍と日本マスコミの実態は変わっていたであろう。(了-以下孫崎評論参照)
【孫崎享のつぶやき】
情けない朝日、読売。古舘氏降板の報道に、「本人の申し出」の面だけ。政府・自民党の圧力の憶測をどう見ているのか、何故そのことに言及できないか。
2015-12-24 13:557
A:事実関係
1:朝日新聞(WEB版)「「報道ステーション」古舘キャスター降板へ 来年3月」
「テレビ朝日系のニュース番組「報道ステーション」(月~金曜、午後9時54分~)の古舘伊知郎キャスター(61)が、契約終了に伴い来年3月で降板することになった。テレビ朝日が24日、発表した。番組は継続するが、後任は決まっていないという。
番組は、久米宏さんがキャスターだった「ニュースステーション」の後継として2004年4月に始まり、古舘さんは当初から12年にわたってメインキャスターを務めた。同局によると、本人から「新しいジャンルにも挑戦したい」などと申し入れがあったという。23日までの放送回数は2960回、平均視聴率は13・2%だった。」
2:読売新聞(WEB版)古舘氏「報ステ」3月に降板…新ジャンルに挑戦テレビ朝日は2「4日、平日夜の「報道ステーション」でメインキャスターを務める古舘伊知郎さん(61)が、来年3月31日で番組を降板すると発表した。同局広報部によると、「新しいジャンルにも挑戦したい」と古舘さんから申し出があったという。 古舘さんは同局アナウンサー出身で、フリーに転身後、2004年4月の番組開始当初から出演していた。来年4月以降も番組は継続し、後任の出演者は「調整中」としている」
3:毎日新聞(WEB版)
「古舘さん降板 .「なぜ」広がる驚き 局の姿勢に疑問も」
「名キャスターとされた久米宏さんの後を受けて11年8カ月余り。テレビ朝日の夜の看板報道番組「報道ステーション」の古舘伊知郎キャスターの来年春での退任が24日、明らかになった。放送に詳しい人たちは、年内最後の放送翌日に飛び込んだ突然の降板話に首をひねった。」
B:評価
・一人のキャスターが、「新しいジャンルにも挑戦したい」という事だけだったら、ニュースにはならない。
・報道関係者であれば、報道の仕方に今日、テレビ、新聞に様々な圧力がかかっていることは承知であろう。だから、今度の降板もその一環であり、だから報道する意義があるのであろう。
・毎日新聞は少なくとも見出しで、「なぜ」広がる驚き 局の姿勢に疑問も」と問題であることを提示した。どれ位突っ込んでいるかはWEB版では見えない。
・それを朝日、読売はあたかも、、本人の「新しいジャンルにも挑戦したい」という問題だけであるかの如く、報じている。降板させたれたら、本人はこれまでの仕事がないわけだから、「新しいジャンルにも挑戦したい」というのは当然だろう。しかし、何故、その道の選択になったかを見るべきだ。
・読売新聞の、「同局広報部によると、「新しいジャンルにも挑戦したい」と古舘さんから申し出があったという」という程度で紙面を作るなら、新聞と名乗るのを止めて、「政府・企業広報紙」と名乗って、公式発表だけ掲載したらどうか。
・安倍首相周辺および自民党が、自分達の望まない報道をしたら報道関係に圧力をかけることは、報道関係は当然承知しているし、一般の人々にもそれとなく伝わってきている。
・少なくとも今回の古舘氏交番の話は突然起こったわけではない。長く降板への圧力が官邸などからかかってきたと報道されてきた。ここが降板劇の核心であろう。この核心に全くふれずに、そして原因が「本人から新しいジャンルにも挑戦したい」などと申し入れがあったという」形で説明して事足りたとするなら、もう報道機関と言う資格はないのでないか。。
・各新聞・テレビは自社に対して圧力がかかって自分達が屈したことは恥ずかしくて報道できないのは解る。だったらせめて他者関係の圧力ぐらいは真剣に取材して、圧力の現状を報ずる位の姿勢はとれないのか。。