福聚講

平成20年6月に発起した福聚講のご案内を掲載します。

中世日本の各界要職は出家入道者で占められていた

2020-01-23 | 法話
いままで
天皇・皇太子の御出家の例
神官の出家例をみてきましたが、それらの例を超えて背後の日本社会全体の骨組みを研究している論文がありました。
「中世社会における出家入道の基礎的包括的研究」 には「中世日本では社会の全階層に膨大な「入道出家(家督をもったままの出家者)」が存在し、この人々が実質的に日本社会を動かしていた」と書いてあります。まさに仏教原理が日本社会を動かしていたのです。大拙の「日本的霊性」の背後にはこういう事実があったのです。
一部抜き書きします。
・白河・鳥羽法皇のように院政期では僧形の最高権力者が普通となる。そして出家者が即位・大嘗会・神社政策を決定していく。院政議定に僧形の貴族が参画してくる。西園寺公経・九条道家等は出家後も国政に権力を持った。
・出家入道の預所・下司・公文・郡司・郷司・田所‥等が活動していた。
・鎌倉幕府は成立当初から多くの僧形の御家人がいた。
・室町幕府でも出家入道の管領・御家人・守護・地頭名主・下作人・神人・医師・大工・仏師など多かった。
・こういう澎湃たる流れの背後には沙石集でもいうように「治世産業、悉く実相にそむかず」という本覚思想があったと思われる。

鈴木大拙は「日本的霊性」で鎌倉時代に禅と浄土教で日本的霊性が目覚めた、としていますがその背後にはこういう滔々とした大河の流れのような全国民的出家主義ともいえるものがあったのです。
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