珪傳に「天仁元年1108十月四日、同院（勧修寺勝福殿）に於いて厳覚法眼（注１）、寛信（注２）に（伝法）灌頂を授く。色衆廿口、教授無し」
- 厳覚・・天喜四年1056～保安二年五月八日（六十六歳）。勧修寺大僧都。参議源基平の息。仁和寺覚位・三井寺行尊の弟。勧修寺信覚の門。永保三年伝法灌頂を受け廣澤流を受伝。勧修寺長吏となり安祥寺流を兼ねる。範俊から小野流を受伝し範俊の鳥羽宝蔵を継ぐ。永久五年1117神泉苑に祈雨し効験を得る。宮中に仁王経法を修するなど法流伝授・修法に努めた。弟子に寛信・宗意・増俊等。著に瑜祇三品鈔・伝授鈔・小野口伝造紙等。
（注２）寛信・・応徳元年1103～仁平三年三月七日（七十歳）。父は参議藤原為房。勧修寺流祖。東大寺覚樹に三論教学を学び、勧修寺厳覚から真言宗小野流の奥義を受けそこから勧修寺流を樹てる。勧修寺別当に就任し、勧修寺における法華八講の整備に力を注いだ。東寺長者・法務、東大寺別当。學は顕密を兼ね、三論・華厳の秘奥を極めた。弟子には念範・行海・明海・淳寛・寛照・仁濟等。著に小野類秘鈔・真言集等多し。
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