https://news.goo.ne.jp/article/dailyshincho/business/dailyshincho-603454.html?from=gootop#cxrecs_s 2020/01/20 (デイリー新潮)
米は冷笑、仏は同情的!?
日本人は海外の反応を非常に気にすると言われる。2019年12月、日本時間の31日に「私は今レバノンにいる」との声明を出したカルロス・ゴーン被告(65)の逃走に関する報道は、その代表例だろう。
***
試しに編集部のパソコンを使い、検索エンジンに「日本人 海外 反応 気にする」と入力し、ニュースを探してみた。するとトップ10本のうち何と3本が、ゴーン被告に関する記事だった。もちろんPCごとに違う結果が出るわけだが、表示順のリストをご紹介しておく。
◆「ゴーン被告記者会見・日本の当局はなぜ効果的な反論ができないのか」(YAHOO!ニュース:1月13日 ※江川紹子氏の署名記事)
◆「劇的な脱出に成功したゴーン被告 海外はどう見ているか」(Forbes JAPAN:1月5日 ※ピーター・ライオン氏の署名記事)
◆「ゴーン被告『逃亡正当化』日本の司法制度“痛烈批判” 『保釈中の逃走』法改正の動き」(MBSニュース:1月9日)
ちなみに他の7本はプロレス、外国人労働者、サッカー、カジノ問題とバラバラであり、時事性が低い記事もある。
ゴーン被告のニュースが3本も表示されるのは、やはり突出している。どれほど日本人が“前代未聞の逃走劇”について、海外の評価を知りたがっているか一目瞭然だ。
そうしたニーズに応えた記事の1つに、共同通信が1月9日に配信した「ゴーン被告会見、報道さまざま 各国メディア、肯定や皮肉」がある。レバノンに8日で開かれた会見を海外メディアがどう報道したかという記事だ。
《カルロス・ゴーン被告が逃亡先のレバノンで8日行った記者会見について、各国メディアの報じ方はさまざまだ。
フランスのフィガロ紙は、陰謀で投獄された後、脱獄して報復に出るアレクサンドル・デュマ作の物語に例え「現代のモンテ・クリスト伯(巌窟王)は全世界を魅惑する」と報道。レバノン英字紙デーリー・スターは、被告が「長く待ち望んだスピーチ」を行ったと伝えた。
米紙ニューヨーク・タイムズ電子版は、スクリーンに資料を映しながら説明する様子を「企業のプレゼンテーションのよう」としつつ「文字が小さすぎて誰も読めなかった」と皮肉交じり》
ルノーの本社があるフランスは同情的、アメリカは意外に冷笑的――こんな傾向があるのかと読者は推測するわけだが、実情はなかなか見えてこない。
欧米の報道内容を総まとめ
日本人としては、次のような疑問を持っているのではないか。
「海外メディアはゴーン被告と一緒になって日本を“人質司法の国”と批判するキャンペーン報道を繰り広げているのではないか?」
「逃亡劇を詳細に報じ、日本の出入国管理は穴だらけとバカにしているのではないか?」
「ゴーン被告の妻、キャロル・ナハス容疑者(53)に同情し、日本を批判する報道を繰り広げているのではないか?」
そこでデーブ・スペクター氏に取材を申し込んだ。デーブ氏はニュース番組でコメンテーターを務めており、海外番組の買い付けなども行っていることから、海外メディアの報道に詳しい。当然ながらゴーン被告に関する報道も高い関心をもってウォッチしている。
「結論から言えば、日本の人質司法をセンセーショナルに批判するような報道は、行われていないに等しいですね。もともと日本と欧米の報道では、相当な温度差があるのです。欧米のメディアは、ゴーン被告の逃亡を事件としてではなく、経済ニュースとして取り上げています。日本は逃げられた側ですから、社会部が事件として大きく報道しています。いや、今や芸能ニュース並みの扱いかもしれません(笑)」
アメリカの場合なら、ゴーン被告のニュースを報じているのは、自国のウォール・ストリート・ジャーナル、ブルームバーグ、そしてイギリスに本社を置くロイターという経済メディアが中心だ。記者と読者の関心は「ルノーと日産の将来は今後、どうなるのか?」がメインだという。
「ドラマチックな逃亡劇ではありましたが、そもそもルノーに高い関心を持っているのはフランス人だけでしょう。アメリカ人は日産の車が大好きですし、欧州車はドイツ車もイタリア車も人気があります。しかし、ルノーの車がアメリカ国内を走っているところはあまり見たことがありません。日本とフランスを除けば、カルロス・ゴーンという人物に対する関心はそれほど高くないのです」
こうした欧米の報道姿勢は、ゴーン被告にも好ましい状況だという。彼の主張の根幹は「ルノーと日産の合併を阻止するために日本政府が動き、日産社内のクーデターを検察が応援した」だ。このストーリーに、海外の経済メディアも高い関心を持っている。
「テレビ東京が会見に出席を許されたことが大きな話題を呼びましたが、同じ理由だったと思います。『ワールドビジネスサテライト』(平日・23:00)は経済ニュースが中心で、検察のリーク報道を流す番組ではありません。ゴーン被告は『あの番組なら、自分の主張に関心を示すはずだ』と判断したのでしょう」
“手記”と“映画”の制作が進行中!?
レバノンでの会見が行われる前は、「政治家の名前が暴露されるのではないか」と、日本でも高い関心を集めていたが、結局のところゴーン被告は、「レバノン政府に迷惑をかけたくない」として名前を伏せた。
ゴーン被告が「ルノーと日産の合併を阻止するために日本政府が動き、日産社内のクーデターを検察が応援した」と訴えているのは前に見た通りだが、デーブ氏も「耳を傾けるべき主張だと思います」と理解を示す。
「特捜部の立件対象は、全て日産社内で解決できるものばかりです。日産の調査でゴーン氏の不透明な金の流れを明らかにした上で解任し、民事訴訟で返還請求をすれば済む話でしかありません。しかし、ルノーと日産の間で行われていたことは、日本政府とフランス政府の戦争であり、ロッキード事件級のスキャンダルだったはずなのです。この問題を追及しない日本の野党には、強い失望を覚えているほどです」
会見で政治家の名前を暴露しなくとも、手記に書く手はある。それが映画やドラマ化されれば、ゴーン氏には巨万の富が転がり込むかもしれない――こうした観点での記事も頻繁に報じられている。
◆「ゴーン被告、ネットフリックスと独占契約 仏紙報道」(朝日新聞デジタル:1月3日)
◆「ハリウッド関係者と面会 ゴーン被告、逃走前に映画の相談―米紙」(時事ドットコムニュース:1月4日)
◆「ゴーン被告が本を出版へ 海外メディアで主張を展開も」(NHK NEWS WEB:1月9日)
朝日新聞デジタルの「仏紙」とあるのは、高級紙のルモンドだ。しかし、ネットフリックス側はすぐに、「契約ない」と否定したが、信じる人は少ないようだ。
「ネットフリックスは世界中で人気ですし、オリジナルの映画とドラマシリーズも制作しています。実際に放送されるのは“氷山の一角”で、無数の企画書が書かれ、映画化権を取得し、大多数はボツになります。そういう意味でいえば、ゴーン被告の人生に関心を持たない担当者はいないと思います。ネットフリックスなら、日本とフランス、ブラジルと中東諸国、そしてアメリカでのヒットが見込めるので、権利を確保しようとしても全く不思議はありません。ただし、実際に制作して公開されるかは未知数です」
TBS NEWSが1月13日に報じた「ゴーン被告、“逃亡劇”のハリウッド映画化に前向き」の記事と動画は、アメリカのCBSテレビがゴーン被告に行ったインタビューを紹介したものだ。
これによるとゴーン被告は、今後の見通しについて、次のように語ったという。
《アメリカのハーバード法科大学院や投資家のイベントなど多くの講演依頼が来ているとした一方で、何か固定された役職に就くことは考えにくく、あったとしても投資分野になるだろうとの見通しを語りました》
デーブ氏も「私はゴーン被告の今後を、母国のレバノンで半ば引退に近い状態になると思います」と予測する。
「ゴーン被告は1954年生まれで、今年の3月で66歳になります。ビル・ゲイツさんは55年生まれで、今は64歳。彼の引退が発表されたのは2008年でした。今やIT業界では30代のリタイアも珍しくなくなりました。手段は問題がありましたが、ゴーン被告は逃亡したことで故郷に帰り、妻と生活を共にすることができました。再起を期して経営の表舞台に戻るとは考えにくく、安穏とした日常生活を選ぶのではないでしょうか」
2020年1月20日 掲載
感想;
「特捜部の立件対象は、全て日産社内で解決できるものばかりです。日産の調査でゴーン氏の不透明な金の流れを明らかにした上で解任し、民事訴訟で返還請求をすれば済む話でしかありません。しかし、ルノーと日産の間で行われていたことは、日本政府とフランス政府の戦争であり、ロッキード事件級のスキャンダルだったはずなのです。この問題を追及しない日本の野党には、強い失望を覚えているほどです」
この言葉に、ゴーン氏逮捕の背景があるのかもしれません。
日産だけではゴーン氏を解任できなかったので、検察の力を借りたのでしょう。
そのエネルギーを
・詩織さんへの山口氏準強姦
・森友学園問題
・池田中の担任と副担任による虐めによる自殺
など他のところに費やして欲しいです。
本来日産内の問題ですから。
検察により緩かったり厳しかったり、公正な司法制度でないのかもしれません。
それをゴーン氏が言っているとすると、ひょっとしてそれは日本人のためなのかもしれません。
米は冷笑、仏は同情的!?
日本人は海外の反応を非常に気にすると言われる。2019年12月、日本時間の31日に「私は今レバノンにいる」との声明を出したカルロス・ゴーン被告(65)の逃走に関する報道は、その代表例だろう。
***
試しに編集部のパソコンを使い、検索エンジンに「日本人 海外 反応 気にする」と入力し、ニュースを探してみた。するとトップ10本のうち何と3本が、ゴーン被告に関する記事だった。もちろんPCごとに違う結果が出るわけだが、表示順のリストをご紹介しておく。
◆「ゴーン被告記者会見・日本の当局はなぜ効果的な反論ができないのか」(YAHOO!ニュース:1月13日 ※江川紹子氏の署名記事)
◆「劇的な脱出に成功したゴーン被告 海外はどう見ているか」(Forbes JAPAN:1月5日 ※ピーター・ライオン氏の署名記事)
◆「ゴーン被告『逃亡正当化』日本の司法制度“痛烈批判” 『保釈中の逃走』法改正の動き」(MBSニュース:1月9日)
ちなみに他の7本はプロレス、外国人労働者、サッカー、カジノ問題とバラバラであり、時事性が低い記事もある。
ゴーン被告のニュースが3本も表示されるのは、やはり突出している。どれほど日本人が“前代未聞の逃走劇”について、海外の評価を知りたがっているか一目瞭然だ。
そうしたニーズに応えた記事の1つに、共同通信が1月9日に配信した「ゴーン被告会見、報道さまざま 各国メディア、肯定や皮肉」がある。レバノンに8日で開かれた会見を海外メディアがどう報道したかという記事だ。
《カルロス・ゴーン被告が逃亡先のレバノンで8日行った記者会見について、各国メディアの報じ方はさまざまだ。
フランスのフィガロ紙は、陰謀で投獄された後、脱獄して報復に出るアレクサンドル・デュマ作の物語に例え「現代のモンテ・クリスト伯(巌窟王)は全世界を魅惑する」と報道。レバノン英字紙デーリー・スターは、被告が「長く待ち望んだスピーチ」を行ったと伝えた。
米紙ニューヨーク・タイムズ電子版は、スクリーンに資料を映しながら説明する様子を「企業のプレゼンテーションのよう」としつつ「文字が小さすぎて誰も読めなかった」と皮肉交じり》
ルノーの本社があるフランスは同情的、アメリカは意外に冷笑的――こんな傾向があるのかと読者は推測するわけだが、実情はなかなか見えてこない。
欧米の報道内容を総まとめ
日本人としては、次のような疑問を持っているのではないか。
「海外メディアはゴーン被告と一緒になって日本を“人質司法の国”と批判するキャンペーン報道を繰り広げているのではないか?」
「逃亡劇を詳細に報じ、日本の出入国管理は穴だらけとバカにしているのではないか?」
「ゴーン被告の妻、キャロル・ナハス容疑者(53)に同情し、日本を批判する報道を繰り広げているのではないか?」
そこでデーブ・スペクター氏に取材を申し込んだ。デーブ氏はニュース番組でコメンテーターを務めており、海外番組の買い付けなども行っていることから、海外メディアの報道に詳しい。当然ながらゴーン被告に関する報道も高い関心をもってウォッチしている。
「結論から言えば、日本の人質司法をセンセーショナルに批判するような報道は、行われていないに等しいですね。もともと日本と欧米の報道では、相当な温度差があるのです。欧米のメディアは、ゴーン被告の逃亡を事件としてではなく、経済ニュースとして取り上げています。日本は逃げられた側ですから、社会部が事件として大きく報道しています。いや、今や芸能ニュース並みの扱いかもしれません(笑)」
アメリカの場合なら、ゴーン被告のニュースを報じているのは、自国のウォール・ストリート・ジャーナル、ブルームバーグ、そしてイギリスに本社を置くロイターという経済メディアが中心だ。記者と読者の関心は「ルノーと日産の将来は今後、どうなるのか?」がメインだという。
「ドラマチックな逃亡劇ではありましたが、そもそもルノーに高い関心を持っているのはフランス人だけでしょう。アメリカ人は日産の車が大好きですし、欧州車はドイツ車もイタリア車も人気があります。しかし、ルノーの車がアメリカ国内を走っているところはあまり見たことがありません。日本とフランスを除けば、カルロス・ゴーンという人物に対する関心はそれほど高くないのです」
こうした欧米の報道姿勢は、ゴーン被告にも好ましい状況だという。彼の主張の根幹は「ルノーと日産の合併を阻止するために日本政府が動き、日産社内のクーデターを検察が応援した」だ。このストーリーに、海外の経済メディアも高い関心を持っている。
「テレビ東京が会見に出席を許されたことが大きな話題を呼びましたが、同じ理由だったと思います。『ワールドビジネスサテライト』(平日・23:00)は経済ニュースが中心で、検察のリーク報道を流す番組ではありません。ゴーン被告は『あの番組なら、自分の主張に関心を示すはずだ』と判断したのでしょう」
“手記”と“映画”の制作が進行中!?
レバノンでの会見が行われる前は、「政治家の名前が暴露されるのではないか」と、日本でも高い関心を集めていたが、結局のところゴーン被告は、「レバノン政府に迷惑をかけたくない」として名前を伏せた。
ゴーン被告が「ルノーと日産の合併を阻止するために日本政府が動き、日産社内のクーデターを検察が応援した」と訴えているのは前に見た通りだが、デーブ氏も「耳を傾けるべき主張だと思います」と理解を示す。
「特捜部の立件対象は、全て日産社内で解決できるものばかりです。日産の調査でゴーン氏の不透明な金の流れを明らかにした上で解任し、民事訴訟で返還請求をすれば済む話でしかありません。しかし、ルノーと日産の間で行われていたことは、日本政府とフランス政府の戦争であり、ロッキード事件級のスキャンダルだったはずなのです。この問題を追及しない日本の野党には、強い失望を覚えているほどです」
会見で政治家の名前を暴露しなくとも、手記に書く手はある。それが映画やドラマ化されれば、ゴーン氏には巨万の富が転がり込むかもしれない――こうした観点での記事も頻繁に報じられている。
◆「ゴーン被告、ネットフリックスと独占契約 仏紙報道」(朝日新聞デジタル:1月3日)
◆「ハリウッド関係者と面会 ゴーン被告、逃走前に映画の相談―米紙」(時事ドットコムニュース:1月4日)
◆「ゴーン被告が本を出版へ 海外メディアで主張を展開も」(NHK NEWS WEB:1月9日)
朝日新聞デジタルの「仏紙」とあるのは、高級紙のルモンドだ。しかし、ネットフリックス側はすぐに、「契約ない」と否定したが、信じる人は少ないようだ。
「ネットフリックスは世界中で人気ですし、オリジナルの映画とドラマシリーズも制作しています。実際に放送されるのは“氷山の一角”で、無数の企画書が書かれ、映画化権を取得し、大多数はボツになります。そういう意味でいえば、ゴーン被告の人生に関心を持たない担当者はいないと思います。ネットフリックスなら、日本とフランス、ブラジルと中東諸国、そしてアメリカでのヒットが見込めるので、権利を確保しようとしても全く不思議はありません。ただし、実際に制作して公開されるかは未知数です」
TBS NEWSが1月13日に報じた「ゴーン被告、“逃亡劇”のハリウッド映画化に前向き」の記事と動画は、アメリカのCBSテレビがゴーン被告に行ったインタビューを紹介したものだ。
これによるとゴーン被告は、今後の見通しについて、次のように語ったという。
《アメリカのハーバード法科大学院や投資家のイベントなど多くの講演依頼が来ているとした一方で、何か固定された役職に就くことは考えにくく、あったとしても投資分野になるだろうとの見通しを語りました》
デーブ氏も「私はゴーン被告の今後を、母国のレバノンで半ば引退に近い状態になると思います」と予測する。
「ゴーン被告は1954年生まれで、今年の3月で66歳になります。ビル・ゲイツさんは55年生まれで、今は64歳。彼の引退が発表されたのは2008年でした。今やIT業界では30代のリタイアも珍しくなくなりました。手段は問題がありましたが、ゴーン被告は逃亡したことで故郷に帰り、妻と生活を共にすることができました。再起を期して経営の表舞台に戻るとは考えにくく、安穏とした日常生活を選ぶのではないでしょうか」
2020年1月20日 掲載
感想;
「特捜部の立件対象は、全て日産社内で解決できるものばかりです。日産の調査でゴーン氏の不透明な金の流れを明らかにした上で解任し、民事訴訟で返還請求をすれば済む話でしかありません。しかし、ルノーと日産の間で行われていたことは、日本政府とフランス政府の戦争であり、ロッキード事件級のスキャンダルだったはずなのです。この問題を追及しない日本の野党には、強い失望を覚えているほどです」
この言葉に、ゴーン氏逮捕の背景があるのかもしれません。
日産だけではゴーン氏を解任できなかったので、検察の力を借りたのでしょう。
そのエネルギーを
・詩織さんへの山口氏準強姦
・森友学園問題
・池田中の担任と副担任による虐めによる自殺
など他のところに費やして欲しいです。
本来日産内の問題ですから。
検察により緩かったり厳しかったり、公正な司法制度でないのかもしれません。
それをゴーン氏が言っているとすると、ひょっとしてそれは日本人のためなのかもしれません。