福聚講

平成20年6月に発起した福聚講のご案内を掲載します。

観音經功徳鈔 天台沙門 慧心(源信)・・8/27

2024-11-18 | 諸経

観音經功徳鈔 天台沙門 慧心(源信)・・8/27

八、長劔火難を遁るる事

大唐の晋の代(265年 - 420年)に天竺より長劔といふ人来て洛陽に於いて家を造る。あるとき火いでて我が家は風下にて遁るべき様なし。而るに本より観音信仰の日と成れば一心に観音の名号を唱るとき、軒を合たる隣まで焼けて長劔が家にいたるとき、風吹き廻り火轉じて焼けず。其の後洛中の人いふやうは、ただこれ天性の風改めやかざるなり、さらに観音の力にはあらずといふなり。長劔これをきいていふやうは大風吹んとき我が家に火をつけて御覧ぜよといふなり。洛陽中の人々此の義尤もなりとて風のあらきをりふしに三度までつくれども終にきえてやけざるなり。是観音の威神の力不思議なりと云々。又法力によって火難を遁るる事、同じく両巻の疏にいはく法力といふは南無観と唱ていまだ世音といふにいたらざるうちに火きゆるなり。又此の人或時曠野にゆくをりふし野火に値ふときさらにのがるべきやうなし。此の時一心に観音を念ず。餘の處はことごとくやくれども法力の行處はすこしもやけず安穏に通るなり。此等は事相の火難をのがれたるなり。三火の事観解に約して、疏に三の火難を挙られたり。一には果報の火なり。夫れといっぱ劫末のとき無間地獄より火出でて色界の初禪までやくるなり。このとき観音を念ずれば遁るべきことありと見へたり。(觀音義疏卷上「三就觀行釋者。火有多種有果報火業火煩惱火。果報火至初禪。業火通三界。煩惱火通三乘人。果報火難者。從地獄有上至初禪皆有火難。如阿鼻鬲子八萬四千内外洞徹上下交炎。餓鬼支節煙起擧體焦然。畜生燠煮湯炭。修羅亦有火難。人中焚燒現見故。若至劫盡須彌洞然。諸天宮殿悉皆都盡。初禪已下無免火災。凡一十五有衆生百千萬億諸業苦惱。持是觀世音名火不能燒。」)二には悪業の火なり。悪業に依てまさしく地獄に堕すべきと雖も一念に観音を信ぜば忽ちに地獄の猛火も反って蓮華の池と成るなり(觀音義疏「次明修因惡業火者。隨有改惡修善之處。若五戒十善多爲惡業所難。故經云。燒諸善根無過瞋恚。雖生有頂頭上火然。術婆伽欲

火所燒。金光明云。憂愁盛火今來燒我。能破善業退上墮下。皆名爲火。若能稱名得離惡業。故請觀音云。破梵行人作十惡業。蕩除糞穢今得清淨。由斯菩薩威神之力也。」)三には煩悩の火なり。我等衆生は見思の煩悩によって三界火宅に住し八苦の火に焼かれる然りと雖も一心に観音を念ずればたちまちに三界の火宅すみやかに上品浄土にいたるべきなり。(觀音義疏「次明煩惱火。若聲聞人厭惡生死。見三界因果猶如火宅。四倒結業煙炎倶起。輪轉墮落爲火所燒。生死蔓延晝夜不息。勤求方便競共推排爭出火宅。稱觀世音機成感應。乘於羊車速出火宅。入有餘無餘涅槃。即得解脱也。」

 

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