末代真言行者用心(全)興教大師撰
「経に説ひて云く(意を取る)
「何なる心を発すもの、必ず悉地を成就する、謂く深信あるもの能く悉地を得、何なるをば深信といふ、謂く久々に修行して法験を得ずといえども疑慮を生ぜず退心を生ぜざるなり、このごとくの人必定して悉地を成就す、或ひは本尊、行者を試みんが為の故に、或は諸天等その信心の浅深を試んが為に暫く以って之を抑ゆるがゆえに、或ひは宿障重深なるがゆえに暫く不成に似たりと雖も、冥に能く成就すれども自ら知らざるがゆえに、或ひは魔旬妨げを成して暫く覆蔽するがゆえに、此の如く等の種種の因縁あるが故に疑怠すべからざるなり。」(終) -末代真言行者用心))