たまもかる あまのゆきかひ さすさをの ながくやひとを うらみわたらむ
玉藻刈る 海人の行きかひ さす棹の 長くや人を うらみわたらむ
漁師たちが舟で行き交うためにさす長い棹のように、長く人を恨み続けることになるのでしょう。
「玉藻刈る」はここでは「海人」にかかる枕詞。海岸の地名や、海や水に関係する言葉など、多くの語にかかります。また、第1句から第3句までが「長く」を導く序詞となっています。つまり歌意としては「長く人を恨む」の部分だけ、と言ってしまっては身も蓋もないですかね ^^;; 修辞としてはさらに「うらみ」が「浦見」と両義で、「浦」は「海」の縁語ともなっていますね。
この歌は、拾遺和歌集(巻第十九「雑恋」 第1272番)にも入集しています。