「待望の日が遂に来ました。」
陸軍曹長林秀夫命
昭和二十年七月三十日 ルソン島にて戦死。長崎県出身。
「永らく御世話になりました。待望の日が遂に来ました。遥か大連の空をのぞみ、便りをしたため居る此の思ひ、感無量です。
とうとう心配のかけ通し、孝行らしき事何一つせずに発つのは断腸の思ひ。心残りそれのみです。
幼かりし想ひ出の事どもは忘れ様としても忘れられない。人一倍キカン気の秀夫を一人前に育てて戴いた御両親の御恩、一番先に発つ幸福、唯々感謝してゐます。
兄上にしろ、三郎にしろ近く征く事でせう。今度は秀夫が一番ですね。
遺言として残すことはありません。秀夫の日々の生活が全て遺言です。
興亡をかけての此の一戦、一億が一つとなって戦はねばなりません。ほんとにのるかそるかの時です。力一杯大君の御ために盡して参ります。
今となって何も申すことはありません。僕の心は総て知ってゐて下さるはずです。くれぐれも御元気に御暮らしください。撫順にも乃木町にも何も出しません。そちらより宜しく申し上げて下さい。
では秀夫元気で行って参ります。
八月四日 秀夫拝
御両親様 」
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