ロシアが3月に占拠したザポリッジャ原発の周辺はここ数週間、激しい砲撃を受けている。ウクライナとロシアは、互いに相手が関与していると非難し合っている。ゼレンスキー氏は同原発に対するロシアの「意図的な」攻撃を批判した。ロシア政府は、ザポリッジャ原発を軍事基地化したとして非難を受けている。ザポリッジャ原発は、ウクライナ国内の総電力の5分の1を供給している。送電網からの切断が続けば、ウクライナにとって深刻な問題が生じることになる。
原発スタッフ、「核の大惨事」が起きると警告
ロシア軍の監視下でいまもザポリッジャ原発で働いているウクライナ人スタッフは、この2週間で原発が「継続的な軍事攻撃の標的」になっており、核の大惨事が起きる可能性があると警告している。
「彼ら(ロシア軍)はウクライナ軍に対する盾のようにそれ(原発)を使っている。ウクライナ側が誰一人として何もしようとしないからだ」と、コティン氏は述べた。
「ウクライナ軍は、ウクライナのスタッフがいること、ウクライナの原発であることを理解している。(そこに)ウクライナ人がいることを分かっている。だから我々の仲間やスタッフを死に至らせたり、我々のインフラに損害を与えたりはしない」
コティン氏は、原発スタッフはプレッシャーと危険にさらされながら働いており、一部スタッフは捕らえられ、殴られ、拷問を受けていると話した。
また、ウクライナの送電網から同原発を切り離し、最終的にはロシア側のシステムに接続することをロシアが計画しているとした。
ドニプロ川を挟んでザポリッジャ原発の対岸にあるドニプロペトロウシク州ニコポリのオレクサンドル・サユク市長は先週、BBCに対し、同市が「ほぼ毎晩」ロシアの砲撃にさらされていると語った。攻撃は原発にいる部隊によるものだとしていた。こうした緊張状態を受け、現地への国際調査団の派遣を認めるよう求める声が高まっている。
原発そのものはロシア軍が占拠している状況なのですが、ロシア軍が占領しつつ爆破するのではなく砲撃、つまり遠方から攻撃を加える事は友軍相撃の状況となりますが、そんな事は有得るか、地図をみればわかる。
ドニエプル川河畔に位置するザポリージャ原発、河畔に原発が立地するのは冷却用水等を確保するためなのですが、そしてドニエプル川は東岸こそロシア軍が占領していますが西岸地域は広範にウクライナ軍が維持しており、ウクライナ軍は原発奪還を含め周辺で軍事行動を継続中です。
ロシア軍が自軍の占領中であるザポリージャ原発を砲撃する理由として考えられるのはウクライナ軍を牽制する為に原発占拠部隊ではなく南西侵攻部隊が砲撃した可能性という。対してウクライナ軍が砲撃した可能性も考えられるのですが、理由の一つに原発敷地内ならばウクライナ軍の攻撃を受けないとしてロシア軍は砲兵隊やミサイル部隊を置いている。
原子炉が破壊されればどうなるのか。
原子炉の破壊とは現在問題となっている一時停止ではなく、炉心が破損し核燃料が拡散する状況ですが、チェルノブイリ原発事故以上の事態となります、何故ならチェルノブイリ原発事故は事故であり、あらゆるダメージコントロール措置が取られていますが、ザポリージャ原発では現状占領下、消防作業さえ行えない。
原発事故となれば、先ず第一に隣接するドニエプル川に沿って高濃度の放射性物質に汚染された水は黒海に流れ込みます、これはロシア軍占領下のクリミア半島を汚染すると共に大気中に拡散した放射性物質はウクライナ東部及びロシア南部と黒海沿岸諸国に拡散、世界の穀物生産拠点であるウクライナとロシアの穀倉地帯を放射能が汚染する事となります。 唯一の楽観要素は、ザポリージャ原発の六基ある原子炉が軽水炉であり、チェルノブイリ原発事故の黒鉛減速炉ほど核燃料を吹き飛ばさない、福島第一原発事故の最悪ケースとして指摘された全原子炉暴走、この程度に収まる事でしょう。それでも大参事ではありますが、半径200km圏内に事故の重大影響は収まる可能性はあります。