日々の恐怖 1月30日 ガキの頃の話 (6)
しばらく沈黙のやりとりが続いた後、そこはやはりリーダーなわけで、Sが最初に沈黙を破った。
「 見ただけで、何で俺たちと分かるんや?
俺たちの顔まで見たんか?
俺ら一人一人の名前も分かるんか?」
教師らは誰も口を開かない。
立場が逆転したようにSは続ける。
「 証拠もないのに、呼び出してええんか?
悪さって何や?
俺らが何したって言うんや?」
と、一気にまくしたてたSに、
「 言うてええんか?」
と、Sの担任がSを牽制したが、勢いが止まらなくなったSを誰も止めることは出来なかった。
「 言わんかい!」
と、売り言葉に買い言葉なSをみて、俺はバレた後のことを考え始めた。
しかし、どう考えても、それは胡麻化しようがない状態な訳で、俺は親に知られてぶん殴られ
ることを覚悟するしかなかった。
そして、俺の担任が俺に言った。
「 空き家に入りこんだな?」
「 ・・・・・。」
俺は何が起きているのか理解が追いつかずにいた。
” 空き家・・・・・???”
Kを横目で見たが、俯いているので表情までは見れなかった。
続いてMを見たが同じ。
Sは顔面蒼白。
そんな三人を見て、更に俺は取り残されたまま沈黙した。
賽銭泥棒の件で呼び出されたと思っていたはずが、空き家に不法侵入の疑いがかかってい
ることに理解が追いつくはずもない。
「 知りません、空き家って、何?」
と、やっと俺は始めて口を開いた。
「 まだ惚ける気か?」
と担任に詰め寄られたが、
「 知らんもんは知らんのや。
何や、空き家って!」
と、今度は俺がSに噛みつく形に変わった。
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