霧雨の朝

今日から二日休み。
親方が来たので留守番を頼み板長と粟島に行く。
昨日料理人玉木さんから電話が有って、到着時間を聞いてきた。
其のうち隣で飲んでいたらしい船長が割り込んできて漁師小屋が鉄砲水で流れた手伝いにこいと言っていた。
なんか雲行きが怪しくなってきた。
民宿の娘は小出に勤務しているらしい。
お土産はスイカが二個。
漁師のトシさんに。
玉葱５袋と葱二箱はレストランオーナーの玉木さんに。
中国帰りでアマゾンに将来レストランを開きたいよこちゃんには塩漬け豚を。
板長の車で急いだら二時間半で岩船港に着いてしまった。
途中の海岸には浜茄子が咲いて、綿すげの原っぱが広がっていた。
霧雨が時々降る日本海はこの前みたいに青くなく鉛色に凪いでいた。
沖に出ると少し波があり船が揺れた。
缶ビールを飲み寝転がっていたらいつの間にか眠ってしまい人のざわめきで目が覚めた。
フェリーのスピーカーからラジオ体操第一の音楽が。
心で笑った。
湊にはとしさんが軽トラックで出迎えてくれた。
玉葱三つは俺によこせと自宅に持ち帰ってしまった。
レストランの影のオーナーだからしょうがないさ。
今度は地震のときのテレビの俺はここに生きているのDVDを持参した。
民宿の六朗邊エーに荷物を置いてレストランに戻るともう皆DVDを見てガクさんの名が通るようになっていた。
板長も出ていたので喜多村さんと呼ばれていた。
昼御飯を食べるつもりで行ったけど先ビールを飲んだらつい一杯が三杯になってしまい酔っ払った。
漁師のトシさんはご機嫌で人のいけない沖の堤防まで船を出し渡してくれた。
僕には泳いで行けと言うので水中眼鏡を持って泳いでいった。
沖の堤防にはサザエがごろごろカキがびっしり。
５-６個拾ったけど又海に返して禁漁なのでとしさんに迷惑がかからないようにした。
よこちゃんは痩せているのでぶるぶる震えていた。
ガクさんは寒くないのとの質問に親譲りのウエットスーツと腹の皮をつまんで見せた。
民宿のおバーちゃんは料理上手。
カワハギの刺身に鯵のたたき、真鯛の胃袋の塩からに真鯛の白子のフライ。
味噌汁はほっけのつみれ汁。
ビールも大して飲めなかった。

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