福聚講

平成20年6月に発起した福聚講のご案内を掲載します。

和州龍門寺沙門義淵傳

2022-01-23 | 諸経

本朝高僧傳「和州龍門寺沙門義淵傳」

「釈義淵、姓は岡連氏。和州高市郡の人。父母子無く観音に祈り、一夕庭際に呱聲有るを聞く。入りて覓に帛嬰児を包て籬に在り香気芬郁たり。収養して早長す。天智帝勑して太子に随ひ共に内宮に育す。天成頴悟、好んで佛書を玩ぶ。勑して出家俾(せし)む。元興寺智鳳に随ひ成唯識を学び諸方を遊訊益々玄緻を究む。宇陀郡に於いて龍門寺を開構し盛んに法相を弘む。學徒閭闔、業を受くる者、玄昉・行基・良辨・宣教・良敏・行達・降導輩の如し。皆一時の豪傑也。文武帝、稲一万束を賜ひ齎厨を資助す。大宝三年勑して僧正に任ず。淵、七帝の崇嚮を受く。二厳兼備、營建尤多、龍蓋、龍福、共に輪豳(りんひん・多くの人)を極む。神亀四年冬十二月聖武帝勑黄を賜ふ。義淵法師の禅枝早茂、法梁惟隆、玄風を四方に扇ぎ、慧炬三界を照す。加て先帝御世より朕代に於ける迄、内裏に供奉す。一咎□無し。市往氏を改め岡連姓を賜ひ其の兄弟に伝へ宣す。翼歳十月某日、滅を高市龍蓋寺に示す。帝、訃を聞き哀慟、治部官に明じて喪事を鑒護し絹壹百疋、絲二百絢、綿三百屯、布二十端を賜ふ。

賛じて曰く、淵公化生の質を仮り、真実の踪を垂る。惟識訣を稟じ法相宗を弘む。七帝は思ひ膴く、八人の神足の丰(すがた)菩薩行を宴居す。道貌(姿かたち)何ぞ従容たる。」

 

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