大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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霧の狐道128

2008-10-12 17:32:02 | E,霧の狐道
 俺は疑問に思って、コードを引き摺りながら電話を持って戻って来た看護婦さんに聞いた。

「 あの~、連れて来て貰ったのは、爺さん婆さんの二人だけど・・・。」
「 あらっ、違うわ。
 三人よ。
 小さい女の子が一人、ついて来ていたわ。
 お孫さんよね。」
「 いや、二人・・・・。」
「 三人よ。
 あの女の子・・・、あれ、顔が思い出せないわ。
 あら、変ね・・・・。
 どんな子だったかしら?
 う~ん、思い出せない。
 たぶん・・・、ハッキリ見ていなかったからだわ。
 救急でバタバタしていたから。
 でも、三人であなたを連れて来たわ。」

 俺は看護婦さんの顔を見て黙った。
看護婦さんの顔は、ウソを言っているようには見えなかった。

“ ま、いいか・・・・・。”

敢えて、人数でどうのこうの言っても仕方が無いので、俺は病院に見舞いに来た人の子供が、たまたまそこに居合せたんだと思うことにした。
 俺は、一応、了解した顔で看護婦さんに言った。

「 ええ、親からも礼は言うように言います。」
「 そうよね。
 そうした方がいいわ。」

看護婦さんは電話を机の上に置いて、受話器を俺に渡した。



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