ストレスとは私たちが日常生活において受けているあらゆる刺激に対する脳の反応ということになります。
一般的に「疾病」は一定の母集団に対して「罹患率」としてその疾病の発生する確率を出すことができます。ところが、ストレス反応の結果、障害に至った状態である「ストレス障害」は「疾病」ではなく「反応」であるため、罹患率は予測できないのです。刺激の強さとその頻度、種類、また刺激を受ける側の要因により、その数字はゼロにもなれば100にもなります。つまり個人が置かれたさまざまな状況に依存するのです。
疾病というのは(うつ病も含めて)“質”的要素が強く、「ALL or None」、イエスかノーかです。それに対して、ストレス反応は“量”的要素が強く「少しの反応、中くらいの反応、強い反応、非可逆的な反応を「ストレス障害」と呼びます。ストレス反応に関する問題はその対応範囲が膨大なものになるのです。
ハイリスクストレッサーとは、まさに生命の危機にかかわるような強い刺激で、戦場における戦闘行為や、レイプなどの犯罪に絡んだもの、交通事故、航空事故などの事故体験が該当します。その多くは「怒り」「恐怖」「悲哀」といった感情が生起されます。ハイリスクストレッサーにより生じるストレス障害は、PTSDとして知られています。
ローリスクストレッサーとは、私たちが日常で遭遇するような比較的危険度が低い刺激です。例えば上司や同僚との人間関係、物資の不足、劣悪な環境、育児ストレスなどが該当します。その多くは「不安」生起されます。慢性・持続的な刺激であるという特性があります。そのため、我々の生活場面において受ける頻度は各段に高いものになります。
不安と思考様式
1)結果追及型思考とプロセス追求型思考
不安を強く抱く人たちの思考パターンや疑問符の付け方には、ある共通項があります。つまり、いくら考えても決して答えが出ない疑問を抱いたり、その疑問に固執して思考を巡らせたりしているという点です。答えのないことを考えると、実態のないものを模索することになり、堂々巡りの思考となります。「癌になったら嫌だ」「癌にはなりたくない」と心配と希望を往復しているだけでそこから先への発展がありません。このような思考パターン(結果追求型の思考)により不安感が生じるのです。それに対して「癌にならないように二年に一回は検診を受けよう」「かかりつけ医を決めておこう」などという考えには答えがあります。同様に「自信が起きたときの避難場所や家族の連絡方法を今のうちから決めておこう」、これにも明確な答えがあります。こうした考え方(プロセス追求型の思考)では、自分がとるべき具体的な対応策としての行動というプロセスを検討しているわけです。
つまり、「そうなったら嫌だ、困る」「こうなってほしい」などと結果のみに着目するのではなく「そうならないために、また、こうするために自分は何をすべきか」を考察することです。
2)不安神経症(全般性不安障害)
不安神経症
・特にこれといった理由もなく何かにつけて心配になり、また理由があったとしてもその理由に見合わないような心の動揺をきたす状態
・その状態はだらだらと長時間にわたり消長を繰り返す
・さらにこの不安によりさまざまな精神症状身体症状が引き起こされる
不安神経症の精神・身体症状とは次のようなものが特徴
・精神症状として過敏、緊張、落ち着きのなさ、不眠、イライラ、集中困難など
・身体症状として筋肉の緊張、首や肩のこり、頭痛・頭重、震え、動悸、息苦しさ、めまい、頻尿、下痢、疲れやすさなどの多様な身体症状
3)マイナス思考
「過去に自分が体験した事象に対するネガティブな捉え方」
ストレス障害のステップ
1)侵入症状 症状の出現様式
2)回避症状
3)過覚醒症状
身体症状
脳の変化に伴い体内の生理的な変化が生じます。
代表的なものが自律神経系の変化と副腎ホルモンの変化です。
ストレス障害の患者さんはある意味で自分に降りかかった難題に、まじめに真剣に必死で立ち向かった挙句に打ちのめされて挫折してしまった人々です。作為や、目論見の介在するゆとりすらなくなっているのです。
サルモンの治療三大原則
・「即時」;直ぐに
・「近接」;その人の傍で
・「期待」:希望を持たせる
うつ病の症状
1)欲動の障害
欲動とは人間が生きていくうえで欠かすことのできない欲求行動であり、性欲、食欲、睡眠欲、行動欲、生命欲の五つがあります。
2)抑制症状
代表的な抑制症状
①思考の抑制;判断力の低下、優先順位がつけられない、同じことばかり考えるなど
②筋肉の抑制;表情筋のゆるみ、緩慢な動作、疲労感、脱力感、声が小さいなど
③胃腸の抑制;食欲低下、便秘、口渇など
3)思考様式・判断力の低下
天気の良い朝を迎えると「気分がいいな。遊びにでもでかけたいな」と感じるのに対し、あるうつ病患者は「こんな良い天気に外に出たくない自分が情けない。つかれるとかえって辛くなる」といいました。
理屈でわかっていても、他者の忠告に耳を傾けない頑な態度も、うつ病の特徴の一つです。
4)リズムの障害
・病相としての波;波の波長が病気の期間、振幅が症状の強さ、波形が症状の安定性、波色が症状の特徴です。
・季節変動、日内変動
午前中抑制が強く、午後から夜間にかけて軽減することが一般的です。
サマーワに派遣された約10名の女性自衛官がいたが、男性に比べてストレスへの対応がよかった。ストレス対策方法を尋ねたところ、
「おしゃべりをする」「運動をする」「あれこれ考えすぎない」というものでした。
ストレス解消法
男性;「運動」「趣味・活動」「思考」
女性;「休養・休息・寝る」「友人との交流」「相談する」
復職するための休職中の過ごし方
1)社員としての自尊心を保持すること
2)復職に対する気持ちを維持すること
3)体力の低下を防止すること
4)コミュニケーション環境を維持すること
5)職務感を失わないこと
6)職務環境のの調整を行うこと
すべきこと
1)刺激を避けない
2)プラス刺激を入れる
3)周辺の脳を活動させる
4)ストレスは避けるのではなく薄めるもの
5)興奮した脳の鎮静化
してはならないこと
1)ダラダラしたり、二度寝や昼寝をしたりなど休むこと
2)反省と後悔など自己否定をすること
食事
1)一日に参加規則的に食事をとることの重要性
2)食事は楽しんでゆっくり食すことが大切
3)ストレスに備えるための栄養素
ストレスに打ち克つために
1)目標の設定と情報
2)適正な評価と裁量権
遊びのすすめ
・生活に余白を作る
・自分で考える、非日常性刺激、自己否定
・脳のリセット
・プロセス思考の活用
感想;
ストレスに対する抵抗力を普段から養っておくこと。
それには柔軟な考え方と幸せに物事を捉えることが必要なのでしょう。
うつ病になると何もできなくなると言われていますが、その中でもできること、何か体を動かすとか、リズムある生活を少しでも送るとか、身体を動かすことが精神面にも大きく影響していることが大切なのでしょう。
それと何より、希望を持つと、何かその状況の中でも”生きる意味”を見つけられるとエネルギーが湧いてくるのでしょう。
一般的に「疾病」は一定の母集団に対して「罹患率」としてその疾病の発生する確率を出すことができます。ところが、ストレス反応の結果、障害に至った状態である「ストレス障害」は「疾病」ではなく「反応」であるため、罹患率は予測できないのです。刺激の強さとその頻度、種類、また刺激を受ける側の要因により、その数字はゼロにもなれば100にもなります。つまり個人が置かれたさまざまな状況に依存するのです。
疾病というのは(うつ病も含めて)“質”的要素が強く、「ALL or None」、イエスかノーかです。それに対して、ストレス反応は“量”的要素が強く「少しの反応、中くらいの反応、強い反応、非可逆的な反応を「ストレス障害」と呼びます。ストレス反応に関する問題はその対応範囲が膨大なものになるのです。
ハイリスクストレッサーとは、まさに生命の危機にかかわるような強い刺激で、戦場における戦闘行為や、レイプなどの犯罪に絡んだもの、交通事故、航空事故などの事故体験が該当します。その多くは「怒り」「恐怖」「悲哀」といった感情が生起されます。ハイリスクストレッサーにより生じるストレス障害は、PTSDとして知られています。
ローリスクストレッサーとは、私たちが日常で遭遇するような比較的危険度が低い刺激です。例えば上司や同僚との人間関係、物資の不足、劣悪な環境、育児ストレスなどが該当します。その多くは「不安」生起されます。慢性・持続的な刺激であるという特性があります。そのため、我々の生活場面において受ける頻度は各段に高いものになります。
不安と思考様式
1)結果追及型思考とプロセス追求型思考
不安を強く抱く人たちの思考パターンや疑問符の付け方には、ある共通項があります。つまり、いくら考えても決して答えが出ない疑問を抱いたり、その疑問に固執して思考を巡らせたりしているという点です。答えのないことを考えると、実態のないものを模索することになり、堂々巡りの思考となります。「癌になったら嫌だ」「癌にはなりたくない」と心配と希望を往復しているだけでそこから先への発展がありません。このような思考パターン(結果追求型の思考)により不安感が生じるのです。それに対して「癌にならないように二年に一回は検診を受けよう」「かかりつけ医を決めておこう」などという考えには答えがあります。同様に「自信が起きたときの避難場所や家族の連絡方法を今のうちから決めておこう」、これにも明確な答えがあります。こうした考え方(プロセス追求型の思考)では、自分がとるべき具体的な対応策としての行動というプロセスを検討しているわけです。
つまり、「そうなったら嫌だ、困る」「こうなってほしい」などと結果のみに着目するのではなく「そうならないために、また、こうするために自分は何をすべきか」を考察することです。
2)不安神経症(全般性不安障害)
不安神経症
・特にこれといった理由もなく何かにつけて心配になり、また理由があったとしてもその理由に見合わないような心の動揺をきたす状態
・その状態はだらだらと長時間にわたり消長を繰り返す
・さらにこの不安によりさまざまな精神症状身体症状が引き起こされる
不安神経症の精神・身体症状とは次のようなものが特徴
・精神症状として過敏、緊張、落ち着きのなさ、不眠、イライラ、集中困難など
・身体症状として筋肉の緊張、首や肩のこり、頭痛・頭重、震え、動悸、息苦しさ、めまい、頻尿、下痢、疲れやすさなどの多様な身体症状
3)マイナス思考
「過去に自分が体験した事象に対するネガティブな捉え方」
ストレス障害のステップ
1)侵入症状 症状の出現様式
2)回避症状
3)過覚醒症状
身体症状
脳の変化に伴い体内の生理的な変化が生じます。
代表的なものが自律神経系の変化と副腎ホルモンの変化です。
ストレス障害の患者さんはある意味で自分に降りかかった難題に、まじめに真剣に必死で立ち向かった挙句に打ちのめされて挫折してしまった人々です。作為や、目論見の介在するゆとりすらなくなっているのです。
サルモンの治療三大原則
・「即時」;直ぐに
・「近接」;その人の傍で
・「期待」:希望を持たせる
うつ病の症状
1)欲動の障害
欲動とは人間が生きていくうえで欠かすことのできない欲求行動であり、性欲、食欲、睡眠欲、行動欲、生命欲の五つがあります。
2)抑制症状
代表的な抑制症状
①思考の抑制;判断力の低下、優先順位がつけられない、同じことばかり考えるなど
②筋肉の抑制;表情筋のゆるみ、緩慢な動作、疲労感、脱力感、声が小さいなど
③胃腸の抑制;食欲低下、便秘、口渇など
3)思考様式・判断力の低下
天気の良い朝を迎えると「気分がいいな。遊びにでもでかけたいな」と感じるのに対し、あるうつ病患者は「こんな良い天気に外に出たくない自分が情けない。つかれるとかえって辛くなる」といいました。
理屈でわかっていても、他者の忠告に耳を傾けない頑な態度も、うつ病の特徴の一つです。
4)リズムの障害
・病相としての波;波の波長が病気の期間、振幅が症状の強さ、波形が症状の安定性、波色が症状の特徴です。
・季節変動、日内変動
午前中抑制が強く、午後から夜間にかけて軽減することが一般的です。
サマーワに派遣された約10名の女性自衛官がいたが、男性に比べてストレスへの対応がよかった。ストレス対策方法を尋ねたところ、
「おしゃべりをする」「運動をする」「あれこれ考えすぎない」というものでした。
ストレス解消法
男性;「運動」「趣味・活動」「思考」
女性;「休養・休息・寝る」「友人との交流」「相談する」
復職するための休職中の過ごし方
1)社員としての自尊心を保持すること
2)復職に対する気持ちを維持すること
3)体力の低下を防止すること
4)コミュニケーション環境を維持すること
5)職務感を失わないこと
6)職務環境のの調整を行うこと
すべきこと
1)刺激を避けない
2)プラス刺激を入れる
3)周辺の脳を活動させる
4)ストレスは避けるのではなく薄めるもの
5)興奮した脳の鎮静化
してはならないこと
1)ダラダラしたり、二度寝や昼寝をしたりなど休むこと
2)反省と後悔など自己否定をすること
食事
1)一日に参加規則的に食事をとることの重要性
2)食事は楽しんでゆっくり食すことが大切
3)ストレスに備えるための栄養素
ストレスに打ち克つために
1)目標の設定と情報
2)適正な評価と裁量権
遊びのすすめ
・生活に余白を作る
・自分で考える、非日常性刺激、自己否定
・脳のリセット
・プロセス思考の活用
感想;
ストレスに対する抵抗力を普段から養っておくこと。
それには柔軟な考え方と幸せに物事を捉えることが必要なのでしょう。
うつ病になると何もできなくなると言われていますが、その中でもできること、何か体を動かすとか、リズムある生活を少しでも送るとか、身体を動かすことが精神面にも大きく影響していることが大切なのでしょう。
それと何より、希望を持つと、何かその状況の中でも”生きる意味”を見つけられるとエネルギーが湧いてくるのでしょう。