彼岸の中日には古来「天道念仏」が唱えられてきました。
五來重「宗教歳時記」の「天道念仏」の項では「・・春彼岸に「天道念仏」を行うのは、だいたい関東地方であるが、一部東北地方や信州にもある。菅江真澄は「すすきのいでゆ」に秋田の彼岸会念仏のことを詳しく書いている。・・・彼岸には太陽を祭るので彼岸会念仏を天道念仏という理由はよくわかる。・・この念仏は・・いわゆる踊り念仏である。‥
「江戸名所図会」の「船橋駅」の挿絵に「天道念仏踊之図」がのっているのでそのありさまを偲ぶことができよう。・・」
また秩父にも天道念仏は残っています。
お彼岸中日には 秩父市下吉田字大日堂でも「天道念仏」が行われます。
ホームページには「江戸時代中期から受け継がれている念仏講のひとつである。昔は、春秋の彼岸に行っていたが、秋蚕の都合で春分の日だけに行うようになった。この念仏講を「天道念仏」と呼ぶのは、大日如来を祀っていることと、日の出の時刻から日没の時刻まで昼休みを除き、鉦と太鼓を叩き続けることから。しかし、いつの頃からかは不明であるが、ここでは念仏を唱えない。公開日:春彼岸の中日」とあります。
長塚節は「土」のなかで関東地方の天道念仏について何度も書いています。「・・旧暦の二月の半になると例年の如く念仏の集まりが有るのである。彼らはそれが日輪に対する報謝を意味して居るので,お念仏というておる。・・先駆の光が各自の顔を微明るくして日が地平線上に其の輪郭の一端を現はそうとする時間を誤らずに彼らは揃って念仏をとなえる筈なので・・」
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