福聚講

平成20年6月に発起した福聚講のご案内を掲載します。

Q、四国88所の88の意味は?

2012-07-24 | Q&A
Q、四国88所の88の意味は?
A,昔は100以上の寺寺を巡っていたようですがそれらをまとめて88箇所と定めたのは弘仁6年(815年) お大師様42歳のときと言う説、高弟真済がお大師様の遺徳を偲んで開創したと言う説、高野聖や修行者が海岸線を中心に巡拝を重ね、いつのまにか平安末期には成立していたという説、遍路の祖といわれる衛門三郎が我が罪を悔いて回り88箇所を開創したなどさまざまな説があります。

 梁塵秘抄(平安末期)には「我等が修行せし様は、忍辱袈裟をば肩にかけまた笈を負い衣は何時となく潮垂れて、四国の辺地をぞつねに踏む」とあります。
 今昔物語にも「今は昔仏の道を行ひける僧三人伴なひて四国の辺地といへば伊予、讃岐、阿波、土佐の海邊の廻なり。・・・」とあります。
 真言僧真念の「四国偏禮功徳記」(元禄3(1690)年)には「遍路所八十八ヶと定めぬる事、いつれの時、たれの人といふ事さだかならず。」とありますがいずれの説をとってもおそくとも平安末期には成立していたと思われます。

 また88箇所の意味には色々な説があります。 数にあまり比重をおいても仕方がないのですが一応諸説を紹介します。
 88とは
○1印度でお釈迦様の霊蹟に立つ8つの塔(1、誕生の地、カビラヴァッツトウのルンビ二園 2、成道の地、マガダ国の尼連禅河 3、初転法輪の地、波羅奈国の鹿野園 4、神通を現された地、舎衛城の給孤独園 5、忉利天より降下された地、僧伽施国の曲女城6、提婆達多のために分裂した教団を和合させた地、王舎城 7、最後の説法の地、広博城 8、入滅の地、クシナーラ。蘇悉地掲羅経には8塔を巡礼すべきことを説いているということです。)の10倍に8を足したとする説、
○2男の厄年42と女の厄年33に子供の厄年13を足したものとする説、
○3「三十五仏名礼懺文」の三十五仏(三十五佛とは一釋迦牟尼佛、二金剛不壞佛、三寶光佛、四龍尊王佛、五精進軍佛、六精進喜佛、七寶火佛、八寶月光佛、九現無愚佛、十寶月佛、十一無垢佛、十二離垢佛、十三勇施佛、十四清淨佛、十五清淨施佛、十六婆留那佛、十七水天佛、十八堅佛、十九栴檀功佛、二十無量掬光佛、廿一光佛、廿二無憂佛、廿三那羅延佛、廿四功華佛、廿五蓮華光遊戲神通佛、廿六財功佛、廿七念佛、廿八善名稱功佛、廿九紅炎幢王佛、三十善遊步功佛、三十一鬥戰勝佛、三十二善遊步佛、三十三周匝莊嚴功佛、三十四寶華遊步佛、三十五寶蓮華善住婆羅樹王佛)と「観薬王上二菩薩経」に出てくる五十三仏を足したものとするもの、(觀藥王藥上二菩薩經には法藏比丘之師世自在王佛以前出世之佛,有五十三數:一錠光,二光遠,三月光,四栴檀光,五善山王,六須彌天冠,七須彌等曜,八月色,九正念,十離垢,十一無著,十二龍天,十三夜光,十四安明頂,十五不動地,十六琉璃妙華,十七琉璃金色,十八金藏,十九燄光,二十燄根,二十一地動,二十二月像,二十三日音,二十四解脫華,二十五莊嚴光明,二十六海覺神通,二十七水光,二十八大香,二十九離塵垢,三十捨厭意,三十一寶燄,三十二妙頂,三十三勇立,三十四功持慧,三十五蔽日月光,三十六日月琉璃光,三十七無上琉璃光,三十八最上首,三十九菩提華,四十月明,四十一日光,四十二華色王,四十三水月光,四十四除癡瞑,四十五度蓋行,四十六淨信,四十七善宿,四十八威神,四十九法慧,五十鸞音,五十一師子音,五十二龍音,五十三處世。)とあります。○4そのほか熊野九十九王子の影響とするものがあります。この説もも88所の寺のうち一ノ宮と称される寺がおおいことや 、53番石手寺中央に熊野十二社権現を祭っていること、67番大興寺は大師が熊野三所権現鎮守として開創されたと言い伝えられていることなどから有力です。(熊野九十九王子とは諸説あるので99に限定されてないようです。例えば藤代王子・切部王子・稲葉根王子・滝尻王子・発心門王子・窪津王子・坂口王子・郡戸王子・上野王子・阿倍野王子・津守王子・境王子・大鳥居新王子・篠田(信太)王子・平松王子・井ノ口王子・池田王子・浅宇川(麻生川)王子・鞍持王子・胡木新王子・貝田王子・日根王子・佐野王子・向かい籾井王子・厩戸王子・信達一ノ瀬王子・長岡王子・地蔵堂王子・馬目王子・ 中山王子・山口王子・川辺王子・中村王子・吐前王子・川端王子・和佐王子・平緒王子・奈久智王子・松坂王子・松代王子・菩提房王子・祓戸王子・藤代王子・藤白塔下王子・橘本王子・所坂王子・一壷王子・舞坂塔下王子・佐田山口王子・糸我王子・逆川王子・久米崎王子・井関王子・河瀬王子・馬留王子・水掛王子・馬留王子・内ノ畑王子・若一王子・志賀王子・小中王子・吉原王子・高家王子・田藤次王子・愛徳山王子・九海士王子・岩内王子・塩屋王子・上野王子・叶王子・イカルガ王子・切目王子・中山王子・岩代王子・千里王子・三鍋王子・芳養王子・出立王子・秋津王子・万呂王子・三栖王子・八上王子・稲葉根王子・一ノ瀬王子・鮎川王子・滝尻王子・不寝王子・大門王子・十丈王子・大坂本王子・近露王子・比曾原王子・継桜王子・中ノ河王子・小広王子・熊野瀬川王子・岩神王子・湯川王子・猪鼻王子・発心門王子・水呑王子・伏拝王子・祓戸王子・・湯の峰王子・阿須賀王子・浜王子・佐野王子・浜宮王子・市野々王子神社・多富気王子など・・)
○5元禄七(1687)年の高野山の学僧寂本の「四国霊場記」には「四国中名所旧跡おほきなかに、札所八十八箇所とさだむる事、ある人のいはく苦集滅道の四諦のなかに集諦に見使の惑というあり、この煩悩よく三界生死の苦果をまねき集む、この見惑というに八十八使あり、この数をとって八十八箇所と定めこれを禮しめぐるごとにかの見惑の煩悩を断滅するによれる数となん。」とあります。 (切り取り)迷いに見解による迷い(見惑)と体に染み付いていて修行しなければ取れない迷い(修惑)があります。見惑というのは道理に迷っていることです。煩悩に身見、辺見、邪見、見取見、戒取見という五利使と、貪、瞋、痴、慢、という五鈍使とがあり、この10を欲界、色界、無色界の各苦集滅道に配して、欲界には三十二使、色界には二十八使、無色界には二十八使あるとして計八十八使とされるのです。
(唯識開蒙問答に八十八使として
問。八十八使。 答。將十煩惱。於三界中。各四諦下。約具不具。說八十八。 問。十煩惱。 答。一貪。二嗔。三痴。四慢。五疑。將第六不正見一法。開之為五。一身見。二邊。三邪。四見取。五戒禁取。成十煩惱。 問。請合八十八使。 答。俱舍頌云。苦下具一切。集滅離三見。道除於二見。上界不行恚。且釋頌。苦下具一切者。十煩惱也。集滅離三見者。除身及邊。戒禁取。道除於二見者。除身邊二見。上界不行恚者。謂上二界各四諦下。皆無有嗔。請合其數。答。謂苦下十。集滅各七有十四。合苦下十。成二十四。兼道諦八。成三十二。上二界中於八諦不。各除一嗔。有七八五十六。并前三十二。成八十八。とあります)
 結論としてはこれらの考え方がいりまじり自然に88になったということではないかと思います。
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