「叱る力」 阿川佐和子著
「聞く力」が大ベストセラーになり、その次の本で“力”が使われていますので、二匹目の泥鰌を狙ったと誰しも思います。阿川さんはそういう気持ちがないのですが、多少あると、きっと出版社の意向が強かったのでしょう。二匹目であっても、読まれることを推奨します。
「聞く力」をテレビで何故これだけヒットしたのかの話の中で、作家の吉永みち子さんが「今、世の中にはコミュニケーション能力を身に付けるための本がたくさん出ています。でも、そのほとんどが自分の意見や気持ちを相手に伝えるための発信力に関する本ばかり。その中で、この「聞く力」は発信力ではなく、むしろ受信力について書かれています。自分の心を空っぽにしてひたすら受信する。それもまた、コミュニケーション能力の一つではないでしょうか」とコメントされ、それを見ていた阿川さんは「そうか、そういう本だったのか・・・」と改めて認識されたそうです。
阿川さんの父(作家)はとても難しい人で、「おれが喰わしてやっているのに文句を言うな。嫌なら出て行け」のタイプだそうです。怒ると最後「佐和子が悪かったです」と悪くなくても謝らないと終わらなかったそうです。イチゴを貰ったので、「スキンミルクで食べたいな」とつぶやいたら、お父さんははなんと贅沢なとすごく怒り、泣きだしても怒りを止めなかったので、母が「佐和子も反省しているから、それぐらいで・・・。」と言ったら、怒りの矛先が母親に行き、とうとう車で移動中なのに母親を降ろしてしまったそうです。
阿川家は父の書斎の前にトイレがあるそうです。母親がトイレに行くと、父が「俺がトイレ行こうと思うと、いつもお前がトイレを使う。小か?大か?」と。時々父から「子どもたちがうるさいから、こいつらを連れて外へ出て行ってくれ。夕方まで返って来るな。早くしろ!」と言われ、母が子どもたちを連れて出たそうです。映画を見たこともあり、その映画のタイトルが「家なき子」。そんな家庭で叱られ続けて育ったそうです。父に叱られたエピソード?事件?がたくさん掲載されています。
そんな阿川さんでも叱られるのには慣れてなく、30歳で初めてTVのアシスタントの仕事を貰ってでたが、その時のボスからも何度も叱られたそうです。周りから「叱られる内が花よ」と慰められたそうですが。
最近の若い人は、叱られることになれていないのか、叱られると辞めてしまったり、メンタルに陥ったり、中には反発したりするそうです。若い人を叱る時は「借りて来た猫」(ライフバランス研究所の渡部卓氏発案)に注意して行うことだそうです。
か・・・感情的にならない
り・・・理由を話す
て・・・手短に
き・・・キャラクター(性格や人格)に触れない
た・・・他人と比較しない
ね・・・根に持たない
こ・・・個別に叱る
ヤクルトの宮本選手は野村監督が恐かったそうです。叱られる中で思ったことは「言い訳は進歩の敵」。自分が間違えたと確信した時は素直に謝るのだそうです。
叱られることで成長することがあるとのことなのだと思います。ただ叱り方にも優しさが含むこともできると。妹尾河童さんに天ぷらを食べに連れて行って貰った時、「もう少し根元の部分を握ったほうが、エレガントに見えるよ」と箸の持ち方にアドバイス貰ったそうです。確かに今までは箸の真ん中を握っていて、根元の部分を握るとエレガントに見えました。40歳過ぎて初めて気が付いたそうです。
阿川さんは叱られたときは寝るそうです。それから話を聴いてくれる人に、5人ほどに話すそうです。そうしているうちに対したことがないと気づくそうです。
本の目次;
Ⅰ 叱る覚悟と聞く力
・「ステキ」を誉め言葉に変換する
・私、「人見知りなんです」は甘えじゃないの?
・「失礼ですが・・・」は失礼です。
・叱られる覚悟
・後輩を叱る覚悟 他
Ⅱ 叱られ続けのアガワ60年史
・涙の誕生日事件
・「お父さんそっくり」事件
・「子供に人件はない」宣言
・「志賀直哉先生(父の先生)がお読みになると思え」の訓示
・「一人暮し」奇襲作戦に成功せり 他
Ⅲ 叱られる力とは?
・別れ話の乗り越え方
・最悪経験を尺度にする
・嫌な言い回し
・叱られたとき、悲しいとき
・下心のススメ 他
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