大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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霧の狐道130

2008-10-16 19:16:15 | E,霧の狐道
 俺は処置室のベッドに横になって、親が来るのをひたすら待つことになった。
ベッドに横になっているだけで、特に何もすることがない。

“ 薬品の匂いだな。”

病院特有の消毒薬の臭いがする。
薬品の並んだガラスケースや壁に貼ってある医療関係のポスターは、何回見ても同じで、俺は段々退屈してきた。

“ 退屈だな・・・・。”

そして、しばらくして、処置室の明るさに違和感を感じ始めた。

“ ちょっと暗いかな・・。”

 処置室に入ったときは明るく感じたのに、眼が慣れたのか少し暗く感じる。
それに、眼が重い。

“ 痛み止めの薬の影響か・・・、疲れのためかな・・。
 まあ、今日は、色々と酷い眼にあったし・・・・。”

 俺は、天井の蛍光灯を見た。
蛍光灯の白い光が天井や壁に反射して明るい筈なのに、そうも思えない。
明かりに霞が掛かって、蛍光灯の周りに弱い光の枠が出来ている。

“ 蛍光灯、霞んでいるな・・・。”

 俺は、少し開いている隣の部屋への扉の方を見た。
俺がいるので、隣の部屋から看護婦さんが中の様子を覗けるように少し開いてあるのだろう。

“ 待合室の方が明るいかな・・・。”

 俺は、することが無いので、処置室をもう一度ゆっくり見回した。
処置室には、通路からの出入り口、隣の部屋への小ぶりの扉、薬品の棚、机に椅子、ベッド、それから部屋全体は白っぽい。
 俺は左側のベッドで足を奥にして寝転んでいる。
このベッドの頭側のカーテンは開けられ、左の壁側に束ねられている。
隣のベッドは間仕切りのカーテンで見えない。
でも、ベッドに横になると間仕切りのカーテンの下から、向こうのベッドの足の下の方が見える。
隣のベッドには誰もいないので、カーテンの向こうは静かだった。



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