大師のお言葉に見る『霊験』の根拠・・その1３

弁顕密二教論

「毘盧遮那佛のたまはく汝ら将来に無量の世界に於いて最上乗者のために現生に世・出世間の悉地成就を得せしむべしと。彼の諸々の菩薩、如来の勅を受け己って仏足を頂礼し、毘盧遮那仏を囲繞しおわって各々本方本位に還って五輪となって本幖幡を持せり。もしは見、もしは聞き、もしは輪壇に入りぬればよく有情の五趣輪転の生死の業障を断じ、五解脱輪のなかにおいて一佛より一佛いいたるまで供養承事してみな無上菩提を獲得して決定の性を成ぜしむ。
（毘盧遮那佛、菩薩たちにのたまはく、「汝らは将来において無量の世界に於いて最上の法門により修行する者達のためにこの世で俗世の成功・仏道の成功ともに成就させることになるであろう」と。彼の諸々の菩薩はこの如来の勅を受け己って仏足を頂礼し、毘盧遮那仏を囲繞しおわって各々自分の位置に還って曼荼羅上で五輪となってそれぞれの姿をとっておられる。したがって　我々凡夫でもこういう菩薩様方を、もしは見、もしは聞き、もしは灌頂により曼荼羅の壇に入ることができれば,
今までの業を断じ、金剛界曼荼羅成身会の大日・阿閦(あしゅく)・宝生・阿弥陀・不空成就の五如来およびその周囲をとりまく四波羅蜜菩薩・十六大菩薩を一佛より一佛にいたるまでお仕えし供養申し上げることができ、だれもが無上菩提（所願成就）を獲得することができる。）