佛説善惡因果經
(このお経は中国で撰せられたと思われます。作者は出てきません。このお経では様々な原因から結果が出ることを述べています。しかし結果から原因を推測することは出来ません。たとえば苦を受けている衆生は代受苦の菩薩であるかもしれないから、です。
気を付けるべきと思ったのは「禮佛して頭を地に着けない者は死して倒懸地獄に堕す。又た人間に生るれば多く欺誑となる。今身に禮佛しても掌を合わさざる者は死して邊地に堕し多く功力を用するも收獲するところなし。今身に鐘聲を聞きても起きざる者は死して蟒蛇中に墮し其身長大なるも諸小虫の唼食するところとなる。今身に拱手して禮佛する者は死して反縛地獄に堕し又た人中に生じても惡事に横遭す。・・しかし今身に合掌して五體投地し至心に禮佛する者は常に尊貴に処し恒に快樂を受く」とあるところです。いい加減な態度で寺社にお参りしてはいけないと説いています。そして護国寺のお参りでも行っている五体投地の功徳はやはり勝れていました。)
如是我聞。一時佛、舍衞國祇樹給孤獨園にいましき。爾時世尊を、無量菩薩・人・天・大衆は圍繞して一心に靜聽しき。爾時、阿難は衆生の為の故に佛に白して言さく、「世尊、今世間等をみるに同一種生在人中にも好あり醜あり、強あり弱あり、貧あり富あり、苦あり樂あり、貴あり賤あり。音聲不同にして言語みち殊なり。百歳にして死なぬあり、三十にして早亡するあり、十五にして夭喪するあり、胞胎にして墮落するあり。端正にして而も貧賤なるあり、醜陋にして而も富貴なるあり。大強にして下劣なるあり、軟弱にして上位にのぼるあり。苦しみて長壽なるあり、樂にして命殤わかじにするあり。行善ありてもあやまちするあり、惡を作しても福利なるあり。黒にして婉媚なるあり。短小なりとも意氣足りるあり、長大といえども他のために僕使となるあり。豐饒なる男女あり、孤單獨自なるあり。外遊して飢寒憔悴なるあり、宮に入り朝にありて衣食自恣なるあり。少時に貧賤にして老にして始めて富貴なるあり。理實にして無辜なるも横罹獄事なるあり。父は慈しみ子は孝にして論經説義するあり、兄弟乖れて各の鬪諍交至なるあり。立宅安居して種種豐備なるあり、自ら無舍屋にして處處浮寄するあり。烏の栖・鹿の宿りいて禽狩と同類なるあり。毛を着て血を茹ひて文字を知らざるあり、端坐して受報するあり。客作(小作)無地なるあり。聰明高爽なるあり、闇鈍無智なるあり。經營して始て得るあり、求めずして自ら至るあり。富て慳貪なるあり、貧窮して好施なるあり。出言和睦なるあり、發語棘刺なるあり。他に愛敬せらるあり、衆人遠避するあり。慈心養命なるあり、殺生無比なるあり。寛にして衆を得るあり、他に棄られるあり。婦姑相憎むあり、妯娌歡戲するあり。法語を喜聽するあり、聞經して眠睡するあり。武夫の無禮なるあり、好學文義なるあり。畜生の形を作して種種異類なるあり。唯だ願くは世尊よ因果を廣説せしめたまへ、大衆知聞して一心に從善せん。」
佛告阿難。「汝所問のごとく、受報の不同なるは皆先世の用心の不等による。是を以って所受千差萬別なり。今身の端正なる者は忍辱中より來る。人となり醜陋なるは瞋恚中より來る。人となり貧窮なるは慳貪中より來る。人となり高貴なるは礼拜中より來る。人となり下賤なるは憍慢中より來る。人となり長大なるは恭敬中より來る。人となり座短なるは慢法中より來る。人となり狠戻なるは羊中より來る。人となり黒病なるは佛の光明を障る中より來る。人となり緊脣なるは齊食を甞むる中より來る。人となり赤眼なるは惜火光明中より來る。人となり雀目なるは鷹眼を縫合する中より來る。人となり瘖瘂なるは謗法中より來る。人となり耳聾なるは聞法を喜ばざる中より來る。人となり缺齒なるは喜咬骨肉中より來る。人となり塞鼻なるは不好香を燃やして仏を供養する中より來る。人となり脣缺なるは魚鰓を穿つ中より來る。人となり黄髮なるは猪を攕せし中より來る。人となり穴耳なるは穿耳中より來る。人となり蛇體なるは輕衣を著して佛像を盪突(洗う)中より來る。人となり黒色なるは佛像を安ずるに屋簷(庇)下烟熏處におく中より來る。人となり癵躄なるは師長をみて不起なる中より來る。人となり僂脊なるは輕衣にして出入し佛像にそむく中より來る。人となり脛額(出額)なるは仏を見て不禮にして捉手打額する中より來る。人となり短項なるは尊長を見て縮頭走避する中より來る。人となり心痛病者は衆生身體を斫刺する中より來る。人となり疝気なるは他物を枉取する中より來る。人となり氣嗽するは冬月に人に冷食を與る中より来る。人となり無男女は他諸鳥子を殺す中より來る。人となり饒兒息(子供多き)は生物の命を喜養する中より來る。人となり長命なるは慈心の中より來る。人となり短命は殺生の中より來る。人となり大富なるは布施の中より來る。人となり車馬あるは三寶に車馬を施す中より來る。人となり聰明なるは學問誦經中より來る。人となり闇鈍なるは畜生の中より來る。人となりなるは貧責中より來る。人となり躁狂なるは獼猴中より來る。人となり病癩なるは三宝を破壞する中より來る。人となり手脚不隨なるは衆生手脚を縛勅する中より來る。人となり惡性なるは蛇蠍中より來る。人となり六根具足するは持戒中より來る。人となり諸根不具足なるは破戒中より來る。人となり不淨潔なるは猪中より來る。人となり歌舞を喜ぶ者は伎兒中より來る。人となり多貪なるは狗中より來る。人となり項有癭肉なるは獨食中より來る。人となり口氣嗅なるは惡罵中より來る。人となり男根不具なるは猪狗を鍵する中より來る。人となり舌短なるは屏處にて盜に尊長を罵る中より來る。
人となり喜んで他婦女を婬する者は鵝鴨中に死墮す。人となり喜んで九族親を婬する者は雀中に死墮す。人となり經書を慳惜し智慧を藏匿して人のために説ざる者は死して土木の中の虫となる。帶弓箭騎乘を好むものは
六夷(東夷・南蛮・西羌・西域・南匈奴・烏桓・鮮卑)中に死墮す。猟を好んで殺生する者は犲狼中に死墮す。好んで鈿華を着くる者は死して載勝虫となる。喜んで長衣を著す者は死して長尾虫となる。喜んで臥食する者は猪中に死墮す。好んで綵色衣服を著する者は死して斑駮鳥となる。喜んで人語を学び調弄する者は死して鸚鵡鳥となる。喜んで人を讒する者は蟒蛇惡毒中に死墮す。他人を横惱する者は死して懊惱虫となる。人となり喜んで悪を傳へ信となす者は死して鵄梟鳥となる。人となり喜んで殃禍語を作す者は死して野狐となる。喜んで人を驚恐する者は死してスイ鹿虫(大蛇の一種)となる。
前身に木屣をつけて入寺する者は今身に生れて𨂊蹄馬中にあり。先身に喜んで下氣する者は今へひり虫となる。先身に衆僧の碓磑(うす)を用いる者は今に叩頭虫となる。先身に人食を節量する者は今啄木虫となる。僧水を盜用する者は今に水中の魚鱉となる。衆僧の地を汚す者は屏中虫となる。僧の菓子を盗む者は食泥土虫となる。僧物を偸む者は今に碓磪牛驢(うすをひく牛馬)となる。僧に強從して乞貸する者は今に白鴿鳥となる。衆僧を罵辱する者は今に牛領中の虫となる。衆僧の菜を食う者は蓼中虫となる。僧の床に坐する者は蛐蟮虫(みみず)となる。僧の雜物を用いる者は飛蛾投火虫となる。骨を捶ち捭って入寺する者は今長嘴鳥となる。烟炆胡粉(べにおしろい)を着って朱脣に入寺する者は今赤嘴鳥となる。綵色衣を著して入寺する者は今鶯となる。夫婦寺中にありて止宿する者は今青頭台虫となる。佛塔に却坐する者は今駱駝身となる。鞋靴を著して浮圖精舍中に入る者は今に蝦蟆虫となる。聽法亂語する者は今百舌鳥となる。淨行の尼僧を汚す者は死して鐵窟地獄中に墮し百萬刀輪一時に來下して其身を斬截す。」
爾時、阿難佛に白して言さく、「佛所説のごとく衆僧の物を犯すは實に是れ大重なり。若し如是の者は四輩の檀越は云何んが寺中に詣て恭敬禮拜するを得んや」。佛言く「僧藍中にいくに二種の心あり。一は善心。二は惡心。云何が名けて善心となすや。若し僧中に至って見佛禮拜見僧恭敬し請經問義受戒懺悔し財物を捨てて三宝を經營し不惜身命にして護持大法す、如是の人は擧足一歩して天堂は自ら來らん。未來の受果は樹提伽(前世に布施をして現世に福徳を受けている大臣の名・「樹提伽経」による)の如し。是れ則ち名けて最上善人となす也。云何が名けて惡心となすや。若し衆生ありて入寺の時、唯だ衆僧にしたがい乞索借貸し、或は僧の長短を求めて專ら破壞せんと欲し、或は僧食を噉て都て無愧心にして餅菓菜茹を懷に挾んで歸家す、如是の人は死して鐵丸地獄に堕し鑊湯炉炭(かくとうろたん・熱鉄の湯、 地獄のこと)刀山劍樹経ざる所なし。是即ち名て最下惡人と為す。佛、阿難に語して來世を誡語したまはく、「是れ我弟子は三寶の所において謹愼して犯すことなかれ。努力して崇成し退心を生ずることなかれ。佛語を用ふる者は彌勒の出世に得度すること無疑なり。
佛言く、今身に人衣を劫剝する者は死して寒氷地獄に墮し、又た蠶虫に生まれて他の為に煮て剝れる。今身に燃燈照經像を喜ざる者は死して鐵圍山間の黒闇地獄中に堕す。今身に衆生を斬截する者は死して刀山劍樹地獄中に堕す。今身に飛鷹走狗して獵射して喜ぶ者は死して鐵鋸地獄中に堕す。今身に多邪行の者は死して銅柱鐵床地獄中に堕す。今身に多婦を蓄える者は死して鐵磑地獄中に堕す。今身に多夫主を畜る者は死して毒蛇地獄中に堕す。今身に鶏子を焼する者は死して灰河地獄中に堕す。今身に猪鷄を殲す者は死して鑊湯かくとう地獄中に堕す。今身に猪狗を犍つ者は死して尖石地獄中に堕す。今身に飮酒醉亂する者は死して飮銅地獄中に堕す。今身に衆生を斬截する者は死して鐵輪地獄中に堕す。今身に衆僧後菓子を偸む者は死して鐵丸地獄中に堕す。今身に猪狗腸肉を食する者は死して糞屎地獄中に堕す。今身に生魚を食する者は死して刀林劍樹地獄中に堕す。今身に後母となりて前母の兒を諛剋する者は死して火車地獄中に堕す。今身に兩舌し鬪亂さす者は死して鐵犁地獄中に堕す。今身に悪口罵人する者は死して拔舌地獄中に堕す。今身に多妄語する者は死して鐵針地獄中に堕す。今身に殺生し邪神を祀る者は死して鐵碓地獄中に堕す。今身に師母(みこ)となりて鬼語し他を誑して物を取る者は死して肉山地獄中に堕す。今身に師母となりて鬼神が天下りせしように眼をとじて他を誑し上天して魂神取禰する者は 死して斬腰地獄
中に堕す。今身に師母となりて他を教て殺生せしめ其を大神にまつり或は禍する五道の土地社公に阿魔女郎を求む、諸の如是等は皆是れ愚人を誑惑するものなり、死して斫地獄中に堕し諸獄卒に其身を莝斬せられ鐵嘴の鳥が兩眼睛を啄む。今身に師公(みこ)となって或は死人を葬埋し、宅の吉凶・五姓便利を占ひ、龍神を安じて蠶神(かいこかみ)を去り、衰禍を鎮圧して其癡人を誑し、多くの財物を取り、妄に吉凶の語をなす者は如是の徒は死
して鐵銅地獄中に堕し無量の惡鳥集って其身にあり肉を食噉し盡く其筋骨を啄み受苦無窮なり。今身に其醫師となって病をいやすことあたわず他を誑して取物するは死して針灸地獄中に堕し擧身火燃す。今身に破塔壞寺し師僧に反戻し父母に不孝なる者は死して入阿鼻大地獄中に堕し備さに八大地獄を経て復た諸小地獄に入り一百三十六所悉く皆な中に入り、或は一劫二劫乃至五劫を経て然後に出を得、善知識に値うて菩提心を発す。若し値遇せずば還って地獄に堕す。
佛言く。「人となりて身大に臭穢し健瞋難解の者は駱駝中より來る。人となり喜んで健食にして嶮難を避ざる者は馬中より來る。人となり寒熱を堪履するも無記録心の者は牛中より來る。人となり高聲無愧多所愛念にして是非を分たざる者は驢中より來る。人となり恒に肉食を貪り所作無畏なる者は師子中より來る。人となり身長眼圓多遊曠野にして妻子を憎嫉する者は虎中より來る。人となり毛長眼小にして一處を楽しまざる者は飛鳥中より來る。人となり性返復なく喜んで虫を殺害する者は野狐中より來る。人となり勇健にして婬慾少なく妻子を愛せざる者は狼中より來る。人となり妙服を好まず奸非を伺捕し小時眼惡にして多怒の者は狗中より來る。人となり好婬にして談を喜び衆人に愛せらる者は鸚鵡中より來る。人となり人衆中を楽み言語多煩なる者は鸚鵅(ぬえどり)中より來る。人となり體小好婬にして意不專定、色を見て心惑する者は雀中より來る。人となり眼赤・齒短にして語は便ち吐沫、臥せば則ち身を纒ふ者は蛇蚖中より來る。人となり語らば則ち瞋恚にして來義を察せず口より火毒を出す者は
蝎中より來る。人となり獨處して貪食、夜は則ち少睡の者は狸中より來る。人となり牆を穿ちて竊盜し貪財健怨にして親疎あることなき者は鼠中より來る。」
佛言く、「人となり破塔壞寺し三寶物を隱藏して己用となす者は死して阿鼻大地獄中に堕し、地獄より出て畜生身を受け所謂鴿・雀・鴛鴦・鸚鵡・青雀・魚鱉・獼猴・獐・鹿となる。若し人身を得れば黄門形の女人二根、無根婬女を受く。人となり瞋恚を喜ぶ者は死して毒蛇・師子・虎狼・熊羆・猫・狸・鷹雞の屬に堕つ。若し人身を得れば喜んで雞猪を養い、屠兒・獵師・網捕・獄卒となる。人となり愚痴にして道理を解せざる者は死して象・猪・牛・羊・水牛・蚤・虱・蚊虻・蟻子等の形に堕つ。若し人身を得れば聾盲瘖瘂癃殘背瘻諸根不具足にして不能受法なり。人となり憍慢の者は死して糞虫・馳驢・犬馬に堕つ。若し人中に生ずれば身を受け貪窮乞丐にして衆の輕賤するところとなる。人となり官の形勢に因って民物を貪取する者は死して肉山地獄中に堕し百千萬人肉をさいて噉う。今身に喜んで他人を立たしむる者は死して白象中に堕し脚直して眼臥するを得ず。今身に破齋し夜食する者は死して餓鬼中に堕すし百萬萬歳飮食するを得ず。若しこれを行ずる時節は頭より火出ず。今身に喜んで露形坐する者は死して寒鴞虫となる。今身に齋殘を懷挾して飮食する者は死して熱鐵地獄中に堕す。又た人間に生るれば咽塞病に著し短命にして死す。今身に禮佛して頭地にいたらざる者は死して倒懸地獄に堕す。又た人間に生るれば多く欺誑となる。今身に禮佛しても掌を合わさざる者は死して邊地に堕し多く功力を用するも收獲するところなし。今身に鐘聲を聞きても起きざる者は死して蟒蛇中に墮し其身長大なるも諸小虫の唼食するところとなる。今身に拱手して禮佛する者は死して反縛地獄に堕し又た人中に生じても惡事に横遭す。今身に合掌して五體投地し至心に禮佛する者は常に尊貴に処し恒に快樂を受く。今身に健瞋懊食する者は顛狂中より來る。今身に眼目睞(斜視)なる者は從他婦女を邪看する中より來る。今身に婦を護り父母を罵る者は死して斬舌地獄に堕す。今身に水を如へて酒中に着け沽うりて人に與ふる者は死して水中虫となる。又た人間に生るれば水腫斷氣して死す。
佛阿難に告げたまはく、「向の所説の種種衆苦は皆な十惡の業による。上は地獄因縁。中は畜生因縁。下は餓鬼因縁なり。中において殺生の罪は能く衆生をして地獄畜生餓鬼に堕せしむ。若し人中に生ずれば二種の果報を得る。一は短命、二は多病なり。劫盜の罪もまた衆生をして地獄畜生餓鬼に堕せしむ。若し人中に生ずれば二種の果報を得る。一は貧窮、二は共財に自在を得ず。邪婬之の罪もまた衆生をして地獄畜生餓鬼に堕せしむ。若し人中に生ずれば二種の果報を得る。一は婦貞良ならず。二は二妻相諍して己心に随わず。妄語の罪もまた衆生をして地獄畜生餓鬼に堕せしむ。若し人中に生ずれば二種の果報を得る。一は多く誹謗せらる。二は恒に多人の為に誑かさる。兩舌の罪もまた衆生をして地獄畜生餓鬼に堕せしむ。若し人中に生ずれば二種の果報を得る。一は破壞の眷屬を得、二は弊惡の眷屬を得る。惡口の罪もまた衆生をして地獄畜生餓鬼に堕せしむ。若し人間に生ずるも二種の果報を得る。一は常に惡聲を聞く。二は所有言説恒に諍訟あり。
綺語の罪もまた衆生をして地獄畜生餓鬼に堕さしむ。若し人間に生じても二種の果報あり。一は正きを説くも人信ぜず。二は所有の言説辯了する能わず。貪慾の罪もまた衆生をして地獄畜生餓鬼に堕さしむ。若し人中に生ずるも二種の果報を得る。一は貪財して厭足あることなし。二は多く求めて恒に意に從ふことなし。瞋恚の罪もまた衆生をして地獄畜生餓鬼に堕せしむ。若し人中に生ずるも二種の果報を得る。一は常に他人に其長短を求めらる。二
には常に他の為に惱害せらるる。邪見の罪もまた衆生をして地獄畜生餓鬼に堕さしむ。若し人中に生するも、二種の果報を得る。一には常に邪見の家に生まれ、二は心恒に諂曲なり。諸佛子よ如是の十惡業道は皆な是れ衆苦大聚の因縁なり。
爾時大衆の中に十惡業をつくる者あり、佛説の斯の地獄苦報を聞きて皆な大號哭して佛に白して言さく、「世尊の弟子は何の善行を作して斯苦を免るることを得るや」。佛言はく「當に復た一切衆生を教化し、福業を共同すべし。云何ぞ福を修するや。若し衆生有て今身に大化王となりて浮圖寺舍を造立する者は、未來には必ず國王となりて萬民を統領し往として伏せざるなし。今身に邑主の中に正く維那輪主となる者は、未來の世に必ず王臣・輔相・州郡令長となり衣馬具足して所須自恣ならん。今身に諸人を率化して諸功徳を作す者は、未來世中に必ず豪富長者となり衆人敬仰し四道開通して所向に對偶(もてなし)あり。今身に好喜して燃燈し續明する者は、生じて日月天中にありて光明自照ならん。今身に布施を喜び慈心養命なる者は、生處大富にして衣食自然ならん。今身に好んで人に飲食を施す者は、所生の處、天厨より自ら至り色力具足聰慧辯才壽命長遠ならん。若し畜生に施さば百倍の報を得、一闡提に施さば千倍の報を得、持戒比丘に施さば萬倍報を得る。若し法師にして大乗を流通し如來祕密之藏を講
宣し大衆をして其心眼を開かしむる者に施さば、無量報を得る。若し菩薩諸佛に施さば受報無窮なり。又復た三種の人に施さば果報無盡なり。一は諸佛、二は父母、三は病人なり。一食の施は尚ほ無量の報を得る。況んや能く常に施さば何ぞ窮盡すべけんや。今身に衆僧を洗浴せしむる者は所生の處、面目端正にして自然に衣裳ありて衆人敬仰せん。今身に喜んで經法を讃歎讀誦する者は所生の處、音聲雅妙にして聞く者歡欣せん。今身に喜んで持戒する者は所生端正にして人中最勝ならん。今身に好喜して義井奬瓮(いどつるべ)を造作し道にあらしめ樹を植え諸人を蔭蓋せる者は所生之處は常に人王となって百味飮食隨念即至ならん。今身に喜んで經法を抄寫し人に施し讀ましむる者は所生の處、口辯多才にして所學の法は一聞領悟ならん。諸佛菩薩は常に擁護を加え人中最勝にして恒に上首たらん。今身に喜んで橋船を造り人を濟渡する者は所生之處、七寶具足し衆人敬歎し瞻仰せざることなく行來入出は人に扶接されん。
佛、阿難に告げたまはく「我が處處の經中に所説因果の如く諸衆生を勧めて讀誦修行し苦難を得度せしめよ。若し是經を聞きて誹謗を生ずる者は其人現世に舌則ち墮落せん」。
爾時阿難佛に白して言さく「世尊、當に斯經を何と名け、何を以て之を勸發すべきや」。佛阿難に告げたまはく「此經を名けて「善惡因果」となす。亦た名けて「菩薩發願修行經」とす。如是に受持せよ。
佛是經を説きたまふ時、衆中八萬天人は阿耨多羅三藐三菩提心を発し、百千女人は現に女身を転じて男子と成るを得、千二百の惡人は其毒意を捨てて自ら宿命を知り、無量の善人は無生忍を得て恒に快樂を受け、無量の正者は諸淨土に生まれて諸佛菩薩と共に以って等侶となる。一切大衆は歸家し福を作し歡喜奉行せり。
佛説善惡因果經終
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