漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

貫之集 216

2023-11-18 05:41:13 | 貫之集

ささのはの さえつるなへに あしひきの やまにはゆきぞ ふりまさりける

小竹の葉の さえつるなへに あしひきの 山には雪ぞ 降りまさりける

 

笹の葉が散って寒々としてくるとともに、山には雪がいっそう盛んに降ってきた。

 

 第二句「さえ」は「さゆ(冴ゆ)」の連用形で「冷え込む」意。「なへ」は「~するとともに」「~するにつれて」を意味する接続助詞です。ただでさえ寒々とした様子の山に雪まで降り募ってきたという、ただそれだけの情景を詠んだ歌ですが、風情を感じますね。
 この歌は玉葉和歌集(巻第六「冬」 第967番)に入集していますが、そちらでは第五句が「ふりつみにける」とされています。