漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

貫之集 207

2023-11-09 05:22:48 | 貫之集

とふひとも なきやどなれど くるはるは やへむぐらにも さはらざりけり

とふ人も なき宿なれど くる春は 八重葎にも さはらざりけり

 

訪ねて来る人もない家なのに、春は生い茂った雑草にも妨げられることなくやって来る。

 

 この歌は、新勅撰和歌集(巻第一「春上」 第8番)にも入集しています。 
 古典和歌に詠まれる「八重葎」は特定の植物名ではなく、幾重にも重なって茂る雑草のこと。084 にも登場している他、次の百人一首歌(第47番)も有名ですね。

 

やへむぐら しげれるやどの さびしきに ひとこそみえね あきはきにけり

八重むぐら しげれる宿の さびしきに 人こそ見えね 秋は来にけり

 

恵慶法師