いくさが続き、庶民は疲弊。
岡崎城の米蔵の米もなくなって来た。
これにどう対応するか?
本多正信(松山ケンイチ)は
「信長に金を借り、今川領を切り取って返していきましょう」
なかなか合理的な策だ。
だが、家康(松本潤)は信長に借金したら完全に上と下の従属関係になると懸念する。
そして寺が「不入権」で年貢を納めていないことに着目する。
特に目をつけたのは今、人気の一向宗だ。
他の宗派は頼めばいくらかは応じてくれるのだが、一向宗はビタ一文払おうとしない。
家康は一向宗の本證寺に潜入。
自由な男女関係や踊りが不浄だとして、年貢と力で取り立てる。
かくして三河一向一揆が始まった!
…………………………………………………
三河は「わしの家」、家臣も領民も「わしの家族」だと考えて、
「元康」から「家康」に改名したのに、民は反発し一揆が起こる。
なかなか皮肉な作劇だった。
捻り方が絶妙だと思う。
家康がこんな判断をした原因は、本證寺の空誓(市川右團次)にあるのだろう。
三河にもうひとりの君主がいたからだ。
おまけに空誓は自分より人望がある。
空誓の言葉で皆が笑う。
貧しさで子供を捨てしまった親の話には説得力がある。
家康は嫉妬や危機感を抱いたに違いない。
実際、空誓はもうひとりの君主だった。
家康は現実世界の君主、空誓は宗教世界の君主。
おまけにこんなことを言われる。
家康は民に苦しみを与える側、空誓は民を救う側。
年貢を納めない理由は、
「政をしている連中が阿呆だからじゃ!
連中はいくさにカネを使う。死に金じゃ!」
これらの言葉には、家康も面白くなかった様子。
家康には「自分たちは命がけで民の平和を守っているのに」という思いがある。
家康と空誓。
ここには2023年の日本の現実も集約されている。
防衛費2倍。
軍拡すれば当然税金があがる。今まで享受していた行政サービスも削られる。
統一教会問題から発展して宗教法人から税金を取れ、という意見もある。
まさに作品は時代を映す鏡だ。
一揆の際に空誓はこう叫んだ。
「進む者は往生極楽! 引く者は無間地獄よ!」
こういう死を怖れない軍隊は強い。
自分に大義があると思っているし、逆に家康側は大義が希薄だ。
これをどう収める、家康?
三河家臣団では今回、渡辺守綱(木村昴)が注目された。
ゲーム『信長の野望』。
徳川家康でプレイする時、前半は家臣が足りないので、渡辺守綱は重宝するんですよね。
こうやって、ひとりずつ家臣を紹介していくのはいい感じ。
瀬名(有村架純)は前回の父と母の悲劇を乗り越えている様子。
明るく屈託がなく、本證寺の踊りにも参加していた。
瀬名の心の中や如何に?
岡崎城の米蔵の米もなくなって来た。
これにどう対応するか?
本多正信(松山ケンイチ)は
「信長に金を借り、今川領を切り取って返していきましょう」
なかなか合理的な策だ。
だが、家康(松本潤)は信長に借金したら完全に上と下の従属関係になると懸念する。
そして寺が「不入権」で年貢を納めていないことに着目する。
特に目をつけたのは今、人気の一向宗だ。
他の宗派は頼めばいくらかは応じてくれるのだが、一向宗はビタ一文払おうとしない。
家康は一向宗の本證寺に潜入。
自由な男女関係や踊りが不浄だとして、年貢と力で取り立てる。
かくして三河一向一揆が始まった!
…………………………………………………
三河は「わしの家」、家臣も領民も「わしの家族」だと考えて、
「元康」から「家康」に改名したのに、民は反発し一揆が起こる。
なかなか皮肉な作劇だった。
捻り方が絶妙だと思う。
家康がこんな判断をした原因は、本證寺の空誓(市川右團次)にあるのだろう。
三河にもうひとりの君主がいたからだ。
おまけに空誓は自分より人望がある。
空誓の言葉で皆が笑う。
貧しさで子供を捨てしまった親の話には説得力がある。
家康は嫉妬や危機感を抱いたに違いない。
実際、空誓はもうひとりの君主だった。
家康は現実世界の君主、空誓は宗教世界の君主。
おまけにこんなことを言われる。
家康は民に苦しみを与える側、空誓は民を救う側。
年貢を納めない理由は、
「政をしている連中が阿呆だからじゃ!
連中はいくさにカネを使う。死に金じゃ!」
これらの言葉には、家康も面白くなかった様子。
家康には「自分たちは命がけで民の平和を守っているのに」という思いがある。
家康と空誓。
ここには2023年の日本の現実も集約されている。
防衛費2倍。
軍拡すれば当然税金があがる。今まで享受していた行政サービスも削られる。
統一教会問題から発展して宗教法人から税金を取れ、という意見もある。
まさに作品は時代を映す鏡だ。
一揆の際に空誓はこう叫んだ。
「進む者は往生極楽! 引く者は無間地獄よ!」
こういう死を怖れない軍隊は強い。
自分に大義があると思っているし、逆に家康側は大義が希薄だ。
これをどう収める、家康?
三河家臣団では今回、渡辺守綱(木村昴)が注目された。
ゲーム『信長の野望』。
徳川家康でプレイする時、前半は家臣が足りないので、渡辺守綱は重宝するんですよね。
こうやって、ひとりずつ家臣を紹介していくのはいい感じ。
瀬名(有村架純)は前回の父と母の悲劇を乗り越えている様子。
明るく屈託がなく、本證寺の踊りにも参加していた。
瀬名の心の中や如何に?
視聴者には様々な考え方があるので、ここでの描き方のバランスは実は微妙なところ。
宗教に対して否定的な考え方の人―昨今はあらゆる宗教を「一絡げ」にした上で漠然と「宗教嫌い」のムードの中にいる人が多いかも―と、宗教に対して好意的だったりコミットしたりしている人。
一向一揆に限定して見ても、これを肯定的に見る人と、そうでない人。
さらには、当時の浄土真宗の中においてすら、本願寺派(=一揆側)と高田派(一揆の際に家康側についたとも言われる)とが対立していました。
そうした多様な考え方・立場の問題性を一旦度外視して、差し当たり「白紙の視聴者」の視点を想定した上で、そこから今回を見ての印象はどうなのか。
史実としては「三方ヶ原」「伊賀越え」と並ぶ「家康の三大危機」と呼ばれるほどに家康を苦しめはするものの、結局は家康が鎮圧。
本作の主人公は家康であり、史実も「勝てば官軍」ということになります。
しかしながら、家康側が本證寺側の財物を強奪するなど、今回の描写を見る限りは「大義」は一揆側にあって、家康側のそれは弱いような描き方に見えます。
視聴者が家康の主人公視点に付いてこられるのか、少し気になります。
>明るく屈託がなく、本證寺の踊りにも参加していた。
差し当たりは以前と変わらぬ可愛い瀬名の様子に一安心しました。
というか、登与はじめ城勤めの女性たちや、なんと姑の於大の方まで参加した「女子会」のノリで本證寺に潜り込むというエピソードは、メインストーリーの深刻さとバランスを取るためのコミカルな要素となっていました。
もちろん、仮病で脱出した―前作の頼朝を連想します―家康と本證寺で鉢合わせすることは「ベタに」予想できました。(笑)
愛しい妻お瀬名と可愛い子供達を奪い返した家康ですが、瀬名たちが遠くへ行くことを異様に恐れているのは解りますね。
家康にとって妻子だけが心の支えですが、依存心が余計酷くなってますな。
勝手に外出して、本證寺の踊りに参加した瀬名をふしだらと怒るとか、余計にこじれてます。
まあ~だからこそ、於大の方は嫁の教育だけじゃなくて、息子家康の教育も兼ねてそうですな。
しかし、とうの家康には母の行動は疎ましくてしょうがないんでしょうね。
空誓というか一向宗が当時あれだけ熱狂的に流行ったのはそれだけ日本国が混沌の時代で政府である室町幕府が統治能力が全くないからでしょうね。
それでも、本證寺や堺や博多など、お上に頼らず独自にやっていく僧侶や商人がいて、大多数の大衆はそれらを頼って行く。
そう考えると家康は三河国の国主としての存在意義を失って、今度は一向宗の言いなりになりかねない状況になります。
その為に荒療治として年貢を強制的に奪いましたが、完全な失敗ですね。
まあ~信長という恐ろしい圧力と空誓の影響力の板挟みで家康も冷静さを失ってますからね。
今回のやらかしで、次回は一気に窮地に陥った家康はどうするのか楽しみです。
いつもありがとうございます。
一向宗の中には、本願寺派と家康につく高田派があったんですね。
ありがとうございます。勉強になりました。
ドラマでは尺などの問題もあって簡略化せざるを得ないのでしょうが、その方がリアリズムがありますよね。
>家康側が本證寺側の財物を強奪するなど、今回の描写を見る限りは「大義」は一揆側にあって、家康側のそれは弱いような描き方に見えます。
視聴者が家康の主人公視点に付いてこられるのか、少し気になります。
今回の件は未熟な家康を描いたんでしょうね。
「自分は三河の君主で、領民を家族のように思っているのに、領民は空誓に心を寄せている」
「自分たちは命がけで侵攻してくる敵と戦い、信長とも苦しい政治的なやりとりをしているのに評価してもらえない」
「瀬名までが不浄な踊りに興じている」
動機がこれなので、家康の大義は薄いですよね。
一般の領民にしてみれば「不入権」があるのに、どうして? という思いもあるでしょうし。
一方、現代人の視点で見ると、あの宗教的熱狂は過激になると、奇異に見える。
盲目的な信仰は、昨年話題になったあの団体を想起させてしまいますし、今、宗教を描くのは非常に難しい。
なので、今後、どうバランスを取って描くのかは注目ですね。
千代あたりが仲介に入るのでしょうか?
一向宗の門徒を納得させた時、三河は家康の本当の「家」になるのでしょうし。
瀬名は前回の気持ちの繋がりで言えば、一瞬、暗い表情をする芝居があってもよかった気がするのですが、朗らかで聡明な瀬名でしたね。
今後はどう描かれていくのでしょう。
いつもありがとうございます。
於大の方は、今回踊りに参加したことで、イマイチ人物像がわからなくなりました。
家康を厳しく育てる強い母なら踊りには参加しないでしょうし。
1カットのギャグのために、今まで描いてきた人物像を壊してほしくない気がします。
>室町幕府が統治能力が全くないからでしょうね。
その結果がまさに戦国時代なんですよね。
おまけに武士たちに加えて、寺や商人たちが力を蓄えて来た。
天下を狙う者はこれらとも戦わなくてはならないんですよね。
結果、信長は商人は味方につけましたが、寺とは徹底的に戦いました。
おっしゃるとおり、次回、家康が一向宗とどう対峙するのか、注目ですよね。
ただ、あの場で息子がいるなんて想定外の事態でしょうね。
それに人間って完璧じゃないですし、息子の嫁のお瀬名や妹の登与(実は於大の方とは異父姉妹なんですよ)や城勤めの女性たちを連れて本證寺に遊び言ったのはちょっとした気晴らしでしょう。
あのお母様は凄くはっちゃけた一面がありますし、一向宗と民のつながりの深さを知るには自分の足で見たり調べるのが重要と考えたともとれます。
まあ~脚本家の人がリーガルハイですから、重厚な時代劇を期待してはダメですよ。
それにしても、正信は全くの役立たずですな。
自分の殿さまが信長を嫌っているのを知っているはずです。
次善案で一向宗に金を借りる案でも良かった気がします。
三河が松平家が統一すれば、三河国内に不埒な賊は消えて信者の往来が活発化して本證寺にも悪くはないはずですと正信は本證寺との交渉を自分に任せてくれと家康に進言するとかしてほしかったです。
これで家康は少し本證寺を調べたいから、待てと命じて正信は自分の案が受けいられて出世できると喜びますが、家康は本證寺に圧力を加えることを決定して、正信裏切り伏線を入れるべきでした。
ありがとうございます。
母上の行動の理由は「気晴らし」「一向宗と民との繋がりの調査」。
だとすると、そういう説明をすべきなんですよね。
リーガルハイはハチャメチャでしたが、ハチャメチャに行動する理由がありました。
どうした、古沢良太? って感じです。
あるいは、これは脚本というより演出の問題なのかもしれませんね。
僕はこの作品を「アニメ・コミックタッチの作品」だと考えているので、これまでの大河ドラマのような重厚さは求めていません。
ただ、キャラの気持ちの一貫性はほしいんです。
たとえば瀬名には前回の悲劇の影がまったくありませんでした。
ベタですが、あの世の父と母に向かって「父上、母上、瀬名は元康殿と幸せに暮らしております」とつぶやくくらいはしてもよかったのではないかと思っています。
現在の日本では、宗教なんて「葬式仏教」や「初詣で柏手を打つだけの神道」的な感覚です。
なので、宗教との関わりも「まあ、そこそこ適当に」なんですけど…
当時の一向宗は中世ヨーロッパのキリスト教信仰にも似て、命がけのものだったと想像します。
その「命がけの信仰」の本拠地であるお寺を「税収が足りないからあの生臭坊主どもからぶんどれ」と、攻撃するって、本当ですか?
本当に家康がそんなことをやったのか?
ちょっと信じられません。
岡田信長と相撲を取ってヒイヒイ言っていた松本家康が、巨大な宗教勢力を正当に評価できず、「あいつらからぶんどれ」なんてこと言うはずがないと思います。
そこが、コウジさんがおっしゃるような「一貫性がない」ところですね。
いつもありがとうございます。
>本当に家康がそんなことをやったのか?
>ちょっと信じられません。
確かにぶんどっていました。
僕は家康の「若さ」「未熟さ」ゆえと理解しましたが。
予告に拠ると、次回は老家臣に「何てことをしてくれたんだ!」と家康が諫められるシーンがあるようです。
この作品、フィクションの占める割合がかなり多いんですよね。
先日、「これは史実に反する」と指摘したネット民の批判に番組の歴史考証の方が「そんなことはない」と反論したというネット記事を見ましたが、そんなやりとりが起きるほど、この作品はフィクション過多なんですよね、
僕は歴史小説や大河ドラマは、記録された史料の行間を読んで語られる史実寄りのフィクションだと考えているので、フィクション過多だと少し違和感を抱いてしまいます。
なので軌道修正して、この作品を実写版『キングダム』だと思って楽しんでいます。
>ちょっと信じられません。
確かにぶんどっていました。
僕は家康の「若さ」「未熟さ」ゆえと理解しましたが。
予告に拠ると、次回は老家臣に「何てことをしてくれたんだ!」と家康が諫められるシーンがあるようです。
うわぁ、ホントにやらかしていたんですか…
深慮遠謀の家康のイメージとは似ても似つかないですね。
やはり若さゆえのあやまちなんでしょうか。
ネトウヨさんがバカにしている中国ですが、1990年代くらいから歴史学や考古学がじわじわ変化している感じです。
特に、21世紀になってからは「古文書を盲目的に信じるのでなく、実際に遺跡を掘って検証しろ!」的な感じが徹底されている感じです。
ちなみに、日本の大阪近辺の天皇陵は「掘っていない」ものが結構あるんですよね…
日本が「先進国」を名乗れるのはいつまでなのか…
こういうとこ、ホントにじれったいしイライラします。
ちょっと脱線しました、すみません。
恥ずかしながら、マニアとはほど遠い素人レベルですが…「三国志」がちょっと好きなんです。横山光輝がきっかけですけど…
中国の三国志ドラマを見たこともあります。三国志は、中国では2回ドラマ化されています。
1990年代の1作目は「荒唐無稽の大衆向け時代劇」でした。
正義の主人公の劉備がピンチになると、愛馬が10メートルも20メートルも飛び上がって主人公を救うわけですし、この劉備が別のときにピンチになると、豪傑の家来の張飛が敵軍を怒鳴りつけて、その怒鳴り声の超音波で敵の将軍が死ぬ、そんなノリです。
ところが、21世紀のリメイク新作は、そんなバカげた描写が一切なくて、それにも関わらず、そこそこ人気があるそうです。
つまり、中国の大衆の知的レベルが、恐ろしく上がっているのではないか、ということなんですね。
それに加えて、遺跡を「掘って調べる」に転換しているわけで…
そう考えると「ネトウヨ」的な人たちが結構幅をきかせていて、遺跡を掘りもしない日本って、本当に大丈夫なのか?
ちょっと、それを考えるわけです…