そのとき文殊師利菩薩、法首菩薩に問うて曰く、「仏子よ、仏の説きたまふ所の如く、法を聞受するものは能く煩悩を断ずるに、いかんぞ衆生は等しく正法を利きて而も断ずることあたわざるや。婬怒痴に随ひ、慢にひ、愛に随ひ、忿にしたがひ、慳嫉にしたがひ、恨にしたがひ、諂曲に随ふや。・・」
その時に法首菩薩、偈を以て答へて曰く、「仏子よ、よく明らかに聴け。問ひし所の如実の義は、ただ多門を積むのみにて、よく如来の法に入るにはあらず。譬えば人の水に漂はされ溺れんことを懼れてしかも渇して死するが如し。譬えば人の大いに種々諸々のこう餞を恵み施さるるも、食はずして自ら餓死するがごとし。譬えば良医ありて、具に諸々の方薬を知るも、自ら疾みて救うこと能わざるがごとく、多聞もまた是の如し。・・」
その時に法首菩薩、偈を以て答へて曰く、「仏子よ、よく明らかに聴け。問ひし所の如実の義は、ただ多門を積むのみにて、よく如来の法に入るにはあらず。譬えば人の水に漂はされ溺れんことを懼れてしかも渇して死するが如し。譬えば人の大いに種々諸々のこう餞を恵み施さるるも、食はずして自ら餓死するがごとし。譬えば良医ありて、具に諸々の方薬を知るも、自ら疾みて救うこと能わざるがごとく、多聞もまた是の如し。・・」