バフェットの次を行く投資術を研究している国際投資アナリスト・大原浩 氏は「ブランド力」と「仕入れ力」が重要と説いています。大食いユーチューバーの動画を見ても、より多く食べるより、見た目の食べ方、容姿など「ブランド力」が再生回数に繋がるようです。「仕入れ力」も重要です。❝自腹❞だと電車を乗り継いで行く訪問先であっても、「会社の経費」であれば、何の躊躇(ちゅうちょ)もなくタクシーを飛ばすサラリーマンで溢れています。デフレ時代には「コスト削減の鬼」が闊歩し、資産を築きます。しかし、今後は「ブランド力」を見抜く力が重要になるでしょう。
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バフェット流の大きな転換点で、「企業の成長力」を判断する際にバフェットが重視したのが「ブランド力」と「仕入れ力」である。バフェット自身はこの言葉を使っていないが、バフェット流の表現に重宝な言葉だといえる。
❶「ブランド力」バフェットが師と仰いだベンジャミン・グレアムは、ひたすら「数字」の分析に集中し、企業の業務内容にはほとんど見向きもしなかった。また、かなりの数の企業に投資し、失敗もそれなりにあったが、トータルでかなりの利益を上げていた。
それに対して、バフェットはグレアムに師事した頃から、企業の業務内容を研究し、投資する企業の数はかなり少なく、失敗もほぼ皆無だった。それでも、「企業の財務内容を徹底的に分析し、株価がそれよりもかなり割安になった段階で購入する」という師匠の教えは忠実に守っていた。
ところが、一般投資家が以前よりも決算書などを勉強するようになり、アナリストなどを駆使する機関投資家が台頭するようになると、当然のことながら「グレアム流」の効率は下がってくる。そこでバフェットが盟友の投資家、チャーリー・マンガーのアドバイスによって踏み込んだのが「企業の将来性」という分野である。グレアム流の財務分析は、あくまで現在の企業価値に関するものだが、新たに「将来の企業価値」も分析の対象に加えたのである。「現在の価値」でさえ算定が難しいのに、「将来の価値」を算定するのは大変な作業である。
❷「仕入れ力」を解説する。この言葉には通常、企業が原材料や半製品などを仕入れる際の「仕入れ」だけではなく、賃借料・水道光熱費さらには人件費に至るまで、全ての「経費」をコントロールする力という意味が含まれている。
投資家が企業を評価するときに重視する「利益」は、大ざっぱに言えば「売り上げから経費を差し引いたもの」である。だから、売り上げを拡大するのも大事だが、経費を削減することも同じくらい大事となる。ところが、世間一般では、売り上げが注視され、経費についてはほんの添え物のような扱いを受けることが多い。
しかし、注視すると言っても「経費削減キャンペーン」を行うような会社はダメ企業だと述べている。「呼吸をするように経費削減を行うべきだ」と教える。
そもそも「経費削減キャンペーン」を行わなければならないほど経費が増えてしまう企業は、「すでにダメ企業」なのである。
例えば、「自腹」だと電車を乗り継いで行く訪問先であっても、「会社の経費」であれば、何の躊躇(ちゅうちょ)もなくタクシーを飛ばす。これは、私を含めた大方の人間の感覚であろう。だから口先で経費削減を叫んでも無駄なのだ。会社の経費が自腹と同じように感じるようにスタッフをマネジメントしなければならない。
日本電産創業者の永守重信氏は「コスト削減の鬼」として有名であり、多くの企業を買収し「乾いた雑巾を絞るコスト削減」のマネジメントを定着させてきた。しかし「昼休みに電灯を消すことに実質的なコスト削減の意味はない。だが、常にコスト削減を意識するために必要な行為だ」と述べている。大原浩 氏