日々の恐怖 1月30日 窓の外(6)
コンビニで落ち会ったのは共通の記憶だった。
でもそのあとの対処は三人とも違っていた。
A曰く。
「 そのあとみんなで荷物と原稿を取りに行きBの家で原稿作業を再開」
B曰く。
「 俺は兄貴とルームシェアをしてたから、大学の四年間一度も誰も部屋に入れたことがない。
それが兄貴との約束の地だったから。
窓バン騒動のあと、みんなそれぞれ自分の家に帰った。
荷物や原稿は翌日Aが持ってきてくれた。」
三人が三人とも記憶が違うので意味がわからない。
昔すぎて忘れてしまったのか?
でもあの騒動のあと、あいつが何者か話し合ってたときは、たしかにみんなショートヘアの真っ黒女だって共通の認識だったんだ。
AもBもそれについては同じで、
A「 お前らもあの時作業着を着たおっさんだって話してたじゃん。」
B「 いやいやいやみんな女の首だと認識してた。
Aだって、首吊りした女の霊かな、って考察してたじゃないですか!」
とお互い譲らない。
じゃあCを呼んで確かめようってなったけど、Aは絶対にいなかったって言うし、Cを呼んだところでまた別の話が出てきたら怖いので正直会う気がしない。
あんな強烈に怖かった出来事を俺は思い出さなかった日はないから、自分の記憶に絶対的な自信があるんだけど、それはABも同じだろうし、なんでこんな食い違いが起きたんだろう。
いつになるか分からないけどCに会ってこようと思う。
俺はあんまり乗り気じゃないけど、Bが、
「 俺の記憶が正しいことを証明する!」
って息巻いてる。
Aは多分来ない。
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