Year In, Year Out ~ 魚花日記

ロッドビルドや釣りに関する話題を中心に。クラシック音楽や本、美術館巡りに日本酒も。

イーデン・フィルポッツ/The Red Redmaynes

2018年08月18日 | 
イーデン・フィルポッツの The Red Redmaynes(1922年)読了(邦題『赤毛のレドメイン家』)。

レドメイン家のジェニーは早くに両親を亡くし、三人の叔父が後見人。そのうちの一人ロバート叔父が、ジェニーの夫とともに突然姿を消す。現場には大量の血痕、そしてその夜、ロバート叔父がバイクに大きな袋を積んで走り去るのが目撃される。

事件を担当するのはロンドン警視庁のマーク・ブレンドン。綿密な捜査にもかかわらず真相は分からず、やがて数ヶ月経った頃、そのロバート叔父が、もう一人の叔父ベンディゴの屋敷近くで目撃される。現地に飛ぶブレンドン。しかし悲劇はさらに続く・・・

江戸川乱歩が選んだ海外ミステリー・ベスト10作('47年)の第1位。何重にも張り巡らされたトリックは言うに及ばず、恋は盲目を地で行く若きブレンドン君や、途中から助っ人で登場する百戦錬磨のピーター・ガンズの人物描写、それを簡潔だが彫琢あふれる文章がしっかり支える一級品。

因みにこのピーター・ガンズ、若きブレンドン君が敬意を込めて「解決できたら、その栄誉はあなたものです。」と言ったことに対し、破顔一笑、こう言う。

"Nonsense, nonsense! I'm a back number -- almost out of the game now -- virtually retired to take my ease and follow my hobbies. This is nothing to do with me. I'm only going to watch you."

お盆休みの一週間、結局この本ばかり読んでいた。読み終えた達成感と、読み終わった喪失感、どちらも半端ない。

Eden Phillpotts,
The Red Redmaynes
(Kindle)

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