弘法大師和讃その１
帰命頂礼遍照尊
宝亀五年の水無月に 玉も寄るちょう讃岐潟 屏風ヶ浦に誕生し
御歳七つのその年に 衆生のために身を捨てて 五つの岳に立つ雲の
立つる誓いぞ頼もしや ついにすなわち延暦の 末の年なる五月より
藤原氏の賀能らと 唐船に乗り終えて 印を残す一本の
松の光を世に広く 弘め給える宗旨をば 真言宗とぞ名付けたる
真言宗の安心は 人皆すべて隔てなく 凡聖不二と定まれど
煩悩ふかき身のゆえに ひたすら大師の宝号を 行往座臥に唱うれば
加持の功力も顕らかに 仏の功徳を現ずべし 不転肉親成仏の
身は有明の苔の下 誓いは竜華の開くまで 忍土を照らす遍照尊
仰げばいよいよ高野山 流れも清き玉川や 結ぶ縁の蔦蔓
縋りてのぼる嬉しさよ
昔国中大日照り 野山の草木みな枯れぬ
その時大師勅を受け 神泉苑に雨請いし 甘露の雨を降らしては
五穀の種を結ばしめ 国の患いを除きたる 功は今に隠れなし
わが日の本の人民（ひとぐさ）に 文化の花を咲かせんと
金口の真説四句の偈を 国字に綴る短歌
色は匂えど散りぬるを わがよ誰ぞ常ならむ
有為の奥山今日越えて 浅き夢見し酔いもせず
学び初にし幼な児も 習うに易き筆の跡
されども総持の文字なれば 知れば知るほど意味深し
僅かに四十七字にて 百字を通ずる便利をも 思えば万国天が下
御恩を受けざる人もなし なおも誓いのその中に 五穀豊熟富み貴き
家運長久智慧愛嬌 息災延命且遺産 殊に見る目も浅ましき
業病難病受けし身は 八十八の遺跡に 寄せて利益を為し給う
悪業深きわれわれは 繋がぬ沖の捨て小舟 生死の苦界果てもなし
誰を頼りの綱手縄 ここに三地の菩薩あり 弘誓の舟に櫓櫂とり
助け給える御慈悲の 不思議は世々に新たなり
南無大師遍照尊
南無大師遍照尊
南無大師遍照尊
弘法大師和讃その２
帰命頂禮遍照尊 寳亀五年の六月に
玉藻よるてふ讃岐潟 屏風が浦に誕生し
御歳七つのその時に 衆生の為に身を捨てて
五つの岳に立つ雲の 立つる近いぞたのもしき
遂にすなわち延暦の 末の年なる五月より
藤原姓（うじ）の賀能（かのう）らと 震旦船に乗りを得て
しるしを残す一本の 松の光を世にひろく
弘めたまへる宗旨をば 真言宗とぞ名付けたる
真言宗旨の安心は ひとみなすべて隔てなく
凡聖不二と定まれど 下根に示す易行には
偏に光明真言を 行住坐臥に唱ふれば
加持のくりきもあきらかに 仏の徳を現ずべし
不転肉身成仏の 身は有明の苔の下
近いは龍華の開くまで 忍土を照らす遍照尊
仰げばいよいよ高野山 流れも清き玉川や
結ぶ縁の蔦かづら 縋りて登る嬉しさよ
昔国中大旱魃（むかしこくちゅうおほひでり） 野山の草木皆枯れぬ
その時大師勅を受け 神泉苑に雨乞いし
甘露の雨を降らしては 五穀の種を結ばしめ
国の憂いを除きたる 功は今にかくれなし
和が日本（ひのもと）の人民（ひとぐさ）に 文化の華を咲かせむと
金口の真説四句の偈を（こんくのしんせつしくのげを） 国字に作るみぢか歌
いろはにほへとちるぬるを わがよたれぞつねならむ
ういのおくやまけふこえて あさきゆめみしえひもせず
学びそめにし幼子も 習ふに易き筆の跡
されども総持の文字なれば 知れば知るほど意味深し
わずかに四十七字にて 百事を通ずる便利をも
思へば万国天の下 御恩を受けざる人もなし
猶も誓いのその中に 五穀豊熟富貴き
家運長久知恵愛嬌 息災延命且つ易産
歩むに難き山側も 同行二人の御誓願
八十八の遺跡（ゆいせき）に よせて利益をなしたまふ
悪行深きわれわれが 繋がぬ沖の捨て小舟
生死の苦海果てもなし 誰を便りの綱手縄
ここに三地の菩薩あり 弘誓（ぐぜい）の船に櫓械取り
済け（たすけ）たまへる御慈悲の 不思議は世々に新たなり
南無大師遍照尊 南無大師遍照尊
帰命頂礼遍照尊
宝亀五年の水無月に 玉も寄るちょう讃岐潟 屏風ヶ浦に誕生し
御歳七つのその年に 衆生のために身を捨てて 五つの岳に立つ雲の
立つる誓いぞ頼もしや ついにすなわち延暦の 末の年なる五月より
藤原氏の賀能らと 唐船に乗り終えて 印を残す一本の
松の光を世に広く 弘め給える宗旨をば 真言宗とぞ名付けたる
真言宗の安心は 人皆すべて隔てなく 凡聖不二と定まれど
煩悩ふかき身のゆえに ひたすら大師の宝号を 行往座臥に唱うれば
加持の功力も顕らかに 仏の功徳を現ずべし 不転肉親成仏の
身は有明の苔の下 誓いは竜華の開くまで 忍土を照らす遍照尊
仰げばいよいよ高野山 流れも清き玉川や 結ぶ縁の蔦蔓
縋りてのぼる嬉しさよ
昔国中大日照り 野山の草木みな枯れぬ
その時大師勅を受け 神泉苑に雨請いし 甘露の雨を降らしては
五穀の種を結ばしめ 国の患いを除きたる 功は今に隠れなし
わが日の本の人民（ひとぐさ）に 文化の花を咲かせんと
金口の真説四句の偈を 国字に綴る短歌
色は匂えど散りぬるを わがよ誰ぞ常ならむ
有為の奥山今日越えて 浅き夢見し酔いもせず
学び初にし幼な児も 習うに易き筆の跡
されども総持の文字なれば 知れば知るほど意味深し
僅かに四十七字にて 百字を通ずる便利をも 思えば万国天が下
御恩を受けざる人もなし なおも誓いのその中に 五穀豊熟富み貴き
家運長久智慧愛嬌 息災延命且遺産 殊に見る目も浅ましき
業病難病受けし身は 八十八の遺跡に 寄せて利益を為し給う
悪業深きわれわれは 繋がぬ沖の捨て小舟 生死の苦界果てもなし
誰を頼りの綱手縄 ここに三地の菩薩あり 弘誓の舟に櫓櫂とり
助け給える御慈悲の 不思議は世々に新たなり
南無大師遍照尊
南無大師遍照尊
南無大師遍照尊
弘法大師和讃その２
帰命頂禮遍照尊 寳亀五年の六月に
玉藻よるてふ讃岐潟 屏風が浦に誕生し
御歳七つのその時に 衆生の為に身を捨てて
五つの岳に立つ雲の 立つる近いぞたのもしき
遂にすなわち延暦の 末の年なる五月より
藤原姓（うじ）の賀能（かのう）らと 震旦船に乗りを得て
しるしを残す一本の 松の光を世にひろく
弘めたまへる宗旨をば 真言宗とぞ名付けたる
真言宗旨の安心は ひとみなすべて隔てなく
凡聖不二と定まれど 下根に示す易行には
偏に光明真言を 行住坐臥に唱ふれば
加持のくりきもあきらかに 仏の徳を現ずべし
不転肉身成仏の 身は有明の苔の下
近いは龍華の開くまで 忍土を照らす遍照尊
仰げばいよいよ高野山 流れも清き玉川や
結ぶ縁の蔦かづら 縋りて登る嬉しさよ
昔国中大旱魃（むかしこくちゅうおほひでり） 野山の草木皆枯れぬ
その時大師勅を受け 神泉苑に雨乞いし
甘露の雨を降らしては 五穀の種を結ばしめ
国の憂いを除きたる 功は今にかくれなし
和が日本（ひのもと）の人民（ひとぐさ）に 文化の華を咲かせむと
金口の真説四句の偈を（こんくのしんせつしくのげを） 国字に作るみぢか歌
いろはにほへとちるぬるを わがよたれぞつねならむ
ういのおくやまけふこえて あさきゆめみしえひもせず
学びそめにし幼子も 習ふに易き筆の跡
されども総持の文字なれば 知れば知るほど意味深し
わずかに四十七字にて 百事を通ずる便利をも
思へば万国天の下 御恩を受けざる人もなし
猶も誓いのその中に 五穀豊熟富貴き
家運長久知恵愛嬌 息災延命且つ易産
歩むに難き山側も 同行二人の御誓願
八十八の遺跡（ゆいせき）に よせて利益をなしたまふ
悪行深きわれわれが 繋がぬ沖の捨て小舟
生死の苦海果てもなし 誰を便りの綱手縄
ここに三地の菩薩あり 弘誓（ぐぜい）の船に櫓械取り
済け（たすけ）たまへる御慈悲の 不思議は世々に新たなり
南無大師遍照尊 南無大師遍照尊
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