「『祈りは懺悔で始まり発願で終わる』ともうします。懺悔・祈願・報恩・発願など様々な形がありますがそれらは渾然一体となって祈りの行為となります。・・この懺悔と発願決意を徹底的に行う修行が比叡山では「好相行」として今も実践されています。・・好相行は『過去現在未来三千仏名経』に示されている三千体の御名の御仏の名を呼び、一回一回香を献じて五体投地の礼拝を日に三千回繰り返します。不眠不休不臥が原則で外出はできません。好相の名の通り礼拝を繰り返しているうちに夢でもなく幻でもなく実際に御仏が眼前にいらっしゃるのです。仏の御姿を感得できるその日まで十日、二十日、一か月と礼拝を繰り返します。(終戦直後の最も厳しい混乱期にこの好相行と12年籠山行を成満した堀沢祖門師は)この行中三か月が過ぎたころの真夜中、目をとじているのに突然御仏が眼前に感じられ、驚いて目を開き、また閉じても仏様は動かずにこちらを見てくださっていたということです。4、5メートルのところに2メートルくらいの高さで極彩色で立っておられたとのことです。・・堀沢師はお釈迦様だと直感し『南無釈迦牟尼仏』と大声で何度もとなえて涙が止まらなくなりました。やがてお釈迦様の右手から細い帯が伸びてきて堀沢氏の腰のあたりをぐるりと回ってその帯を仏様が手に取られてゆっくりと後方に立ち上がられるとともに堀沢師の腰が浮き上がりかけ、そのときお釈迦様はお姿が消えたということでした。」(「いまこそ宗教者のいのりと願いを」、小林隆彰、大法輪20年1月)
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