五一 可愛の麗はしき華に香なきが如く、善き教の語も實行せざれば其の果なし。
五二 可愛の麗はしき華に香あるが如く、善き教の語は正しく行へば其の果あり。
五三 諸の華を聚めて多くの華鬘を造り得べきが如く、人と生れたれば多くの善を作すべし。
五四 華の香は風に逆つて薫らず、栴檀も多掲羅も末利迦も亦然り、しかるに善人の香は風に逆つて薫ず、善士は一切の方に薫 る。
五五 栴檀又多掲羅將た又青蓮華、跋師吉の其等の香も戒の香に如かじ。
五六 多掲羅や栴檀の香は微小なり、具戒者の香は諸天の間に薫じて比類なし。
五七 戒を具へ、不放逸に住し、正知解脱のものには魔羅便りを得ず。
五八 大道に遺棄せられたる塵芥聚の中に芳香悦意の蓮華生ずる如く。
五九 是の如く塵芥に等しき盲ひたる凡夫の中に正自覺者の弟子は慧明を以て顯はる。