福聚講

平成20年6月に発起した福聚講のご案内を掲載します。

一期大要秘密集・・10

2018-03-20 | 諸経
一期大要秘密集・・10
問ふ、阿字と心月と同なりや異なりや。
答ふ。同にして即異、異にして即同なり。同に非ず、異に非ず。亦は同,亦は異なり。(十六重の義、今且くこれを略す。(これは大師が法華経解題等でおしゃっている十六玄門のことか))是れ則ち菩提心の體性なり。



問ふ、正しくこれを観ずる方法如何。
答ふ。若しは阿、若しは月、これを図造せよ。その形、白河の色に染めて微妙厳麗にして世に比類なくして持して浄処に掛けよ。四尺ばかりを去って向かって端座して眼を開くには下より上へ、眼を閉ずるには上より下へ、出入の息に随って之を観じ、之を見よ。此くの如く日を積むに初心には見難けれども後心には見易し。眼を閉じて向かはざるに漸く顕れ見え去る、若しくは顕るれば図造の月・阿にむかふなかれ。唯眼見を縁ぜよ。文に云く、この観は万行の尊主、諸定の帝王、出凡の正門、入聖の直道なり。疑謗の逆縁、猶し権教の戒行に優れり。信帰の順縁誰か顕乗の智観に比せん。何にいわんや深行をや。三毒十悪は変じて曼荼の功徳となり、四重五逆は転じて瑜伽の密行に帰し、一百六十の妄執は断道を仮らずして自ら絶え、四万八千の煩悩は対治を待つこと無うして忽ちに消えぬ。三祇の長劫これを半念に縮め、六度の廣行これを一観に摂す。煩悩生死の睡暗、今永く断え、菩提涅槃の覚月、ここに始めて現る。浅観小行の人はこの身を捨てずして転じて極楽の上品上生を得、深修大勤の類は彼の心を改めずして変じて密厳の大明大日となる。易修易証の道、すでにこの行に越ゆることなし。難知難聞の法、豈にこの門を過ぐることあらんや。文に云く、この観を修するものは所起の五逆・五重十悪・及び一闡提、是の如くの罪障悉く皆消滅して即ち五種の三摩地門を獲、如何が五と為す、一には刹那三昧、二には微塵三昧、三には白縷三昧、四には起伏三昧、五には安住三昧と云々。(深義さらに問へ)。論に云く、若し纔に見るものをば則ち真勝義諦を見ると名け、若し常に見るものをば菩薩の初地に入ると云々。(金剛頂瑜伽中發阿耨多羅三藐三菩提心論「・・八葉白蓮一肘門 炳現阿字素光色 禪智倶入金剛縛 召入如來寂靜智 扶會阿字者。揩實決定觀之。當觀圓明淨識。若纔見者。則名見眞勝義諦。若常見者。則入菩薩初地。若轉漸増長。則廓周法界。量等虚空。卷舒自在。當具一切智。凡修習瑜伽觀行人。當須具修三密行。證悟五相成身義也。・・」)。


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