福聚講

平成20年6月に発起した福聚講のご案内を掲載します。

地蔵菩薩三国霊験記 2/14巻の12/16

2024-07-02 | 先祖供養

地蔵菩薩三国霊験記 2/14巻の12/16

十二、惟高生活(いきかへる)

周防の國一之宮をば玉祖(たまのおや)の大明神と曰す(玉祖神社は山口県防府市大崎にある神社。旧国幣中社。祭神は玉祖命ほか。玉祖命は天孫降臨に供をした五伴緒命(いつとものおのみこと)の一柱で、この地でなくなり玉岩窟に葬られたと伝える。周防国一の宮)。宮司は玉祖の惟高とて久しき神家の子孫なり。されども少年の昔より天性三宝に皈依して志深く中にも地蔵薩埵を信じ奉り行住坐臥に称名を怠ること無く更に口業とす。時に一条院の治世長徳四年(1031年)四月十五日に惟高病を受けて臥けるに一七日を經て忽ちに悶絶して終に冥途に赴きて、曠野の中を唯り行けるに道路を失ひ天を仰いで涙を拭ひ地に伏して叫びけり。爰に小僧の美麗なるが六人列を立て来現し玉ふ。漸く歩み給ふを委しく見奉れば手に錫杖を執り玉ふもあり、或は香炉を持し、一は念珠を取りて合掌し宝珠を持し玉ふもありき。何様六人の御ありさま別にこそ見へける。若は宝幡を持し、一は梵筐を持し給ふも有り。角て惟高が前に近き玉ひて問て曰く、汝知るや、我は是汝在生の時、念じ奉る六地蔵也。六道の衆生は根機区々にして作業も亦別なり。然れば則ち苦を受ること色々あり。故に懇ろに此の寺を済はんために百千の業報の衆生にして我も亦百千の身を分けて身ごとに其の苦に赴きて利益を作すなり。汝神官の末葉たりといえども我等に信をなすこと深し。故に今示現す。是より旧里に皈りて具に六尊を造立し奉り供養を遂げよ。你(なんじ)が居所は南方なりとて指南し玉ふと思へば蘇生せり。既に三日を過ぎけるとなん。此の事を語りければ聞く人皆涙をぞ流しける。されば惟高一宇の伽藍を建立して冥路に拝し奉る如く六地蔵の像を造り奉り本尊にぞ安置し奉る。貴賤男女誠心を至し自他の善因を植ること殊勝にぞありける。されば惟高の往生の事、微細に三河入道(寂照、俗名は大江定基、文章・和歌に秀で図書頭・三河守を歴任。出家し横川で源信に天台教学を、仁海に密教を伝授されるが入宋し杭州で没)夢想を蒙りて傳記し置く。彼の注を見るべし。

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