佛説出生無邊門陀羅尼儀軌、不空三藏譯
眞言は經の如し。
此の出生無邊門、總持を修行して 自の三種業を轉じて 三祕密門に依れ。
所謂る三金剛なり。 身印と語眞言と心の三摩地に住すとなり。
三平等に入るに由りて 善く瑜伽に住するが故に 自身は本尊に同じ
凡に在りて正覺を成ず。 斯の法は最深祕なり。
大日經王の説なり。 一生補處等も尚ほ其の境界に非ず。況んや餘の劣慧の人をや。
輪王の珠を獲るが如し。 祕持して妄りに説くなかれ。
是の尊は即ち羯摩波羅蜜菩薩なり。
出生に由るが故に 少年女の形を示し 大慈母を顯明す。
諸佛は是の智に住して 能く普ねく色身を現じたまふ。
大菩提心に處り、蓮臺上に跏趺す。 大印威儀等は不空成就如來之相状に同じ。
定の羽は金剛拳にして 心に當て蓮華を持し 般若の梵夾を置く。
慧の羽は説法相なり。掌を揚げて五輪を申ぶ。 忍の峯に羯磨十字金剛輪を現ず。
首冠に五如來ゐます、遍身草緑色なり。
復た身支分に於いて八字門を安布す。
跛字を心に住せよ。 la攞字は毫相を成ず。
va嚩字を舌端に置け、 ja惹字を頭に置け、碧色にして頂相を成ず。
ka迦字を慧掌に置け、縁色にして羯摩を成ず。
十二縁行の輪となる。
dha馱は黄なり、定掌に置け。 華と成る般若の夾なり。
za奢字を觀の足に安け。k@sa乞叉(きゃしゃ)を止の足に置け。
五字皆皓素なり。 雪・乳・鵝・月の如し。
是の字は輪相を成ず。 三摩耶の密印を以て 頂を加持する印、是れなり。
初後次第の法は諸部の儀軌に同じ。
八十倶胝の佛は是の尊を圍遶して住す。
復た八菩薩有りて、八方に安住せり。
及以び八藥叉四攝八供養
次第に而も布列して 祕曼荼羅を成ず。
眞言經を誦持して 成ずる所は本教の如し。
修行諸儀、 結集決擇竟んぬ。
(出生無邊門陀羅尼儀軌終)