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大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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霧の狐道133

2008-10-22 19:26:13 | E,霧の狐道
 俺は、向こうのベッドには人がいないと今まで思い込んでいた。
でも、実際は、右のベッドはカーテンに囲まれていて、中を一度も見たことが無い。

“ 誰もいないんだったら、カーテンを閉めておく必要は無いし・・・。
 普通は、開けて置くよな・・。
 このベッドは、空だったしカーテンが開いていたもんな。
 救急の先客がいて、俺よりも前に寝かされているのかも・・・。”

俺は、微かに波打っているカーテンを見ながら思った。

“ ちょっと、声を掛けてみようかな・・・。
 ・・・・・・・・。
 どうしようかな・・・・。
 ・・・・・・・・。
 まあ、声ぐらい掛けても、いいよな・・・・。”

俺は、恐る恐るカーテンの向こうに聞いてみた。

「 誰か・・・、いる?」

俺はカーテンの向こうの様子を窺った。

“ ・・・・・・・・・・・・・・・・。”

カーテンは、まだ微かに波打っている。

“ ・・・・・・・・・・。”

でも、返事は無い。
 俺は動いて行くことが出来ないので、仕方なくベッドに横になったまま、カーテンの下に眼をやった。
隣のベッドの足がカーテンの下から覗いている。

“ カーテンを下からそ~っと捲れないかな・・・・。”

俺はカーテンに手を伸ばした。

“ 届かないぞ、くそっ!!”

ベッドとカーテンは少し離れている
俺の手はカーテンに届かない。

“ ちょっと、距離があるな・・・・。”

 俺は、ベッドでの体勢をカーテンの方にずらそうとした。
そのとき、隣の部屋と処置室の間の扉が開く音がした。

“ ガタッ。”

 看護婦さんが処置室に入って来た気配がする。
俺は慌てて手を引っ込めた。
そして、眼だけで右上をチラッと見た。

“ あ、違う人か・・。”

俺の相手をしてくれた中年の看護婦さんではない。
もう少し若い感じの看護婦さんだ。



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