俺は疑問に思って、コードを引き摺りながら電話を持って戻って来た看護婦さんに聞いた。
「 あの~、連れて来て貰ったのは、爺さん婆さんの二人だけど・・・。」
「 あらっ、違うわ。
三人よ。
小さい女の子が一人、ついて来ていたわ。
お孫さんよね。」
「 いや、二人・・・・。」
「 三人よ。
あの女の子・・・、あれ、顔が思い出せないわ。
あら、変ね・・・・。
どんな子だったかしら?
う~ん、思い出せない。
たぶん・・・、ハッキリ見ていなかったからだわ。
救急でバタバタしていたから。
でも、三人であなたを連れて来たわ。」
俺は看護婦さんの顔を見て黙った。
看護婦さんの顔は、ウソを言っているようには見えなかった。
“ ま、いいか・・・・・。”
敢えて、人数でどうのこうの言っても仕方が無いので、俺は病院に見舞いに来た人の子供が、たまたまそこに居合せたんだと思うことにした。
俺は、一応、了解した顔で看護婦さんに言った。
「 ええ、親からも礼は言うように言います。」
「 そうよね。
そうした方がいいわ。」
看護婦さんは電話を机の上に置いて、受話器を俺に渡した。
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