八重洲のブリヂストン美術館でやっている「岡 鹿之助」展に行ってきました。
ブリヂストン美術館はその常設展だけでも十分に見ごたえがありますし、夜も8時まで開いているので、会社帰り、気晴らししたい時にたまに寄ることがあります。
この日も会社を出れたのは7時過ぎでしたが、平日の夜とあって人が殆どおらず、閉館の8時までほぼ貸切状態でした。
岡 鹿之助という画家の名前を知ったのは福永武彦の随筆の中でです。全集とは別に手に入れた単行本に『意中の画家たち』という本があり、その中に岡 鹿之助の絵が別刷りの図版で付いていました。そこで見たのが冒頭の絵です。今回はこの実物をじっくりと見ることが出来ました。
展示は、取り上げられている題材ごとにひとつの展示室に纏められており、同じ題材でも描かれた年代によって少しずつ変化があるところがよく分かるように配置されていました。さらに順を追って見て行くと、一番最後の「融合」というテーマで複数のモチーフが1枚の絵に凝縮されて描かれるまでの道程がよく分かる仕組みになっています。
これは窓の外の風景と、カーテンのついた窓枠とそこに置かれた花が一度に描かれています。ここから先はあくまでも個人的な、素人の世迷言とお聞き流し頂きたいのですが、(あれだけ長い時間眺めていたにもかかわらず)こうした「融合」の絵の良さは、私には少し難しすぎたようです。人間の目は近くを見ると遠くがボケるようになっていますが、この手の絵の場合、何となくその遠近感が落ち着かないというか、一体どこを見ればよいのか迷ってしまう、そんな気持になってしまいました。
一方で、その薄塗りの色合いや手触り感、構図の堅牢さは素晴らしいと思いましたし、福永武彦の言葉ではありませんが、見ていると音楽が聞こえてきそうな、そんな落ち着いた気分にさせてくれる絵が多かったのも事実です。ここら辺は好みの問題でしょうね。
そして最後にお決まりの常設の部屋に行き、セザンヌやピカソを久々に眺めてきました。平日の夜にこうして気軽に寄れる美術館が近くにあるのは何とも贅沢な話です。いい気分転換になりました。
岡 鹿之助 展
2008年4月26日~7月6日
ブリヂストン美術館
東京都中央区京橋1丁目10番1号
いかんせんどこもめちゃくちゃ混んでいるので、
平日の夜にぶらっと行けるブリヂストンは
特にお気に入りです。
今回も久しぶりにセザンヌのセント・ヴィクトワール山を見て、
感動を新たにしました。
入れ代わりで出てくるコローやシスレーも好きなんですよねぇ・・・。
コローは来月から上野に来るようなので、楽しみにしています。