日々の恐怖 8月6日 夜が来たから(2)
そこですね、道をはさんで墓地になってたんです。
もちろん高い塀に囲まれてるので、外からは墓地だとはわからないんですけど。
でも、私はあんまり気にならなかったんですよ。
というのは、空いていた部屋は2階のいちばん端で、お寺の区画は切れてて、窓からはお墓が見えなかったんです。
不動産屋さんは、
「 所有者からははっきり聞いてはいませんが、こういう事情で他所よりお安いんだと思います。」
こう話してました。
それで、立ち退きの期限もあったので、そこに決めちゃったんです。
それとですね、今回の話に関係があるんですけど、キッチンのついた一間の部屋の中を見せてもらってるとき、ガス台の上、換気扇があるところの横に、金属の赤い箱があったんです。
はい、天井から10cmほど下で、もちろんイスとかに上がらないと手が届かない高さです。
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