大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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霧の狐道4

2008-01-23 19:50:13 | E,霧の狐道
 俺は背を伸ばして、金網の上の方に引っ掛かっていた赤いポシェットを手に取って見た。
ポシェットの右下には、金の刺繍でキツネがちょこんと座っている絵があった。
裏返すと、真ん中に宝珠の絵がある。

“ お稲荷さんの袋かな・・・?”

 俺は、二、三度、ポシェットの表裏をひっくり返し、由紀ちゃんを見た。
由紀ちゃんは、俺が手に持っているポシェットを見ながら、俺に言った。

「 開けちゃだめよ。
 振って見て、音で分かるわ。」

俺はしぶしぶ開けるのを我慢して、手に取ったポシェットを振ってみた。

“ チリン、チリン、チリン。”

「 ほら、これだよ、鈴の音がしてる。」
「 はい、もうお終い。
 戻して、戻して。」
「 も~、仕方がないなァ。」

俺は、ポシェットを金網に戻した。

「 それじゃ、私、水を換えてくるね。
 貴ぴ~、箒で掃いてね。」

由紀ちゃんは、水箱を持ってウサギ小屋を出て行った。



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