鈴木正三「農人日用」
「農人問ひて曰く、『疎ならずといへども農業時を経て隙なし。あさましき渡世の業をなし、今生むなしくして未来の苦を受べきこと、無念の至りなり。なんとして仏果に至るべきや』」(答)「農業則佛行なり。・・信心堅固なる時は菩薩の行なり。・・農業を勤めるものには覚えず功徳備われり。三宝を供養し神明を祭りて国土万民、世を持つこと,唯これ農夫の徳なり。畜類等に至るまで此の徳、受けざるはなし。是則我徳にむくはざらんよ。かほど大功徳を為す農人、一心のむけようあしくして還って三悪道の業と為すこと。口惜しきにあらずや。偏に道理を知って一心定むべし。」
「農人問ひて曰く、『疎ならずといへども農業時を経て隙なし。あさましき渡世の業をなし、今生むなしくして未来の苦を受べきこと、無念の至りなり。なんとして仏果に至るべきや』」(答)「農業則佛行なり。・・信心堅固なる時は菩薩の行なり。・・農業を勤めるものには覚えず功徳備われり。三宝を供養し神明を祭りて国土万民、世を持つこと,唯これ農夫の徳なり。畜類等に至るまで此の徳、受けざるはなし。是則我徳にむくはざらんよ。かほど大功徳を為す農人、一心のむけようあしくして還って三悪道の業と為すこと。口惜しきにあらずや。偏に道理を知って一心定むべし。」