福聚講

平成20年6月に発起した福聚講のご案内を掲載します。

山 岡 瑞 円 上 人 の 略 伝(三 井 英 光)等より・・4

2020-05-23 | 法話
山 岡 瑞 円 上 人 の 略 伝(三 井 英 光)・・4
三、 修 道 と 事 業
その間に在りて、先づ服部鍵海老師 を、 三角寺(四国65番)奥之院 の仙龍寺に訪 ねて密法興隆 の道を求めた。 老師懇ろに教えて日く
『一切の人を仏として礼拝せよ、 すべての施設は密教の儀軌に依れ』と。 上人は闇夜に 一灯を得たる念いとなり、 それ以来、 発菩提心論、 大日経疏等を反復精読翫味 し、通ぜざる所あれば教理の面 では佐伯恵眼師(東大印哲学卒・昭和9年醍醐派管長)にただし、事相面では泉智等僧正(大正12年高野山管長・総本山金剛峯寺第388世座主、大正14年三派合同古義真言宗管長。高野山大師教会本部玄関前に銅像)に承けて、密教 の真髄を開見すると共に、 寺門興隆の契機を その中に仰がんとした。 かくて大 正七年十 二月、 子安講なる信仰団体 の組織を発願しその本部を香園寺内 に置き、参籠宿泊 の人々を通じて遍ねく四方に講員の加入を募ったのである。
此れより先き大正三年に、漸増するこれらの参詣者 のために、 先づ本堂を建 てた。 何 しろそれまでの本堂は、 三間に 四間の誠に狭い小堂にしかすぎず、 現在の護摩堂 の前半分と して残 っているのが その当時のそれなのである。新建立の本堂に引続 いて、客殿、庫裡、 参籠所 などの簾一次造築計画が遂次進工した のであ った。 各地に子安講 が成立し、講 員 の参詣が増すにつれて、 そのように施設が拡張されて来るのは、寧ろ自然 の勢 いであった。
更らに此れら講員の信心倍増のために 「人と仏」紙なる月刊新聞を、 大正十一年正月 より発刊するに至り、此れらの新聞は毎月各講頭を通じて講員問に輪読されることとなった。
後には毎月の発行数三万五千部を数えるに至ったのである。
此れら子安講員の中には熱心な求道者もあって、 長期に亘っての真言密教の修得を望 む者もあり、 此れら求道者のために大正十五年七月、三密学園を設立して真言宗公認の教育 機関となし、毎年の秋に入園生を公募して、「菩提心論」(『金剛頂瑜伽中発阿耨多羅三藐三菩提心論』不空訳。禅定による即身成仏を説く)を中軸 とせる密教の教義を学ぶと共に三密諭伽の修行をせしめ、護身法や阿字観、 更に進んでは 四度加行を授 け、 布教伝道 や加持祈祷、 その他 生活全般に亘っての教導を行うこととした。 毎年の入園者、 男女合せ て三十数名 に及び、 在園 二力年半、 若しくは 二力年を以 って 応卒業 せしめ、 密教教師としての資格を取得すると共に子安 講の伝道員として各地に派遣したのである。 此れらの伝道員は、 内に金剛の菩提心をたたえ、 外は菩薩の悲願- 特 に子安の四大誓願(安産、 子育て、御身代り、女人成仏)をかかげて単身無縁の地に赴き、講社の拡張を計ると共に講員の信心倍増と利益安楽に挺身したのである。学園の卒業生 で、現在密教教師として世に立てる者二百余名を数え、在家のままであっても嘗て学園に於いて修道せるもの数千名に及んでいる。
又此れら伝道員の活動 に依って子安講も各地 に成立し、加入者の世帯数 三十万、講員信者百万を数えるに至り、遠く海外にまでその支部などを設置したのであった。(現在でも四国88所の公式ホームページに依れば、子安講の輪は、海外まで含めて現在20.000人を超えている、とされる。当方も遍路の都度、孫の子育て祈願祈祷をしていただき多大なお蔭を蒙っています。孫の写真も奉納。)かくて子安講の事業急速にのびるにつれて、簾二次拡張造築計画が立てられ、 昭和七年 には現在の如き広大なる地域に亘て十数棟に亘る伽藍が整備されるに至ったのである。
尚此のように子安講が各地に続々成立するにつれ て、 これら講員の代表である講頭、世話人の修養講習会が創められた。その簾二回は昭和九年正月に、本部に於いて行われ、それ以来上人遷化 の昭和廿三年まで、連年此の会は催された。 此の時の上人の講話は、 その度毎に筆録されて 「人と仏」紙上に連載され、 遍ねく講員信者の心の鏡となったのである。
勿論これらの事は、瑞円上人の信仰と行徳の然らしむる所ではあるが、 又此の事業のよき助力者の居ったことも勿論である。 此れらの人材の中には、 前西大寺派管長の瀬木俊明師、 現醍醐派管長の細川英道師あり、 又高野山真別処、 奥之院、伽藍の維那を歴任せ る私自身-即ち三井英光もその中の一人として末席をけがしている。此れらの人師は若き頃 の十数年、 その情熱を傾けて上人に協力した。
更に又三密学園を卒業後、 子安講本部の執事として終始せる谷口光範師を始め、多くの伝道員なども、皆それらの一員に加えられるべき人材である。


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 観佛による修養 | トップ | 煩悩を転 じて菩提を成すとい... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

法話」カテゴリの最新記事