『弥勒下生経』では、兜率天の弥勒菩薩が地上が安穏になるのを見て下生されます。このとき地上では人々が極楽浄土に近い生活を送っていますが、中に衝撃的記述がありました。 「人命將に終らんとするとき自然に塚間に行詣して死す」というのです。人々は命が終わろうとするのを感知して自ら墓に入り死すというのです。まさに高齢化社会の日本の姿を先取りした描写です。実際明治時代までは四国札所の住職の多くが塚に入って入定されていました。また補陀落渡海も至る所で行われていたようです。享保18年(1733年)63歳で富士山烏帽子岩で入定した富士講行者の身禄(みろく)も弥勒下生経を読んでいたのかもしれません。
最後の身の処し方は今の日本の高齢者に突き付けられた重い課題です。
最後の身の処し方は今の日本の高齢者に突き付けられた重い課題です。