幸せに生きる(笑顔のレシピ) & ロゴセラピー 

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「裸足で逃げる 沖縄の夜の街の少女たち」上間陽子著 ”男が悪い!/その悪い男に惚れる!”

2022-05-02 02:11:44 | 本の紹介
優歌
・優歌には以前、子どもがいた。16歳で妊娠して結婚し、17歳で男の子をひとり産んだのだという。子どもが生まれたあと、つくったご飯を目の前で夫にゴミ箱に捨てられ、夫の仕事着を洗うと舌打ちされ最初から洗濯のやり直しをさせられる日々のなかで、あるとき、包丁を取り出して夫に斬りかかろうとして離婚された。
それまで優歌がひとりで面倒を見ていた子どもは優歌が引き取るはずだったが、夫の母親が自分の親族のユタを連れ立ってやってきて、優歌の家に子どもがいると一族に問題が起こると神様のお告げがあったといって、8か月になったばかりの優歌の子どもを連れて行ってしまった。だから優歌は、ひとりで実家に帰った。
・今度の恋人は龍輝といって、5歳上で鳶をしているバツイチの男性だという。
・「あいつ(龍輝)、前の妻、二回、病院送りにしているよ」とつぶやいた。
・予定日を少し過ぎた日の明け方、優歌は、母親の立ち合いのもと、ひとりの男の子を産んだ。
・優歌はもうすぐ24歳になる。ハルという子どもをひとり、育てている。優歌はいま、キャバ嬢をしている。


・保健室の先生は、翼が登校するとまず保健室で朝ごはんを食べさせてから、教室に行くように面倒を見てくれた。
・だがこうした取り組みが、沖縄全県の中学校で、いまでもなされているわけではないように私には思える。
・15歳の翼にとって、大きな繁華街であるA街でキャバ嬢になることは広い世界に出て行くことを意味していた。
・16歳になったころ、翼はボーイをしていた7歳年上の男性と付き合うようになった。付き合って二か月たったころ、翼は妊娠していることに気がついた。
・16歳のときに子どもを産むと、翼はすぐにキャバクラに戻って働きはじめた。
・翼が、家にお金をいれてくれないことを夫に対して強くいえなかったのは、夫が酒を飲むと暴力をふるう男だったからだ。
・翼が妊娠しているときにはじまった夫の暴力は、翼が子どもを出産してからもやむことはなかった。
・翼をなぐったあと、夫は自分の暴力の正当性を主張した。そして、もし翼が離婚しようとしたら、子どもの親権は自分がとると話した。翼はその言葉に怯え、どんなになぐられても、離婚を考えないようにしていた。
・翼の受けた傷は全治1か月の重症で、マスクをしても顔の傷を隠すことができないものだった。
・翼はついに離婚を決めた。
・夫に離婚届を書かせてアパートから追い出すことができたのは、翼があの暴行を受けた日から6か月近くたってからのことだった。
・6年間続けてきたキャバ嬢をやめることになったら、子どもを飢えさせることになってしまわないか心配ではある。

鈴乃
・そのころの鈴乃は、昼は看護専門学校に通い、夜はキャバクラで働きながら、理央という子どもをひとりで育てるシングルマザーだった。
・鈴乃が高校2年生になったころ、妊娠していることがわかった。妊娠の相手は、鈴乃が中学生のときに付き合いはじめた同級生だった。
・鈴乃は、恋人からずっとDVを受けていた。一緒に暮らすようになってからも、恋人からの暴力がやむことはなかった。
・退院直前の最終的な検査で、理央(娘)には重い脳性麻痺があるとの診断が出た。理央は、退院してからもずっと吸引機と吸入器をつけておく必要がある。
・昼間は理央の面倒を見て、夜はキャバクラで仕事をする生活がはじまった。
・友だちの卒業式に出た鈴乃は、もう一度高校に戻ることを決めた。理央を預ける先がないので、昼間は難しい。でも定時制高校だったら、通うことができる。
・その生活を送るうちに、鈴乃は次第に看護師になりたいという思いを抱くようになる。鈴乃がDVを受けていることに気づき、声をかけてくれた看護師たちに、鈴乃はずっと憧れていた。鈴乃は、看護師専門学校を受験するための、塾に行くことはできないかを考えた。
・看護学校での生活は充実していた。友だちにも恵まれたし、勉強することも楽しかった。なによりひとつひとつのことが、看護師という仕事につながっていくことも実感できた。
・実習期間は、理央が入院していたときにお世話になった看護師に再開し、鈴乃がいま看護師のタマゴになっていることを喜んでもらう日々だった。
・最近、鈴乃には恋人ができた。それは鈴乃がキャバクラで仕事をしていたころ、店に顔を出してくれていた客のひとりだった。
・鈴乃は、暴行を受けてシェルターに入り、その後は養育費も慰謝料ももらわずに、ずっとひとりで理央を育てている。気管切開をしている理央を長時間預けることのできる保育園は、どこにもなかった。
・今日も鈴乃は、仕事が終わると理央に会いに施設に行く。そして施設で理央の使った服をもらって家に帰り、それから、洗濯機をまわして理央の服を洗う(施設で洗ってくれるのだが、なにか子どものためにしたいと)。
・学校に通っているとき、鈴乃のカバンにはドレスが入っていた。いま鈴乃のカバンには、看護師の制服と洗い立ての理央の服が入っている。

亜矢
・医師は、亜矢が答えたくないであろう質問を矢継ぎ早に繰り返し、亜矢の妊娠を問題にした。そして亜矢の子どもの父親と、亜矢が妊娠している子どもの父親が異なることをあえて可視化して、亜矢のことを異端とみなした。
・亜矢が20歳になるまで、あと3年もかかるのかとあらためて思う。
・亜矢は、中学2年生のときに集団レイプされていた。三人の男たちは、次々と亜矢をレイプした。
・亜矢は事件のことを家族に隠した。だが、病院から自宅にカウンセリング案内が届き、亜矢の両親は事件を知る。父親は、被害届を出して犯人を捜そうといった、だが母親は被害届を出すことに反対し、「結局は、おまえがA署から逃げるのが悪い」と亜矢を責めた。
・そして、事件のあとの自分が元気になったことを証明するために、性体験をもった男性が多くて、「いまだに、何人とヤッたか覚えていない。はるかに50人超していたってば、自分でびっくりしたってば」といった。だが、レイプされたあと、頻繁に性交渉を重ねることはよくあることだ。それは、レイプされたことがなんでもないことだからではなく、そのとき味わった恐怖を無化し、奪われたコントロール感覚を取り戻すために、もう一度同じような場面を再現して、今度こそ、その恐怖に打ち勝とうとして行われる。それによって、自分は事件に負けなかったこと、変わらずに存在していることを、何度も何度も被害者は確かめようとする。
・亜矢は、事件のことを、職場でできた仲のよい友だちにも、付き合っている恋人にも話したことがない。それはまだ、亜矢の人生に統合されない記憶だ。それはただ、断片のまま、そこにある。

京香
・京香はキャバ嬢で、自分の実家で父親と兄と弟と自分の子どもの紫音と5人で暮らしていた。
・京香の父親は、毎日お酒を飲んでは車の運転を繰り返し、ついに飲酒運転で逮捕されて仕事を解雇されてしまっていた。父親が逮捕されたあと京香の母親は怒り、離婚して家を出ていた。
・そもそも彼女たちは、子どもをひとりで育てるために、金払いがよいとされる風俗業界で働く、だが、キャバクラの時給はせいぜい2,000円前後で、そこから送迎代とメイクやヘアメイクのためのスタジオ代を差し引くと、日給は1万円前後にしかならない。
・京香はそうした職場で働きながら、「男はもう面倒くさくて、裏切るから」「母子家庭で生きていくって決めていた」と話していた。
・京香は15歳のときに、子どもをひとりで産んでいた。
妊娠したのは中学3年生のときだった。少し前まで付き合っていた恋人の子どもだったが、その恋人と別れたこともあって、京香が妊娠に気がついたのは、妊娠5か月日になってからだった。
・それから半年近くたって、京香は妊娠した。ずっと子どもは紫音だけでいいと話していたが、ルイと付き合うことをまわりに認めてもらうために、「つくっちゃえば、だれも文句ないでしょう」と考えたのだと言う。
・赤ちゃんが生まれてからも、ふたりは入籍しなかった。
・たぶんこれからも、ふたりにはいろいろあると思う。

春菜
・春菜は、15歳のときに家を出てから4年間、客の車に乗ってどこかのホテルに出かけてセックスする日々を送っていた。春菜はそうやってお金を稼ぎ、恋人の和樹と一緒に暮してきた。半年前に和樹と別れて自分の家に帰ってから、春菜はいままでとはちがう仕事をはじめていた。
・だが次第に春菜は、和樹が自分のお金をあてにして生活することに、苛立ちを覚えるようになる。春菜が17歳のころ、春菜と和樹は友だちも一緒に、九州に「出稼ぎ」に出かけ、春菜は毎日数人の客をとって、150万円ものお金を貯めて沖縄に帰って来た。150万円というお金は、1.5万円で客をとっていた春菜が、ざっと100人の客をとった計算になる。出稼ぎ期間中の生活費もすべて、春菜が払っていたわけだから、それより多い数の客をとって、春菜は毎日、仕事をしていたはずだ。
・家に帰ってきて、春菜は朝起きて仕事に行き、それから夜まで仕事をするという「普通のことをする生活」をはじめた。ふたたび会うようになった中学時代の友だちには、家出しているあいだ、ずっとキャバクラで働いていたと説明した。また家に帰ってきてから、すぐに付き合いはじめた男性にも、これまではずっとキャバクラで働いていたと説明した。
・いま春菜は、その恋人に4年間のことを知られないように、隠して付き合っている。それでも春菜の不安がなくなることはない。
・春菜は携帯電話の番号を変えた。そして昔の友だちの前から姿を消した。
・あれから春菜がどんな日々を送っているか私にはもうわからない。春菜の日々が大丈夫であってほしいと思っている。

感想
「海をあげる」上間陽子著 ”普天間基地近くに暮す著者が沖縄の日常の出来事から沖縄の実情を訴える”

貧困の連鎖の犠牲に子どもたちがさらされているようです。

それにしても、男が無責任すぎます。
弱い相手に暴力を振るう。
情けないです。
きちんと愛する人を養うくらいの、共稼ぎでもよいですが、それだけの生活力を付けて欲しいものです。

ただ、そんなダメな男を好きになってしまう。
そしてきちんと避妊をしない男性と避妊を自分の身体を守る視点から強く言えない女性。
中絶するにしても、中絶費用は男の責任でお金を工面して欲しいものです。

生まれてきた子どもが、貧困の連鎖を繰り返さないことを願います。

アベノマスクに400億円、安倍元首相がプーチン大統領のロシア支援に3,000億円、吉村府知事の2.7%しか活用されなかったコロナ収容施設に84億円、政治家は無駄遣いばかりしています。
利権で美味しい蜜でも吸えるのでしょうか。

日本の将来を担う子どもたちに支援して欲しいです。

自分の人生を大切にしようと考える前に、妊娠など厳しい環境に置かれ、十分な教育も受ける前に社会に放り出されてしまっています。
その時に、身近に助けがあるかどうかで変わるようです。
何よりも自分の人生を大切にし、自分が生きる意味を見出せると、それは力になるのでしょう。

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