池田晶子(哲学者・文筆家、46歳で死去)の読売新聞、1998年4月1日記事より
「現在の日本に生きる人々は、自分が何のために何をしているかを自覚していません。自分の精神性以外の外側の何かに価値を求めて生きている・・・精神性の欠如という点で、かなりレベルの低い時代と思う。
・・医学なども、なぜ生きるのかを問わず、ただ生きようとすることで進歩した。何のための科学かという哲学的な内省を経ていない。・・ただ生きるのが価値なのでなく、善く生きること、つまり、より善い精神性をもって生きることだけが価値なのです。・・常により善く生きようとすることだけが価値なのだから、それを各人が自分の持ち場において実行するべきなのです。・・
人生の幸福は精神の充足以外あり得ません。・・・みんな自分を考えるということを知らない。考え方を知らないというよりも、そもそも「考える」とはどういうことかさえ知らない。
国民の側も、他人のことを悪く言えるほどあなたは善いのですかと、私はいつも思う。汚職した官僚や政治家はむろん悪いが、その悪いことをした人を、得をしたとうらやんで悪く言っているなら同じことだ。嫉妬と羨望を正義の名にすり替えているだけだ。
世の中が悪いのを、常に他人のせいにしようとするその姿勢そのものが、結局世の中全体を悪くしていると思う。
現在の政治の現場ほど言葉が空疎である場所はない。「命を懸けて」なんて平気で言う。言う方も聞く方も本気とは思っていない。政治家に詩人であれとは望まないが、自分の武器を大事にしないのは、自分の仕事に本気でないからだ。言葉を大事にしない国は滅びます。・・・
要は、一人ひとりの生き方の自覚でしかない。だからこそ「考える」ことが必要だ。考えもしないで生きているから、滅びの道を歩むことになる。考えることなら、今すぐこの場で出来ることです。
・・・みんな自分が死ぬということを忘れている。人がものを考えないのは、死を身近に見ないからだと思う。・・一番強いインパクトは死です。人がものを考え、自覚的に生き始めるための契機は死を知ることです。・・・制度を変えても、精神の在り方が変わらなければ、世の中は決して変わりません。
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