福聚講

平成20年6月に発起した福聚講のご案内を掲載します。

『大乗起信論を読む』(高崎直道)から

2011-12-19 | 法話
『大乗起信論を読む』(高崎直道)から

・・・大乗仏教は釈尊入滅後五百年前後におこった新しい仏教運動で、『般若経』『華厳経』『法華経』『無量寿経』などの大乗経典とともにはじまり、大乗経典を信奉し、流布を使命としているグループです。

この中の教理をまとめ祖述して宣布した最初の偉大な人物がナーガルジュナ(竜樹または竜猛)です。彼は般若経にはじまる大乗仏教の教理の基本は『空』即ち、すべての現象は縁によっておこったものであるから、実体はないと喝破しました。そしてかく感ずることこそ有無の両極端を離れた中道であると説き、このように観ずる智慧を『般若波羅密』であると説いたのです。

ナーガルジュナの主著は『中論』といい、この継承者は『中観派』といいます。彼はまた小乗の説一切有部の「人間存在は五蘊の集まりに過ぎず、我の実体はない(無我である、我空)、しかしこの構成要素としての五蘊は実在する(法有)(我空法有)」を批判して「我法二空」の教え(我や法は現象としてはあっても真実には存在しない)を説きました。

ところでこの真実にはないものをあるように認識する主体は一体なんなのかという疑問がナーガルジュナの後から起こってきます。このグループは「我」とか「法」というものは観念にすぎない、事実としてあるのは唯だ「識」のみであるとして「唯識派」が誕生しました。根拠は「華厳経」の「三界唯心」です。この派はまた禅定(瑜伽)を重んじるので「瑜伽行唯識派」ともいわれます。中観派が「すべては空である」といったのに対しこの唯識派は「すべては観念にすぎない」といったわけです。
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