
・くもりなきこころのさまか浅みどり ひかりにみてる 春のおおぞら 高田竹鄰
・さてや御幸の折しもは いかなる時節なるらん 春過ぎ夏もはや 北祭りの折なれば 青葉にまじる 夏木立 、春の名残ぞ惜しまるる 遠山にかかる白雲は 散りにし花の形見かな ・・青葉隠れの遅桜 初花よりも珍かに ・・・(大原御幸)
・若葉して御目の雫ぬぐはばや 芭蕉
・時鳥きく折にこそ夏山の青葉は花におとらざりけれ 西行
・あらたうと青葉若葉の日の光 芭蕉(奥の細道)
・かがやきの雨にしばらく散る桜いずちのくにのけしきとやみん 宮沢賢治
・『もののあはれは秋こそまされ』と人ごとに言ふめれど、それもさるものにて、今一きは心も浮き立つものは、春のけしきにこそあんめれ。鳥の声などもことの外に春めきて、のどやかなる日影に、墻根(かきねの草萌え出づるころより、やや春ふかく、霞みわたりて、花もやうやうけしきだつほどこそあれ、折しも、雨・風うちつづきて、心あわたたしく散り過ぎぬ、青葉になりゆくまで、万に、ただ、心をのみぞ悩ます。花橘(はなたちばな)は名にこそ負へれ、なほ、梅の匂ひにぞ、古の事も、立ちかへり恋しう思い出でらるる。山吹の清げに、藤のおぼつかなきさましたる、すべて、思ひ捨てがたきこと多し。
『灌仏の比(かんぶつのころ)、祭の比、若葉の、梢涼しげに茂りゆくほどこそ、世のあはれも、人の恋しさもまされ』と人の仰せられしこそ、げにさるものなれ。五月、菖蒲(あやめ)ふく比(ころ)、早苗とる比、水鶏(くいな)の叩くなど、心ぼそからぬかは。六月(みなづき)の比、あやしき家に夕顔の白く見えて、蚊遣火(かやりび)ふすぶるも、あはれなり。六月祓(みなづきばらえ)、またをかし。(徒然草十九段)
・もう明けさうな窓あけて青葉 山頭火
・病みて一人の朝がゆふべとなりゆく青葉 山頭火
・天碧し青葉若葉の高嶺づたひ 久女
・駅高く青葉の峡となりにけり 秋櫻子
・路せばみ青葉若葉の香かな 立子
・むらさきの雲にちかづく はし鷹は そりて若葉に見ゆるなりけり 道因法師