『名も無く豊かに元気で面白く』

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❝株式市場大揺れ❞買い戻し相場から7月消費者物価指数(CPI)次第では再び下落相場へ

2022-08-09 06:10:04 | 日記
最近の海外市場を振り返ると、好材料が相次いで相場を後押ししたのは間違 いない。米国の7月ISM非製造業景気指数や6月製造業新規受注が予想を大きく上回った ことで景気後退懸念が和らいだ一方、ISMの構成項目である「価格」が72.3と6月の80. 1から大幅に低下した。1日に発表されたISM製造業景気指数でも価格の項目は78.5から 60.0へと大幅に低下していたため、インフレピークアウト期待が高まった。
 また、原油先物価格の大幅下落もこうしたインフレピークアウト期待を更に高める ことに寄与した。前日、石油輸出国機構(OPEC)プラスが開かれたが、9月の原油生産 量については一日当たり10万バレル増やすことが決定された。7月と8月の増産幅は日 量64万8000バレルだったため、今回の増産幅はかなり小幅なものとなった。この結果 を受け、需給逼迫が意識される形でWTI(ウェスト・テキサス・インターミディエイ ト、9月限)原油先物価格は米国時間に一時1バレル=96ドル台まで上昇する場面があ った。
 しかし、米エネルギー情報局(EIA)が発表した在庫統計で、原油在庫の増加のほか ガソリン需要の減少が明らかになると、需要減少を意識した価格低下圧力の方が勝 り、結局、原油先物価格は3日、1バレル=90.66ドル(前日比-3.98%)と大幅に下 落。ISM景気指数の価格項目の低下と原油先物価格の下落を背景に、7月半ばから再び 高まっているインフレピークアウト期待と米連邦準備制度理事会(FRB)による利下げ 期待に一段と拍車がかかり、相場を押し上げた格好だ。
 一方、7月半ば頃からナスダックを中心に株式市場の力強い上昇が続いているが、こ こからの上値追いには慎重になるべきと考える。足元のグロース株を中心とした株価 上昇の要因は「行き過ぎた悲観の修正」だったと考えられる。7月は米連邦公開市場委 員会(FOMC)やGAFAMをはじめとする主要企業決算など大きなイベントが多かっただけ に、これらイベントを前に、機関投資家の間では売りに傾き過ぎた持ち高を修正する 動きが強まっていた。FOMCやGAFAM決算を過ぎ、8月に入ってからもこうした基調が続 いているが、この背景としては2つ理由が考えられる。
 一つは、7月FOMC後のパウエル議長の記者会見を受けて、市場が先走ってFRBの来年 からの利下げ転換を織り込みにいっていること。二つ目に、先行きに悲観的な見方が 多かったなか、相場が想定外にも上昇を長く続けていることで、決められた期間の中 でパフォーマンスを上げることを求められるヘッジファンドなどが、乗り遅れること を嫌って焦って買い戻しを加速させていることが考えられる。しかし、こうした動き は長期化しないだろう。
 株価は、一株当たり利益(EPS)と投資家の期待値を表す株価バリュエーションであ るPERの掛け算で決まる。これまで発表済みの日米主要企業の決算は想定以上に底堅い ものの、外部環境の悪化を背景にアナリストによる今後の業績予想は徐々に切り下が っている。EPSが低下する中でも株価が上昇してきているのは、米国の実質金利の低下 を背景としたPERの上昇が要因だ。

 ただ、米10年債利回りは8月1日に2.57%と約4カ月ぶりの水準にまで低下した後は複 数のFRB高官のタカ派発言もあって下げ止まっている。米10年物の実質金利も、一時再 びマイナス圏入りを窺うところまで低下していたが、インフレ抑制を最優先課題とす るFRBがこうした緩和的な状況を許容することは考えにくく、今後は、これまでの実質 金利低下を背景としたPERの上昇余地も限られるだろう。来年末の政策金利水準を巡っては、早くも利下げを織り込み始めている市場と、来 年も利上げを続ける方針を維持しているFRBとの間でかなり乖離が出てきているため、 むしろ、今後は楽観に傾いている市場の期待値がFRB寄りに修正されることを警戒する べきとも言える。8月10日に控える米国の7月消費者物価指数(CPI)の結果次第では、こうした修正を迫られる可能性があろ う。
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