大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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☆(  しづめばこ P574 )                          

霧の狐道132

2008-10-20 19:01:47 | E,霧の狐道
 俺は、しばらくは何の疑問も無く、退屈しながらそれを見ていた。

“ 隣の部屋との扉は開いているから、人の動きや通路からの空気の流れ
 で動いているのだろうな・・・。”

そして・・・・、フッと思った。

“ どうして、波が奥から手前にやって来るんだろう・・・?
 風が吹いて来るとすると、寝ている俺の頭の上にある隣の部屋からだ
 し・・・。
 手前から奥へ・・・・、だな。
 奥は壁だし、風は吹き出して来ないよな。
 えっと・・・・・。”

俺は、天井や壁の上の方に換気扇や換気の窓が無いか、眼をグルグル回して見た。
特にそれらしいものは見えない。

“ う~ん・・・・・。
 風が、隣の部屋から扉の隙間を通って、天井に上がって、天井を伝わっ
 て、奥の壁の所でクルッと回って降りて来て、奥から・・・・・・。”

俺は、考えたルートを眼で辿ってみて思った。

“ ・・・って無いよな。
 なんか、変だな・・・・。
 それに、隣の部屋の看護婦さんの移動だけで、空気が動いて、カーテン
 って揺れるものかな・・・・?”

 看護婦さんは、扉の向こうで動いているし、扉の少しの隙間でチラチラ見えるだけだ。
通路と処置室の扉はピッタリ閉めてあったことは、さきほど見ている。
だから、空気の流れは、この処置室と隣の部屋との扉のあの隙間だけだ。

“ 隙間って、少ししか開いてないよな・・・。
 そんなに、ス~ス~する感じも無いし・・・。
 じゃ・・、どうして右にあるカーテンの壁が揺れているのか・・・?”

俺は、初めてカーテンの向こうのベッドが気になり出した。

“ 向こうのベッドに、誰かいるのかも知れない・・・。”



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