福聚講

平成20年6月に発起した福聚講のご案内を掲載します。

心の時間のデーケン教授の言葉

2019-01-29 | 法話
・・デーケン:  フランスの実存哲学者・ガブリエル マルセルの講義を聴いた時は、もの凄く印 象に残ったのは、「問題」と「神秘」ですね。フランス語で、「問題」は「problème」、「神秘」は「mystère」。英語も、「probleme」と「mystery」という区別 がありますけども、それは私のいろんな今までの問いに対する鍵のようになった んですね。「問題」ということは、これは私たちは客観的に見て、「how to」で、 問題を解決出来るんですね。例えば医者は、もし患者がガンになって、どのガン で、どの手術をやって、どの薬で治すことが出来るか。これは問題解決のレベル ですね。けれども、私は今まで体験したことは、例えば治らない患者ですね、例 えば妹である、或いはこの一緒に過ごした患者、或いは例えば悪という戦争とか、 殺すこととか、或いは勿論聖書の愛とか、出会いとか、単なる問題のレベルじゃ なくて、もっと深い次元がある。これはマルセルによれば、それは神秘のレベル ですね。私たちは完全に理解出来ないんですけども、そういうこともあるという こと。「問題」は知識です。知識によってhow toで解決出来るということですね。 しかし「神秘」ということは、やっぱり違う態度が必要ですね。例えば「驚き」 とか、昔からギリシャ人も、「驚きは哲学の初めなり」(プラトン)という有名な文章がありま す。「驚き」とか、そして「畏敬の念」、そして、「謙遜に自分の限界を認める態度」 ですね。自分でコントロール出来ないでしょう。最後の段階で患者は死ぬんです ね。もう医者もそれはコントロールできないんですね。「自分の限界を謙虚に認め る」という基本的な態度は、「神秘に対して大切だ」と、マルセルは強調したんで すね。私はその講義を聴いてから、ほんとに今までずーっと理解出来なかった問 いに対する大切な答えになった感じでしたね。何故妹は死ななければならなかっ たか。何故祖父は射殺されなければならなかったか。簡単な答はないんですね。 けどもそういう体験があったから、私にとって大切な転機になった。例えば、「死 について考えさせられた」とか、或いは、「時間の尊さを発見した」とか、「いろ んなプラスもあった」と思いますね。しかし簡単な問題解決はあり得ないんです ね。簡単な答もないんですね。今までもまだ分からないんですね。でもそういう 「深みのある、神秘である次元がある」ということは凄く重大だ、と思いますね。 ・・平成15年4月27日の心の時間のアルフォンスデーケン教授の言葉
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