今から十四年前のことです。
嫁いだ娘が初めてのお産で実家に帰ってきました。そして小さめの赤ちゃんでしたが無事出産をすませ、一週間ほどで婚家に戻っていきました。
ところが二週間ほどたった頃突然鬱病とのことで病院に入院することになりました。産時におこした精神病というのはことのほか気長な治療が必要らしく、その後一進一退の病状が続いて回復は見込めそうにありませんでした。時々調子のよい時は家に帰ってくるのですがなにもしてやれぬ親としてただただ娘が可愛そうでなりません。此の上はお大師様におすがりするほかないと私は朝夕ご宝号を唱え心経を唱えてお慈悲をおねがいするしかありませんでした。
このようにお大師様におすがりすることを教えてくれたのは母でした。長崎出身の母からはむかし着物姿で篠栗八十八所を歩いて巡拝したことをよく聞かされました。また私が赤ん坊のころは泣くばかりでお乳も飲まずやせ細っていくので近所の方にすすめられお大師様にお参りしたところすぐに泣き癖も治り食用もでて元気に育ったそうです。
こんな風になにかにつけてお大師様のお蔭をいただいていたものですから今度も母の信心を思い浮かべ、お大師様におすがりするほかないと考えたのです。
そして、朝夕お大師様を拝み、毎月21日には夫婦で高野山にもお参りに行きました。こうしてお参りしているうちに娘の鬱病も一年で治りました。信じる者は救われるといいますが其の通りでした。いまは一族みな幸せに過ごさせていただいています。
私の場合、お大師様のお慈悲は母の慈悲であり、つくつ゛く思うに、信心とは万物を育んでくれる大地や自然、親の慈悲・・・これらに感謝し、その恩に報いることではないでしょうか。
生きる喜び、ありがたさ、老後の充実した幸せをお恵み下さったお大師様、お母さん、本当に有難うございます。
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