ささのはの さえつるなへに あしひきの やまにはゆきぞ ふりまさりける
小竹の葉の さえつるなへに あしひきの 山には雪ぞ 降りまさりける
笹の葉が散って寒々としてくるとともに、山には雪がいっそう盛んに降ってきた。
第二句「さえ」は「さゆ(冴ゆ)」の連用形で「冷え込む」意。「なへ」は「~するとともに」「~するにつれて」を意味する接続助詞です。ただでさえ寒々とした様子の山に雪まで降り募ってきたという、ただそれだけの情景を詠んだ歌ですが、風情を感じますね。
この歌は玉葉和歌集(巻第六「冬」 第967番)に入集していますが、そちらでは第五句が「ふりつみにける」とされています。