くれなゐの しぐれなればや いそのかみ ふるたびごとに のべのそむらむ
紅の しぐれなればや いそのかみ ふるたびごとに 野辺のそむらむ
まるで紅の時雨が降っているかのように、時雨が降るたびに野辺の紅葉が濃く色づいている。
「いそのかみ」は「石上」で、今の奈良県天理市の「布留」と呼ばれる地域の古称。「ふる」との音から、「古」「降る」などの枕詞として使われます。このあと 575 にも登場する他、古今和歌集にも五首例があり、うち一首は貫之の入集歌となっていますね。
本歌は、新千載和歌集(巻第五「秋下」 第574番)に入集しています。
いそのかみ ふるのなかみち なかなかに みずはこひしと おもはましやは
石上 ふるの中道 なかなかに 見ずは恋しと 思はましやは